小柄な体型とは対照的に、空色の鋭い眼差しを持ち、少々厳しい印象を相手に与える女性  小説

 「ルシフェルさーん! みんな搭乗し終わりましたよー! 後はカノンさんとルシフェルさんだけですー!」

 おや、もう皆乗り込んでしまいましたか。
 しかし遅いですね。カノンは何をしているのでしょうか。

 こんな事なら荷造りの手伝いに誰か向かわせるべきでしたね……。
 『ピピピ ピピピ』
 おや? 通信ですか。カノンからみたいですね。

 「もしもしカノンですか? どうかしましたか? もう皆船に待機して後は貴方が到着したら出発出来るのですが」
 まだ私は乗っていませんし、皆搭乗したばかりですがこう言って急かしてみましょう。

 『ああ、すまないルシ。どうやら俺への御指名のようだ。少し出かけてくるが、どれ位時間が掛かるか検討もつかないんだ。だから皆にはもう少しこの世界でバカンスでも楽しんでるように伝えてくれないか?』

 彼はちょっと出張にでも行くような軽い口調で告げてきます。
 そして彼の言う“御指名”
 彼は時折姿を消すことがあります。
 何処に言ってたのか聞くと「ちょっと異世界で冒険してきた」やら「とても平和な世界で料理の鉄人になった」等とふざけた事を言いますが、紛れもない事実なんでしょうね。

 消えて戻って来る度に、私達の知らない技術や魔法、それを裏付けるようなお土産を持って帰ってくるのですから。

 以前『たった2、3日で何が出来るのですか』と聞いた所『いやな、40年以上そこで暮らしていたんだ』と答えられた事もあります。
 時空の乱れ? 私にはよく分かりませんが、なんとも都合の良い事で……。



 「御指名……また一人で行ってしまうのですか。それキャンセルしてこちらこれませんか?」

 正直に言うと、彼が一人で何か大変な問題に首を突っ込んでいると思うと、心配であると同時に少し悔しいという思いもあるのです。

 私では力不足なのか? 何故一緒に行くことは出来ないのか? そういった思い。

 『いや無理だな、外に出る為の扉が変わっちまってるんだ。つまり『いいから来い』って事なんだろう』

 何故彼だけがそんな見えざる何者かに連れられて行くのか、納得は出来ませんが私ではそれを止める権利も方法もありませんし、潔く送り出しておきましょう。

 「しょうがないですね、どうせそっちでいくら時間が掛かってもこっちに戻って来るのは今と然程変わらないタイミングなのでしょう? 精々バカンスを楽しむ事にしますよ、ではお気をつけて」

 そう告げて、少々八つ当たり気味に通信を切る。
 我ながら格好悪いですね、まぁたまには息抜きもいいでしょう。

 さて――皆にはどう説明したらいいものでしょうか。

 「申し訳ありません、皆さんちょっと集まって下さいませんか?」
 始めにそう皆に告げ、会議室に集合して貰い説明を始める。

 「皆揃いましたね? 先ほどカノンから連絡が入り、緊急の仕事が入った為出発を見送るそうです」
 彼の事情を知らないメンバーもいますから、適当に仕事と言っておきましょう。
 やはり突然の予定変更に戸惑うメンバー達『またかあの人は……』なんて顔をした者が大半なのですが――

 「えー! 何よソレ、こっちは職場も友人関係も清算して、後は旅立つだけって状態なのよ!?」

 と一人怒り出したのは、髪は黒と云うよりは濃い紫のショートボブ、意思の強そうな碧眼を持ち、女性としては背が高く170cm程あり、そして女性的で男性なら釘付けになるような見事な肢体の持ち主。このメンバーの古株であるレナです。
 まぁ彼女の言い分も最もですし、どう説得するべきでしょうか。

 「落ち着けレナ。今に始まった事じゃないだろう。それにどうせ一週間もかからないのだろう?」

 そう怒り出したレナを宥めつつ、私に問いかける彼女はレナとは対照的に、銀と云うよりも白と呼ぶべき腰まである長い髪を持ち、身長は150ちょっとといった所。
 少し小柄でスレンダーな体格。
 小柄な体型とは対照的に、空色の鋭い眼差しを持ち、少々厳しい印象を相手に与える女性。
 私と同じくこのメンバーの最古参で、彼の姉でもあるユエです。
0



コメントを書く


この記事にはコメントを投稿できません





AutoPage最新お知らせ