皮膚疾患の原因の多くは乾燥で、皮膚は乾燥すると保護機能が弱くなる  健康

皮膚疾患の原因の多くは乾燥で、皮膚は乾燥すると保護機能が弱くなります。それによって外部からの刺激に敏感になり痒みや痛みを引き起こします。威哥王
手湿疹も同様に主な症状に痒みがあります。痒みは手への刺激を更に増し、症状を悪化させてしまいます。
しかも手湿疹の場合、普段はなんともない手を拭く、洗濯物を干すなどの動作でもそれが刺激になって痒みを起こします。
痒いからといって掻いてしまうとそれが傷になったりばい菌が入って炎症を起こし腫れたりします。
水泡ができて傷がつき症状が広がってしまうことも多いのです。
手湿疹が治りかけてきても痒みがあって掻いてしまい、また繰り返すという状況もよくあります。
そのために手湿疹は毎日の手肌へのケアが大切なのです。
特に保湿については必要以上に行ったほうがいいかもしれません。手肌の皮膚の乾燥を押さえれば水分の蒸発も少なくなり、刺激にも敏感に反応しなくなります。
つまり痒みや腫れも少なくなるということになるのです。
手湿疹を改善するための手肌の保湿には、クリームやローションなどいろいろな保湿剤が使えます。
皮膚科に受診した場合には医師に相談してみるのもよいでしょう。
女性には生理がありますが、この生理の周期がホルモンのバランスに影響しています。女性ホルモンは2種類あります。
これらは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンといいます。
卵胞ホルモンが活発な時には肌が潤っていて良い肌質になっていますが、黄体ホルモンが活発な時には、皮脂が多く分泌されます。
女性の肌のトラブルが多く発生しやすくなるのはこのためです。
女性の肌の状態が変化するのはこのためです。手湿疹の症状も同様に変化します。黄体ホルモンは生理前に活発になります。
ですから、手湿疹の症状が酷くなる事が良くあります。
また、生理が始まって、次に排卵が起こるまでは、卵胞ホルモンが活発なため、手湿疹の症状は逆に快方に向かいます。
女性で手湿疹について悩んでいる人は、生理周期を把握して、ホルモンの関係と肌の状態を考えながら手湿疹の状態に注意する必要があります。
ケアの方法を1つだけで行うのではなく、状況に合ったケアを行うようにしましょう。
そうすることで、手湿疹の症状を悪化させないように改善させる事が出来ます。Sex Slave
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鬼は語り終えると、ぽつりと娘に「思い出しましたか」と問う  小説

鬼は語り終えると、ぽつりと娘に「思い出しましたか」と問う。Sex Slave
「あの、お話はよくわかったのですが……」
 娘は言葉尻を濁した。生贄だの、不作だの、そんなものは薄紅の君がいる村では起こりうるはずも無い。――この話が、最初の「薄紅の君」の話で無い限り。
 これでますます、出かけに言われた母の言葉に、何か裏があるのではないかと思え始めてきた娘であった。鬼の存在を知っていたのだろうが、答えを与えるなとはどういうことだろう、と思案にふける。
 鬼は娘のつれない態度に、またもはらはらと涙をこぼした。
「思い出していただけない。私はあなたの心に、わずかばかりも、留まることができなかったのですか」
「そうではなく。あの、わたしはおそらく、あなたの薄紅の君ではないのではないでしょうか」
 娘も持つ力といい、赤い衣のことといい、無関係ではないのだろうが、残念ながら娘には鬼の妻となった覚えはない。すると、鬼はゆるゆると首を振った。
