2013/9/2

1. プルトニウム-羅:Plutonium 94元素Pu  

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#プルトニウム - Wikipedia
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プルトニウム


ネプツニウム ← プルトニウム → アメリシウム

Sm

Pu

Uqq

94Pu

周期表


外見


銀白色

一般特性


名称,記号,番号 プルトニウム, Pu, 94

分類 アクチノイド

族,周期,ブロック n/a,7,f

原子量 [244] g mol-1

電子配置 [Rn] 5f67s2

電子殻 2, 8, 18, 32, 24, 8, 2(画像)

物理特性


相 固体

密度(室温付近) 19.816 g cm-3

融点での液体密度 16.63 g cm-3

融点 912.5K, 639.4°C, 1182.9°F

沸点 3505K, 3228°C, 5842°F

融解熱 2.82 kJ mol-1

蒸発熱 333.5 kJ mol-1

熱容量 (25°C) 35.5 J mol-1 K-1

蒸気圧


圧力(Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k

温度 (K) 1756 1953 2198 2511 2926 3499

原子特性


酸化数 7, 6, 5,4, 3(両性酸化物)

電気陰性度 1.28 (ポーリングの値)

イオン化エネルギー 1st: 584.7 kJ mol-1

原子半径 159 pm

共有結合半径 187 ± 1 pm

その他


結晶構造 単斜晶系

磁性 常磁性[1]

電気抵抗率 (0°C) 1.460 Ω m

熱伝導率 (300 K) 6.74 W m-1 K-1

熱膨張率 (25°C) 46.7 m m-1 K-1

音の伝わる速さ 2260 m/s

ヤング率 96 GPa

剛性率 43 GPa

ポアソン比 0.21

CAS登録番号 7440-07-5

最安定同位体


詳細はプルトニウムの同位体を参照


同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP

238Pu syn 87.74 y SF 204.66[2] -

α 5.5 234U

239Pu trace 2.41 × 104y SF 207.06 -

α 5.157 235U

240Pu syn 6.5 × 103y SF 205.66 -

α 5.256 236U

241Pu syn 14 y β- 0.02078 241Am

SF 210.83 -

242Pu syn 3.73 × 105y SF 209.47 -

α 4.984 238U

244Pu trace 8.08 × 107y α 4.666 240U

SF -


表示


プルトニウム(羅:Plutonium) は原子番号94の元素である。元素記号はPu。アクチノイド元素の一つ。


概要[編集]

ウラン鉱石中にわずかに含まれていることが知られる以前は、完全な人工元素と考えられていた。超ウラン元素で、放射性元素である。プルトニウム239、プルトニウム241その他いくつかの同位体が存在している。半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年(α崩壊による)。比重は19.8で、金属プルトニウムは、ニッケルに似た銀白色の光沢を持つ大変重い金属である(結晶構造は単斜晶)。融点は639.5°C、沸点は3230°C(沸点は若干異なる実験値あり)。硝酸や濃硫酸には不動態となり溶けない。塩酸や希硫酸などには溶ける。原子価は+3〜+6価(+4価が最も安定)。金属プルトニウムは、特に粉末状態において自然発火する事がある。塊の状態でも、湿気を含む大気中では自然発火する事があり、過去のプルトニウム事故の多くが、この自然発火の結果とされている。プルトニウムとその化合物は人体にとって非常に有害とされたが、化学的な毒性は他の一般的な重金属と同程度である[3]。またプルトニウムは放射性崩壊によってα線を放出するため、体内、特に肺に蓄積されると強い発癌性を示
すとされている。

原子炉において、ウラン238が中性子を捕獲してウラン239となり、それがβ崩壊してネプツニウム239になり、更にそれがβ崩壊してプルトニウム239ができる(原子炉内では他のプルトニウム同位体も多数できる)。ウラン238は天然に存在するのでネプツニウム239とプルトニウム239は極微量ながら天然にも存在する。また半減期が約8000万年とプルトニウム同位体の中では最も長いプルトニウム244も極微量天然に存在する。なお、プルトニウム239およびプルトニウム240とそれらの放射壊変物の飛沫の吸引はWHOの下部機関IARCより発癌性があると (Type1) 勧告されている。

プルトニウムは主に核兵器の原料や、プルサーマル発電におけるMOX燃料として使用される。人工衛星の電源として原子力電池として使用されたこともある。


特性[編集]

プルトニウムは金属状態では銀白色であるが、酸化された状態では黄褐色となる。金属プルトニウムは温度が上がると収縮する。また、低対称性構造を有するので、時間経過と共に次第にもろくなる。

