2010/9/14

商品開発  思うこと・仕事編
最近社内で新製品開発の動きが活発になっています。
今取り組んでいるものは、社員発案、社員開発の製品です。


以前製造していた「お玉」「計量カップ」などの台所金物やシックな「装飾棚受」は
祖父である創業者の発案、開発でした。
「アルミインテリア棚受」や「アルミレールシェルフ」も、
私と社長が企画、発案し、外部デザイナーが監修という体制で開発を進めた商品です。


今回の私や社長の立ち位置はアドバイザー。
最初から最後まで社員で開発を進めるのは初めての試みなのです。


まだまだ詳細な情報をオープンに出来る段階では無いのですが、
試作品を実際に触っていただいたモニターの皆さんの反応は上々です。


モニターの意見や試作品を作ってみてわかった事を踏まえて、
量産品の仕様や作り方を決めて行きます。
こう書くと、あと少しで完成のように感じる方もいらっしゃるでしょう。
携わっているメンバーも7〜8合目まで来たと考えているのではないかと思います。


新製品を作り上げて、売り出すということは本当に大変です。
おそらく携わっているメンバーが思っているよりも大変なヤマ場が
思った以上にたくさん待ち構えているのです。


これは、試験で90点を取る事と満点を取る事に必要な努力の差に似ている気がします。
「あとちょっと」がとても大変で、「あとちょっと」がとても大切なのです。


懲りずに、あきらめずに共に「あとちょっと」を追いかけて突っ走りたいものです。
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2010/6/20

「続・隙間」  思うこと・仕事編
前回に引き続き、隙間に付いて考えて見ましょう。

使い手、買う人にとっての隙間商品は、
「どこでも手に入る定番でも流行りの商品でもないけれど、
自分の必要や好みにぴったりくる品」ということでしょうか。
作り手、売る人にとっては大企業が出来ない、又はやらない規模のビジネスゆえに
競争の少ない(ともすれば売上も少ない)商品であると言えます。
隙間商品はこの二つの条件が重なる部分で成立するものだと思います。


これは久宝金属の商品開発においても常に意識している事でありますし、
レールシェルフもこの条件に当てはまる商品であると思いますが、
もうひとつ強く意識するテーマがあります。
それは「隙間の捉え方」に関わることです。


商品やサービスは、不足や不便に応えたり、心身を癒したり、満足を感じてもらうためにつくられ提供されています。
これは外から足りない部分を埋める、つまり「隙間を満たす」という考え方です。


久宝金属の商品に特徴的なテーマがあるとすれば、それは「隙間を残す」
または「隙間を創る」という事です。
この「隙間」は「余白」と言いかえても良いかも知れません。

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レールシェルフを例にとってみましょう。


レールシェルフはそれだけでは空間を作ることは出来ません。
つける場所を決めて、壁に取り付けて、好きなものを置いて飾って、
初めて場として出来上がるものです。
作ってお届けするのは私たちの仕事ですが、
それ以外はすべて使い手にゆだねている商品です。


ゆだねている部分のほとんどは、容易にもっと便利な他の商品や
サービスに置き換えることが出来ます。
ラックなどの収納家具、新築オプションのシステム収納、
職人さんの施工などなど・・・・・。


しかし、壁を飾る商品やサービスの本来の目的はやはり飾ることであり、
それは使い手だけが果たせる領域です。


部屋を飾るときに、あらかじめ用意された収納や装飾は、
罫線の入った方眼紙や塗り絵のように、便利さと引き換えに余白を狭める、
つまり自由な発想を妨げてしまう側面も持っていると私は考えています。
便利で完成された商品やサービスは既にたくさんありますが、
使い手が自由に発想を広げることが出来るように
「余白を創る、残す」という視点は軽視されがちなのではないかと思います。

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レールシェルフはただの壁をまっさらで大きいカンバスに変える、
クレヨンや色鉛筆の様な道具です。
使い手が自分の気持ちに向き合って、自由に飾りつけができるように
必要なもの以外を全て削ぎ落とした商品です。


JID Design Award 受賞で驚き、また嬉しかったのは、
「シンプルであるがゆえに、さまざまな場面になじみ、使い手の自由な
発想を生かせる "Japanese simplisity" のある 日本的な商品」
との評価を頂いたことです。