「むごいことをおっしゃる。あなた以外に、私だけの人がいようはずもないというのに」
 必死にしゃくりあげるのを我慢している様子は、娘の心を責め立てる。薄絹をぎゅっと握り込んだ鬼は、涙に濡れる目で娘を見上げてくるのだ。娘はそっと手を伸ばし、鬼の涙を払ってやった。
「あまり泣かないで。どうか」
「あなたを思うと、止まらないのです。あなたを思っているからこそ、この両目から雫がこぼれる」
 とび色の瞳に見つめられ、つい娘の心は揺れてしまう。娘とて、これでも年頃なのだ。鬼ではあっても、麗しい青年からそんな言葉をかけられれば、心がかき乱されないはずもなかった。しかし、それをぐっと堪え、娘は鬼から視線を外した。
「それは、わたしではない人に贈られた言葉。わたしの目をみて言わないでください」
「あ、あなた以外に言ったりはしません! ひどい、どうしてそこまでつれなくするのですか。やはり、こんな土地神など嫌になりましたか。あなたの声も聞けない日々に、村人と微笑んでいるのが見えて、嫉妬が暴れて角が生えました。鬼に成り果てた私のところになど、もう戻ってきてはくれませんか」
 鬼はか細く声を揺らした。薄絹を被りながら、さめざめと落涙するその姿に、娘は小さくため息をついた。この誤解をどう解くべきか。祖先も交えた大きな誤解に違いない。
 鬼は震えながら娘の近くに寄り、その手をそっと握り込んだ。
「豊穣の力を消してしまったりはしませんから、もう一度私の名前を呼んでください。微笑んでくれずともいい、帰ってきてくれなくともいい、どうか、忘れたなどとはいわないでください。薄紅の君、私は約束を違えなかったではないですか」
「約束……?」
「そうです。村は人の領域。決して踏み越えず、無理にあなたをさらったりせず、あなたが私の領域を訪れるまでは大人しく待つと」
 はらはらと泣くばかりの鬼に、娘はしばし息を止められた。来るなといわれているのと同義ではないか。大人しく待つ鬼も鬼だが、言ったほうは更にひどい。あまりにも残酷で卑怯な心根が、透けて見えるようだった。その言葉をひたすらに信じ、ずっと待っていたという彼の言葉は、娘の目にも嘘偽りなどないように映った。愚かなまでに真っ直ぐで悲しい目をしている鬼の、どこ疑えよう。ああ、だが本当に、彼が薄紅の君を待ち続けていたのだとしたら、いったい何年過ぎているのだろう。
 しかし、母の言葉がただ気がかりだった。鬼に答えを与えてはならぬ。それでは、この鬼はずっと「薄紅の君」を待ち続けなければならない。彼が待っている巫女はおそらくはもう生きてはいまい。その子孫が娘の血筋。いや、子孫がいるということは、巫女を娶った男がいるということだ。それすら知らず、鬼は待ち続けていたというのか、この山で。
「あなたは時々山にきてくれたけれど、何も答えてくださらないから。私はいつも悲しかった」
 鬼が小さく鼻を鳴らす。
 答えてはならぬ。それが薄紅の君の務めだとしたら。鬼が力を消し去るのを、おそれた上の行動であるとしたならば。
 ――鬼を利用し、力を奪い取り、安寧を貪った村人の咎だ。
 無意識に娘の体が震えた。なんということを。さっと血の気が引き、ふるふると唇が震える。
 彼女の青白い顔に驚いた鬼は、そっと頬に指を伸ばした。
「どうして泣くのですか。あなたが泣くと、私は苦しくなる」
 鬼が嘆くが、娘の目からはほろほろと涙がこぼれる。祖母がなぜ山に移り住んだのかが、娘にはわかった気がした。役目を全うし、すべてが終わると祖母は苦しくてたまらなかったのだろう。いまだ「薄紅の君」の存在を信じ、山で待ち続ける鬼。彼を思って、苦しくてたまらなかった。母も承知だったに違いない。おばあさんになれば、祖母の気持ちがわかるだろうと告げたのは、母も理解していたからだ。