α粒子の放出による熱のため、ある程度の量のプルトニウムは体温より暖かい。大きい量では水を沸騰させることもできる。

水溶液中では5種類のイオン価数を有する:

+III価 (Pu3+) - 青紫色

+IV価 (Pu4+) - 黄褐色

+V価 (PuO2+) - ピンク色と考えられている。+V価のイオンは溶液中では不安定で、Pu4+と PuO2+に不均化する。さらにその Pu4+は PuO2+を PuO22+に酸化し、自身は Pu3+になる。こうしてプルトニウムの水溶液は時間が経過すると Pu3+と PuO22+の混合物に変化する傾向がある。

+VI価 (PuO22+) - ピンク・オレンジ色

+VII価 (PuO52-) - 暗赤色のまれなイオンであり、極端に酸化性雰囲気下でのみ生成する。


プルトニウム塩はさまざまな色を示す。

註:ここで示したプルトニウム溶液の色は、陰イオンの種類によりプルトニウムの錯体形成の度合いが変わるため、酸化状態のほか陰イオンにも依存する。


利用[編集]

同位体239Puは、核分裂の起きやすさと合成の容易さのため、現代の核兵器における主要な核分裂性物質である。中性子反射体のない球状プルトニウムの臨界量は16 kgだが、中性子を反射するタンパーを用いると核兵器中のプルトニウムピットは10 kg(直径10 cmの球に相当)まで減らすことができる。1 kgのプルトニウムが完全に反応したとすると、20キロトンのTNT相当の爆発エネルギーを生むことができる。

239Pu がα崩壊すると235Uが崩壊生成物として生成される。235U も核分裂を起こしやすいが、親核種の239Pu はより核分裂を起こしやすい。また、239Pu はアクチニウム系列に含まれている。

同位体238Puは半減期87年のα放射体である。これらの特性により、人間の寿命程度のタイムスケールで直接保守することなく機能する必要がある機器の電力源に適している。そのため、238Pu は原子力電池に利用され、宇宙探査機ガリレオやカッシーニの電源となる同位体電池にも用いられた。また、同様の技術が、アポロ月面探査計画における地震実験にも用いられている。

238Pu は人工心臓のペースメーカーの電源にも用いられ、手術を繰り返すリスクを避けるのに役立っていた。近年ではほとんどが一次電池であるヨウ化リチウムを用いているが、2003年時点では50から100個程度のプルトニウム電源のペースメーカーが患者に埋め込まれている。ただし、日本国内ではプルトニウム電源のペースメーカーは使用はもちろんの事、製造も禁止されている。日本では放射性同位体の規制に抵触するからである。


環境中・人体中のプルトニウム[編集]

大部分のプルトニウムは人工的に合成されるが、極めてわずかな痕跡量のプルトニウムがウラン鉱石中に自然に発生する。これらは、238U原子核が中性子を捕獲して239Uになり、その後2回のβ崩壊により239Puに変化するためである。この過程は原子炉中でプルトニウムを生産するのと同様である。

痕跡量の244Puが、超新星爆発から太陽系の誕生以来残っている。この核種の半減期が相当に長い(8千万年)からである。

1972年にガボン共和国オクロにある天然原子炉で比較的高濃度の天然プルトニウムが発見された。

1945年以来、約10トンのプルトニウムが、核実験を通じて地球上に放出された。核実験のフォールアウトのために、既に世界中の人体中に1-2pCi(0.037-0.074Bq) のプルトニウムが含まれている[4]。フォールアウト起源のプルトニウムが地表面の土壌に0.01-0.1 pCi/g (0.37-3.7 Bq/kg) 存在する[5]。このほか、原子力施設等の事故や、再処理工場からの排出[6]により、局地的な汚染が存在する。

環境中のプルトニウムはほとんど酸化プルトニウム(IV)の形で存在しているが、これは非常に水に溶けにくい[7]。1000万立方メートルの純水にプルトニウム原子1個が溶ける程度であるといわれている。

いったん高温で焼き締めた酸化プルトニウム(IV)は硝酸にも難溶となるが、フッ化水素酸を加えると溶ける[8]。


化合物[編集]

プルトニウムは酸素と容易に反応し、PuO、PuO2となる。また、その中間の酸化物も生成する。また、ハロゲンとも反応し、PuX3の形の化合物を作る。PuF4および PuF6も見られる。PuOCl、PuOBr および PuOI のようなハロゲン化酸化物も確認されている。

炭素と反応して PuC、窒素と反応して PuN、またケイ素と反応して PuSi2を形成する。

プルトニウムは他のアクチノイド元素と同様、酸化プルトニウム(IV)PuO2を形成するが、 自然環境中では炭酸など酸素を含むイオン(OH-, NO2-, NO3-, SO42-) と電荷のある錯体を作る。 こうしてできた錯体は土との親和性が低く容易に移動する:

PuO2(CO3)2-

PuO2(CO3)24-

PuO2(CO3)36-

強い硝酸酸性溶液を中和して作った PuO2は、錯体にならない PuO2 重合体を生成しやすい。プルトニウムはまた価数が+3〜+6価の間で変化しやすい。ある溶液のなかでこれら全ての価数で平衡して存在することも珍しくない。


同素体[編集]

常圧下でもプルトニウムはさまざまな同素体を持つ。これらの同素体は、結晶構造や密度が大きく異なる。α相とδ相では密度は25 %以上も違う。

さまざまな同素体を持つということが、プルトニウムの機械加工を非常に難しいものにしている。相が非常に容易に変わってしまうからである。このような複雑な相変化をする理由は完全には解明されていない。最近の研究では、相変化の精密なコンピュータモデルが着目されている。

兵器への利用においては、相の安定性を増し作業性と取り扱いを容易にする狙いで、プルトニウムはしばしばほかの金属と合金にして用いられる。例えば、δ相に数%のガリウムを加えるなど。核分裂兵器においては、プルトニウムのコアを爆縮するための爆発の衝撃波も相変化の原因になる。このとき通常のδ相からより密度の高いα相に変化するので、超臨界状態[9]を達成するのに大いに助けになる。


同位体とその利用特性[編集]

詳細は「プルトニウムの同位体」を参照

人類の利用の観点で重要な同位体は239Pu(核兵器と原子炉燃料に適)および238Pu(原子力電池に適)である。これらは遅発中性子による臨界量を制御が可能である。一方、同位体240Puは、239Pu が中性子に照射されると発生するが、この核種は非常に容易に自発核分裂を起こす。このため240Pu が核兵器で使用されるプルトニウム中での不純物として重篤な役割を果たす。240Pu は自発核分裂により中性子をランダムに放出するため、計画的な瞬間に正確に連鎖反応を始める制御ができない。つまり爆弾の信頼度および出力を減少させてしまう。


核兵器原料としてのプルトニウム[編集]

239Pu の中に不純物として20 %240Pu が含まれると、インプロージョン型核兵器の中で分裂連鎖反応が受容しがたいほど早く始まり、その材料がほとんど核分裂しない間にその兵器をばらばらに吹き飛ばしてしまう(過早爆発)。ガンバレル型の場合は240Pu 混入1 %前後で過早爆発が起きる。この240Pu の混入が避けられないことが、プルトニウム武器ではインプロージョン方式の設計にしなければならない理由である。理論的には100 %純粋な239Pu ならばガンバレル型装置を構築することができるかもしれないが、このレベルの純度は現実には達成し得ないほど困難である。インプロージョン型核兵器であっても240Pu 10 %以下にせねばならず、軽水炉ではそれが達成困難なので、核兵器製造には黒鉛炉が使用される。

なお240Pu の混入課題は核兵器開発において二つの側面をもつ。一つは混入のためにインプロージョン技術を開発する必要が生じ、マンハッタン・プロジェクトに遅れと障害をもたらした。もう一つは同じくその障害は現在では核拡散に対する障壁になった。なお239Pu の同位対比が約90 %を越えるプルトニウムは兵器級プルトニウム(英語版)と呼び、1972年に機密指定が解除された資料である「WASH-1037 Revised An Introduction to Nuclear Weapons」に基づくと、兵器級プルトニウムは三つの等級に分けられている。

等級 238Pu 239Pu 240Pu 241Pu 242Pu

Hanford 0.05 %以下 93.17 % 6.28 % 1.54 % 0.05 %以下

Savanna 0.05 %以下 92.99 % 6.13 % 0.86 % 0.05 %以下

Rocky Flats Soil 極微量 93.6 % 5.8 % 0.6 % 極微量


原子炉[編集]

一般的な商用原子炉である軽水炉から得られたプルトニウムは少なくとも20 %の240Pu を含んでおり、原子炉級プルトニウムと呼ばれる。

原子炉級プルトニウムでも核兵器の製造は可能であるという主張もあるが、不安定な原子炉級プルトニウムでは爆発装置の製造が兵器級プルトニウムに比べて困難であり、兵器としての信頼性にも欠けるため、わざわざ原子炉級プルトニウムで核兵器を作るメリットはほとんどない。だが、原子炉級プルトニウムを高速増殖炉(日本には、常陽ともんじゅがある)に装填して原子炉の運転をすると、その炉心の周囲にあるブランケットという部分で高純度の兵器級プルトニウムが産出される。これまでに、常陽のブランケットには、239Pu 同位体純度99.36 %のプルトニウムが22 kg、もんじゅのブランケットには、97.5 %のプルトニウムが62 kg含まれている。これを再処理工場で取り出すだけで原子爆弾30発以上を製造できる量になるとの主張もある[10]。


