2014/10/6

#6『父と東通工のダイオード』  

◆【Midnight PetitNoise -真夜中のひとり戯言-】
#6『父と東通工のダイオード』2014年10月6日月曜日

■8月6日は父の命日である。昨年4月に3箇月早い米寿のお祝いをしてから、あっという間の出来事だった。娘(孫)と撮った赤ワイン片手の写真が、仏壇の横に飾られている。今年は初盆と一周忌で慌ただしく夏が通り過ぎた。また、CQ誌の「電気街プチ部品情報」連載も始まり、さらにオーム社から執筆依頼もあり、「ものづくり」と「ものかき」に明け暮れていた。一段落し、気が付けば虫の声が聴こえている。
■2010年に1アマやExtraの資格を取るために、学生の頃より勉強をしたが、ものを作りながら書くためには、さらに時間と体力を要求された。しかし、充実した三ヶ月である。機会を作って頂いた、CQ出版社甕岡氏、JG1UNE小暮氏とオーム社橋本氏、矢野氏に感謝したい。また、躊躇していたときに「読者と一緒に成長すればいいのでは。」と背中を押して頂いた、JE1BQE根日屋氏にも感謝している。凄く恵まれた環境だとも思う。
■ところで、実家の物置を整理していて、段ボールに入った昭和30年頃の雑誌から、東洋通信工業のカタログを発見した。知らない人が見たら、ゴミとして捨てられていたのだと思う。まるで、見つけて欲しいとばかりに、それはそこにあった。初めて見るカタログで、裏には10円と記載されている。そういえば、以前整理していた部品から、東通工のゲルマニゥムダイオードも出てきた。既に型番が消えてしまったが、テレビ用の1T24である。そのカタログには、「逆方向の電圧が高い場合(100V)でも逆方向の電流が少ない高級のダイオードであります。」と記載され、900円の定価が付いている。1N38や1N58相当のダイオードである。
クリックすると元のサイズで表示します
■この六角形の鉛筆を輪切りにしたようなダイオードには、思い出がある。小学生のとき父に作ってもらった、最初のゲルマラジオに使われていたものだ。ミユーラー電機製作所のミュー同調式バーアンテナ[*1]で、バリコンは無かったことも覚えている。ケースは父のお手製木箱で、アンテナはテーブルタップに、ACプラグを半分にしたような専用プラグを差し込んでいた。イヤホンは、おそらく今は手に入らないクリスタル型だったのだろう。布団の中に持ち込み、聞きながら寝てしまったことも思い出す。
■ところで、昭和30年代は白米10kgが約900円で、封書10円の時代である。米10kgと同額とは、現在では約5,000円相当の高価なゲルマラジオとなる。マイクロ・パワー研究所の高橋氏と一緒に、MOSFETラジオを実験しているのも、この記憶の影響かもしれない。また、その頃の平均寿命は男性65歳、女性69.6歳とのことである。米寿祝いのときに「気がついたら、こんな歳になっていたよ。」と呟いた父の言葉をかみ締めた。

◆明日との狭間に、大きめのグラスに注いだ赤ワインを楽しむ至福のとき、飲み乾すと「Midnight PetitNoise」がまた一つ発生する。

【参考文献】
[*1]ミユーラー電機製作所『ミューラーコイル配線図』説明書
----------(Beard UCHIDA)
1

2013/2/20

#5『ミステリアスな電波と基板』  

◆【Midnight PetitNoise -真夜中のひとり戯言-】
#5『ミステリアスな電波と基板』2013年2月20日

■何故、今頃アマチュア無線を始めたのと、聞かれることがある。直接要因は、2008年秋に、自治会の回覧板で見かけた区役所と横浜市アマチュア無線非常通信協力会[*1]が開催する「第4級アマチュア無線技士 資格取得講習会」である。中学生のときから憧れていたアマチュア無線に、38年の歳月を越え50歳で再会し始めたのである。
■交信していて感じるのは、電波を観てみたいとの想いである。10階建てマンションの2階奥から電波を出しているのだが、同じ周波数でもアンテナの位置により、また同じ位置でも異なる周波数により、送受信の状態が変わってくる。電波は波と云われるが、むしろ鳥に近い感じがする。高い周波数は小さな鳥で、低い周波数は大きな鳥である。モービルホイップなので、アンテナを視ながら430MHzは翼長17.5cm、50MHzは翼長1.5mの鳥を想像すると電波が観えてくる。
■実装中のUZ-8DXとUZ-77は、どちらもFET2石の増幅回路とコイルにポリバリの同調回路であるが、自分で計算したコイルのインダクタンスとケーブルの浮遊静電容量を考慮した設計が、実装結果と合ったとき気持ちがいい。線を巻くとラジオ放送が聞こえる、不可思議で非常に奥が深く面白くミステリアスである。
クリックすると元のサイズで表示します
■そういえば、頂いたジャンクパーツの中に怪しい基板が一枚、雰囲気からするとミズホ製なのだが「JH1HTK 1999.4.5」と記されている。正体が知りたくて、JE1ECF斎藤さんにお願いし、JH1HTK増沢さんへ連絡を取ってもらう。実はこの基板、増沢さんがQRPp-DXのためP-21DXを出力30mWに改造したとき、高田さんに作製してもらったとの経緯がわかり、正体は「HTKフィルター」であった。まさしく、HTKフィルター基板の旅である。私のところに辿り着いたのも何か意味があるのだと思う。増沢さんからは、貴重な資料(「電波科学」1978年2月号掲載)と代替部品の情報も頂き、機会があれば実装してみたいと考えている。このことがきっかけとなり、2013年2月2日QRP懇親会で、増沢さんとアイボールすることができた。基板が取り持つ縁とでも云うのか、ちょっとミステリアスな感じである。
■ところで、先日購入した『9R‐59とTX‐88A物語―わが青春の高一中二+807シングル』[*2]に、高田さんのサインを頂戴した。このとき「今年のハムフェア工作教室は何にしようかなァ」とのこと、その眼は好奇心に溢れ輝いている。ホッとし、思わず「高田さん、ありがとうございます。」と呟いていた。
■すべてがミステリアスだから・・・続けているのだと思う。

◆明日との狭間に、大きめのグラスに注いだ赤ワインを楽しむ至福のとき、飲み乾すと「Midnight PetitNoise」がまた一つ発生する。

【参考文献】
[*1]横浜市アマチュア無線非常通信協力会、http://home.a02.itscom.net/jr1ywo/
[*2]高田 継男『9R‐59とTX‐88A物語―わが青春の高一中二+807シングル』CQ出版、2004年
----------(Beard UCHIDA)
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