 山でのみ見られるもの。この鬼の待ち姿を、せめて映していようと。傍にいようと。薄紅の君を終えた女は山に住むのだ。世間を疎むのだ。鬼に焦がれるがゆえ。
「あなたが真実を知ったら、今度こそお怒りになるでしょうか」
 なんと罪深い一族だろう。なんと業深い村だろう。娘はか細い声をあげて鬼を見る。
「私が怒るから、あなたが泣くのですか? そうであるのなら、そんなことは致しません」
 的外れな返答に、娘はしばし泣いた。鬼の怒りは当然であると思うし、そうと知って黙り続けている村人にはそれ相応の罰が当たるべきだ。しかし、この鬼が怒りを全て吐き出し終えたとき、果たして何が残るだろう。すべてを出し切り、消えてしまうのではないかと思った。
「あなたが泣くから、私は非道な振る舞いができなくなりました。薄紅の君、いつも、いつまでもあなたがそこにいてくれさえすれば」
 そっと抱きしめてくる腕の中で、鬼はもう狂っているのではないかと感じた。人はいつまでもあり続けることはできぬ。それを忘れてしまうほどに、長い年月を待ち続けていたのだろうか。あるいは、真実をどこかで理解しているのでは。
 そう問いかけようとして、娘は息を詰まらせた。鬼の名前を知らぬがゆえに、呼ぶことはできなかった。代わりに首を振って、鬼の上品な着物を掴んだ。
「わたしは、薄紅の君ではありません。もう、衣がありません」
 薄紅の君は決して布を取り去ってはならぬ。布がない娘では「薄紅の君」を名乗る資格があろうはずもなかった。
 しかし、娘の血の濃いこと。母も祖母も同じ顔をしており、一族の本家筋の女たちは皆同じ顔――巫女と瓜二つの顔をしている。鬼の注いだ力が招いた奇跡か、あるいは妄執か。鬼に成り果てた土地神の目には、娘もまた「薄紅の君」に映るのだった。
「あなたがいればいいのです。どうか薄紅の君。淡く色づく私の姫。あなたの衣はここに」
「いいえ、いいえ違います。わたしの衣は、どこにもない。あなたの姫は、この村にはいないのです」
 娘は必死に頭を振った。娘のための衣など最初からありはしない。薄紅の絹は一族に伝わる物で、薄紅の君とははるか昔の巫女のこと。娘は喉をからして訴えたが、とび色の瞳は不思議そうに瞬くばかりであった。
「あなたはここに、衣は私の手の中にある」
「違います」
「いいえ」
 鬼はわずかに笑う。微笑んだ拍子に涙がすべり、またも頬からほろりと落ちたようだった。

「それ以外の答えなど、私は必要としないのです」


 見事に美しい男の、それは本音であったのか。
 娘が息も視線も鼓動すら奪われ、その鬼の吸い込まれるようなとび色の瞳に釘付けになったときであった。
 突如、けたたましい音と共に扉が破られ、何者かが侵入してきた。何事か、と娘が感じるよりも先に、鬼がうっと息を止めた。
 見れば、鬼の腹から一振りの刃が生えている。娘は、きょとんと瞬いた。なぜこんなものが、いきなり。そう呟き、じっと刃を眺める。頭が追いついてはいなかった。
 そんな間にも、見事な細工が施された藍色の着物が腹を拠点に、じわり、と紫に染まっていく。光にきらめく白刃は、鬼の血を吸い、ぬるりと妖しい輝きを放ったようだった。
「娘、生きておるか!」
 鬼の背後で刀の柄を握っていた男が、顔を青くしながら娘に声をかけた。娘は呆然と、はい、と答える。当たり前であった。鬼は娘を傷つけぬ。焦がれて焦がれて、正気をなくすほどに焦がれて。そうして鬼に成り果てた、土地を守りし神なのだ。