毒性[編集]

プルトニウムの同位体および化合物はすべて放射性物質である。化学毒性についてはウランに準ずると考えられている[11]。しかし、その化学毒性が現れるよりもはるかに少ない量で放射線障害が生じると予想されるため、化学毒性のみでプルトニウムの毒性を論ずることはできない[12][13]。

プルトニウムの急性毒性による半数致死量は経口摂取で32 g、吸入摂取で13 mg[13][14]。長期的影響の観点では経口摂取で1150 mg、吸入摂取で0.26 mg(潜伏期間として15年以上)[15][16]である。また、プルトニウム239の年摂取限度(1 mSv/年)は、経口摂取で48 μg (11万 Bq) 、呼吸器への吸入では52 ng (120 Bq) である[17](1 ng(ナノグラム)は 0.000000001 g(グラム))。

プルトニウムは人類が初めて作り出した人工核種である[17]。小出裕章は、α線源であるため放射線荷重係数が大きいこと、同じα線源である天然核種のウランなどと比べ半減期が短いため比放射能が高いこと、体内での代謝挙動(肺での不均等被曝は、発ガン性が極端に高くなる)の3点から「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性をもつ」と報告している[17]。 また、α線は鉛遮閉の相対的有効性が低い。このため0.1mm厚の鉛と0.1mm厚の紙の遮閉効率がほとんど変わらない。ごく低線量のα線は鉛シートや紙で遮蔽できるが、線量が大きくなると有効な遮閉手段が存在しない、このため、フランスのプルトニウム再処理工場では、数キロ離れた操作室から超遠隔操作によりα線を遮閉している(α線の減衰曲線は距離の二乗に反比例する)。プルトニウムの有害性は、体内に取り込んだ場合の内部被曝には特に留意すべきである。

人体有害性の計算については次節:体内摂取の経路と排出も参照のこと。ICRP勧告による限りでは、人体影響は大きい(Bqをsvに変換する際の線量係数が高い)と定義されている。


体内摂取の経路と排出[編集]

プルトニウムを嚥下し消化管に入った場合、そのおよそ0.05 %程度が吸収され、残りは排泄される[18]。吸収された微量のプルトニウムは骨と肝臓にほぼ半々の割合で蓄積され、体外へは排出されにくい。生物学的半減期(体内総量が当初の半分になるまでの期間)はウランやラジウムと比べても非常に長く、一説には骨に50年程度、肝臓に20年程度と言われる[19][20]。放射線有害性は全てのα線源核種と同じであり、Puのみが特別というものでは無い。

最も有害な取り込み経路は、空気中に浮遊するプルトニウム化合物粒子の吸入である。気道から吸入された微粒子は、大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残り(4分の1程度)が肺に沈着する。沈着した粒子は肺に留まるか、胸のリンパ節に取り込まれるか、あるいは血管を経由して骨と肝臓に沈着する[15][16]。そのため、他のα線・β線放射物質による内部被曝と同様に、IARCより発癌性があると (Type1) 勧告されている。また、動物実験では発癌性が認められているが、人においてはプルトニウムが原因で発癌したと科学的に判断された例はまだない[13]。α線源であるため、ICRPが定める線量係数[21][22]では239Pu の経口摂取で2.5 × 10-7、吸入摂取で1.2 × 10-4と定められ、131I(経口摂取2.2 × 10-8)や137Cs(経口摂取1.3 × 10-8)よりも1 Bq当たりの人体への影響が大きいと想定されている(一般には、α線はβ線よりも20倍の危険性があるとされている)。


長期内部被曝は猛毒性との通説に疑義を提起する資料[編集]

「マンハッタン計画」、「ロスアラモス」、「ロッキーフラッツ」、および「ハンフォード」も参照

ATOMICAによると、米国での1974年までのデータとして、最大許容身体負荷量 (1.5kBq) の10-50 %摂取した例が1155例、同50 %以上が158例ある。このうち代表的な2例(世界大戦における原爆製造工場、冷戦期の兵器工場火災、でのPu含有ガス吸引)において、24年経過後で肺ガン『致死』は1名、42年経過後の『発症』では肺ガン3例と骨肉腫1例であった。これは被曝のない通常のグループよりも発生率が低い。ただ発症までの潜伏期が40-50年と長年であり、調査対象者も高齢化しており、疑わしい疾病を発症してもプルトニウムを病原と断定しにくいのも事実である。[16][23][24]




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