2016/8/26

「NHK短歌」「青」入選  NHK短歌

夏の葬儀は暑さで物が持たないからと思ったが、現代の冷房やビルになっている斉場のおかげで、母の葬儀は「花祭壇」という近頃主流のお花で飾られたものにすることが出来ました。それも白一色ではなく、夏を涼しく演出するために紫やブルー、ピンクの少しパステル風な色合いの花で飾って貰ったのです。花はやはりトルコキキョウでした。近年トルコキキョウは色数も増えて、パステルカラーの八重咲きが豪華でいて可憐な風合いを出しています。多分園芸技術が進んで、夏に長持ちする様にも作られているのでしょう。白の花はカーネーションでした。
千代田区は葬祭場を一つだけ作って、狭いけれどすべてビルの中で行えるようになっているので、夏冬はそれも助かります。こんなことを書いているのも、なんだか疲れが後から後から襲ってきて、マダすべきことが山とあるのに、気力がわかないからかもしれません。皆様にはお目汚しになって申し訳ありません。

「N短」8月21日の伊藤一彦選「青」に3席入選して、放送されました。
まだ7月の母が入院中に入選の電話をいただいたので、実感もわかずドタバタとしていました。葬儀が終わって少ししての放送でしたが、投稿したのはたしか7月のはじめでした。夏だから「海」の歌に(それも寝かせてあった歌を詠みなおした記憶があります)したのが大当たりだったかなとも思います。伊藤様ありがとうございます。歌は

ブラインド上げれば海は目の前に青き体を開きゆく夏   河野多香子

いま体も重く、現実には様々な問題もあるのですが、この歌を採って頂いたことで、自分で読んでみても胸が広がるような景色で詠んでおいてよかったと思いました。放送で伊藤さんが「海が好きなのでしょう。」とおっしゃって下さいましたが、その好きな海に15年も会わずに暮らしてきたのだなあ、と思い返しています。
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2016/8/12

八月の歌  短歌

母は八月八日という覚えやすい日にあの世に旅立ちました。十日十一日の葬儀を終えて、ほっと一息つきながら、なんで人はこんな暑い時に逝くのだろうと思います。春や秋の美しい時を選べずに、酷暑の中を旅立ったこと以外には、多くの好き人々に支えられ長い介護生活を送れたことに感謝しています。一時は暴力的ですらあった認知症がだんだん穏やかになり、私を娘とも認識しなくなって最後まで「河野さん」と呼んでいたことをよかったとも、哀しいとも思いつつ終わりの来たことに安堵しています。
私の半分であった介護生活を埋めるものはいずれ日常生活となるでしょう。もう半分であった「短歌沼に嵌った」生活は変ること無く続いていくと思っています。世間は夏休みなので、私も一週間のお休みをいただいて「八月の歌」は夏らしく明るい歌の更新にいたします。

「秘密の夏は」

王様ははだかなのだと言えないで民衆は薔薇のジャムを煮ている

水際を犬と駈けゆく子供らの小さな足跡波とたわむれ

そのままのあなたでどうか居てください 夏の陽に向くひまわりのような

真っ白なカーディガンを買った日はカモメになって海へいきます

逝く夏の計算ドリルじゃないのです そろそろ私を開いてほしい

千年の夢からさめた眠り姫初めての朝をきみに微笑む


きっと、8月26日には次の更新ができると思います。またこれからもよろしくお願いいたします。
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2016/8/5

毎日歌壇、読売歌壇掲載  毎日歌壇他

年寄りは突然のクライシスでダメになると言うが、まさにその通りの経験をしています。退院から五日目で呼吸不全で再入院、今はいつか来る最期の時を待っている状態です。病院側と延命治療は行わないと言う意思の疎通が出来たことが幸せです。

七月十八日の「毎日歌壇」で伊藤一彦選に採って頂きました。この前の一年振りの歌以来、一か月もたたずに採られたので嬉しいけど、どういう運気かしらとも思いました。歌は

踏みつけて凹んだままにお風呂場の棚に忘れたブリキの金魚   河野多香子

何という事はない歌なのですが、これは若い人の多い場所では理解されないのかも知れないと思って、新聞に投稿したのです。「ブリキの金魚」きっと今は横浜のおもちゃ博物館に鎮座しているのではないでしょうか。私が赤ちゃんだった時、親は戦後のやっと再開された銀座の「金太郎」と言うおもちゃ屋で「ブリキの金魚」を手に入れたそうです。私の初めてのおもちゃでした。

同じ十八日の「読売歌壇」にも、小池光選で採られていると知人から知らせがありました。猫の歌ではないけれど、小池さんに採って貰えるのはとっても嬉しいです。歌は

霧深き海峡にきて一冊の寺山修二を読む船の旅     河野多香子

いかにも技巧的と言うべきですが、津軽海峡を思い浮かべて頂けたでしょうか。
一日に二紙に採られるのは、初めての経験で、母の入院騒ぎでなんとなく紛れてしまいましたが、実際は飛び上がるような気持だったのだと思います。伊藤さん、小池さん、ありがとうございます。
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