 男は腹を一突きされた鬼の背を蹴り、力任せに刀を抜いた。力なく、鬼はその場に倒れ込む。血が降りかかり、震える娘は男を見やった。
「な、なにを……!」
「怯えることはない。このように、ほれ、鬼はおれが討ち取った。村に巣食う悪鬼は、これでいなくなったのだ」
 男は、都よりきたる雅人の身の回りを警護するために、共に村にやってきたのだと娘に明かした。娘の恐怖が、鬼と身元のわからぬ男にあると思ったのだ。娘の恐怖が鬼を失うことにあると、思いつきもしない。ただ、比類なき力を持つといわれる鬼を、自らが討ち取ったことに舞い上がっているようだった。
「主に命じられ、この山のみに咲く薄紅の花を摘みにきたのだが、そこで老婆と出会ってな。足を痛めて動けない、というから村に送り届ければ、山の家に娘がいったと家のものが慌てたのだ。ならばおれが見てこようと、こうして参ったが、まさかこんな鬼がいようとは」
 そうして、腹から血の海を広げる鬼の背を、一度蹴る。娘は思わず悲鳴を上げた。美しい鬼。ただ一途であったばかりに、人に騙され、捨てられて、末路がこれではあまりにもむごい。
 しかし、鬼は血だまりから、ごぼりと息を吹き返した。娘の悲鳴を聞きつけて蘇ったかのような、見事な間合いであった。ゆらりと体を起こし、鋭い目つきで男を射抜く。
「薄紅の……、薄紅の花を摘みにきたというか」
 低くうなる声は、もはやさめざめと泣く鬼ではない。鬼の爪がまたたく間に伸び、鋭さを増したのを娘は見た。
「あの花は、私が薄紅の君を思う縁(よすが)に生み出したもの。下賎なおまえには、触れることすら許されぬ花よ」
 ぎりりと鬼の歯がなる。またたく間に外が暗くなり、次第に轟々と雲がうなり声をあげるようになった。男は悲鳴をあげ、娘は恐怖に身をこわばらせた。人間の動きを止めることなど、鬼と成り果てた神であっても容易いことだった。触れれば切れるほどに、鬼の爪は鋭く、軽く撫でられただけでも人間の肉など骨ごと切り裂かれてしまいそうだ。
 しかし、鬼はすぐにその比類なき力を鎮めた。愁いを帯びたとび色の目は伏せられ、空も明るさを取り戻す。
「去れ。ここは私が治める土地、余所者が寄り付いていい場所ではない」
 静かな声で告げてから、鬼は男を睨み上げた。とび色の目は、燃えるような怒りを宿していた。
「だが、忘れるな。私がおまえを許すのは、私が寛容であったからではない。私のただ一人の姫が、人を許せと泣いたからだ」
 動くことを許された男は、顔面を蒼白にし、ほうほうの体でその場を逃げ出した。腹をかばって立ち上がった鬼は、男の残した刀を床から取り上げると、くだらぬとばかりにへし折った。鬼の表情が嫌悪で歪んだのは、これがはじめてであった。
 しかし、神であっても鬼は鬼。白刃でつけられた傷は、じくじくと鬼の体を蝕んでいるようだった。がくりと膝を付き、肩を上下させて荒い息を繰り返す。娘は這ってその傍に近づいた。腰が抜けてしまったのだ。青い顔をしながら鬼の具合を窺った。
「動か、動かないでください。血が、たくさん……。すぐにふさがなくては」
「薄紅の君。あなたが泣くから、私はとても弱くなりました。泣く、怯える、弱い私になりました」
 鬼は微笑んで娘の頬に手を添えた。べっとりと血がへばりついたが、娘は怯えはしなかった。それよりも、別のことに怯えている。
「友人からは笑われて、怒られて、お前は馬鹿だと。鬼にまで成り果てた、愚かな神だといわれました」
 鬼が話し続ける横で、娘は必死に傷を押さえる。娘には手当ての知識など無かった。どうすればいいのかもわからず、血を止めることばかりが先に浮かんでいたのだ。その愚かな懸命さを、鬼は微笑んで受け止めた。