特に商品説明や展示ブースでそのような説明をしたわけではないのですが、
商品から私たちの想いが伝わったことに心を強くしたことを覚えています。


レールシェルフを手にしたとき、まっさらな画用紙に向ってどんな絵を描こうかなと
考えている時のような自由でわくわくする気持ちを感じていただければ幸いです。
また、これからもその気持ちを忘れずに開発、製造に取り組んで参りたいと思います。
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2010/5/20

「隙間」  思うこと・仕事編
久宝金属製作所では新商品開発に継続的に取り組んでいます。
今回は新商品開発について小さなメーカーの立場から書かせていただきます。



新商品を世に出すためには、 「新しい」「売れる」「継続する」 という、
3つの条件を満たす必要があります。


「新しい」という条件を満たすには?
  新技術、新発想、新しい組み合わせ、世相や流行へのすばやい対応の
  いずれかが必要です。

「売れる」ためには?
  その商品を必要とする人がいること、妥当な価格で提供することが必要です。

「継続する」ためには?
  最低でも開発や製造にかけたお金の回収以上は売れなければなりません。
  希少性、高度な技術、特許などがあり真似をされにくいこと、
  リピート性がある、口コミなどでユーザーが増える、などが継続の条件でしょうか。


これらの条件を満たすためにできること、やることは会社の規模によって違います。


大きな会社はどうでしょうか?
  大きな会社は何でも持っています。無いものを調達することも容易です。
  調査、開発、広報、販売・・・あらゆる場面で大きな資源を動かせます。
  多くの人が求める商品を開発出来ますし、欲しがる状況を作ることもできます。
  開発費などの初期の負担の割合も販売量が多いと小さく軽くなりますし、
  徹底した調査の上で売る見込みを立てて世に出すのですから、
  たくさんの売り上げが見込めるものをドンドン作り、売り出すことができます。
  でも、大きな会社の新商品開発が楽そうだなどとは思っていません。
  大市場の激しい競争の中で期ごと結果を求められるため、
  時間や価格の制約は相当に厳しいと思います。
  それでも、物量作戦という選択肢があることは大きな会社の強みです。

小さな会社はどうでしょうか?
  ないないずくしの小さな会社でも商品開発に求められる条件は同じです。
  知恵を集め、力を振り絞らなければなりませんし、その力をあちこちに
  分散させる余裕は無いので集中する場所を決断しなければなりません。
  独自の資産や高度な技術を持っているならばそれを生かすことを考えるでしょう。
  また、アパレルやアクセサリーなど新規性を求められる業界であれば、
  新しい仕掛けや、流行に沿うことに力を注ぐでしょう。


久宝金属製作所はどうでしょうか?
  私の考えるキーワードは「隙間」です。
  いわゆる「隙間商品」を出す事も答えの一つですが、
  久宝金属製作所にとっての「隙間」はそこに留まりません。
  次回は「隙間」ついて掘り下げて書かせて頂きたいと思います。
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2010/4/20

価値について  思うこと・仕事編
「価値」はお金というものさしで考えると簡単に「高い」「安い」「妥当」という3択に収まります。
しかし、とらえ方の難しい言葉だと思います。
私が職について10年あまり、ものづくりは材料に「価値」を付加することだと言われて来ました。
付加した価値への評価が「安い」または「妥当」であればそのものは売れました。

多くの人が困っていて、困りごとが共通していた時代は「価値」も共有することができました。
作り手も困っている人に役に立つ仕事ができました。
困りごとが少なくなると、便利、快適を謳ったり、健康や安全への不安を煽ったりで
「価値」を訴えて、物をつくり売る時代になりました。
その時代でも、訴えに嘘が無ければ作り手は人の役に立つ仕事をしていたのだと思います。

今、ものが売れない時代です。
お金を払うほどの困りごとが無くなってきたのかもしれません。
また、謳われたり煽られたりする売り方が定着し、嘘をつく人が現れたので
聞く人が飽きてしまったり、うんざりしてしまっているのかもしれません。

作り手が買う人にとっての「価値」を定めるということは、「価値観」を決め付けてしまうという面もあります。
グローバルな競争、環境破壊、経済危機など、世界規模の問題に個人が晒され、
解決の難しい不安として抱え無ければならなくなっている今、
お金で計れる「価値」が人のこころを満たすことはますます難しくなってきていると思います。


久宝金属は、「価値」を満たす製品をつくろうと努力を続けています。
その「価値」は、お客様にとっても、社会環境にも、私たちにとっても、
常に良い意味をもたらすものであって欲しいと考えています。
製品を手にしていただいて、なにか意味を感じとっていただければ、とても嬉しく思います。
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