「けれど、そんなもの。どうでもいいのです。豊穣の神、と敬われてもちっとも嬉しくない。私は、私の喜びを目指しただけ」
「しゃべらないでください。動くと、血が」
 血が止まらぬ。鬼の腹からはとめどなく溢れ、今や娘すらも赤く染め上げていた。
「ああ」
 己が血でうっすらと紅色に染まった娘をみて、鬼はうっとりと目を細める。愛しげに娘の頬を撫でて、とび色の瞳から涙がこぼれた。
「私はただ、あなたが欲しかったのです」
 鬼は、静かに事切れたようだった。

 山の奥にある家からは、深い絶望の声が聞こえた。


 とある山の裾野に、奇妙な因習がある村があった。
 ある血族に女児生まれしとき、数えて十四年を超えた春より、薄絹を被らせよ。
 それは豊穣を呼び雨をもたらす巫女を、村につなぎとめるための儀式。鬼の目をくらまし、豊かな土を得るための儀式。しかし力を与えた鬼亡き今、村の土は痩せ、作物は今までたわわに実ったことが幻であったかのように、枯れるばかりであった。当然だろう、今まで豊穣を呼んだ神はもはや失われた。加護なき土地に、繁栄は訪れない。
 かつて巫女であった一族は糾弾され、村人から責められたが、一族の女たちは逆に彼らをたしなめた。
「嘆く前に、耕しなさい。そして田畑に心を砕きなさい」
 今まで巫女の力で潤っていた田畑は、もはや耕すことすら必要のない土地であった。そのため、人々は土を耕すことを忘れたのだった。巫女に頼りきった末の堕落の姿だ。
 鬼が見たらどう嘆くだろう。それとも怒るだろうか。やはり、「どうでもいいのです」と笑うのだろうか。

 枯れた村には不思議なことに、薄紅の花だけが根付いた。
 ゆれる、薄紅の花だけが。威哥王
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踏んだものが軽い混乱状態になる魔法陣を描いた  小説

 その戦場は、混乱を極めていた。
 エドール帝国最強であるはずの帝国騎士団が、戦闘開始から五分ともたずに崩壊したのだ。
「進め! 正面突破だ、切り崩せ!」
 帝国騎士団団長は、団長のみ着用が許されている表が白で裏が赤のマントを翻して叫んだ。
 だが、いつもならすぐさま応じるはずの部隊が動かない。
 それどころか彼の愛馬は哀しげに嘶き先へ進むことを拒み、彼の愛する団員たちは……同士討ちをはじめるもの、馬から飛び下りて走り出すもの、泣きだすもの、立ち尽くすもの、喚くもの……人も馬も、混乱していた。
 『聖薔薇十字剣』と呼ばれる細身の剣を抜いて喚く団長のすぐそばに、ふわりと降り立った者がある。
 紺色の髪を頭頂部で一つに結い、表が黒で裏が赤のマントを纏い『聖百合十字剣』を佩いた、女剣士だ。
「……アマーリエ……お前、何をした!」
「馴れ馴れしいぞ、ヴィットリオ・カランド騎士団長。わたしのことはエヴァルド百合十字隊隊長様と呼べと何度も言っているであろう!」
「さま、だとぉ!? 俺は帝国騎士団長、お前は百合十字隊隊長、立場は対等だろうが!」
「ふふん、たった今、わたしが率いる百合十字隊がお前の隊を制圧したぞ」
 目玉をぎょろぎょろと動かした騎士団長は、戦場の様子を確認するなり剣をおさめた。
 そこかしこで、百合十字隊の隊員が持つ『百合十字剣』が騎士団員の喉元に突きつけられている。
 ヴィットリオは、深々と溜息をついた。
「……親善試合といったのはそっちだろう。これでは親睦は深まらないぞ」
「親善試合とはいえ、戦は戦だ。生憎うちの隊には手抜きという発想はないのでな。敵は潰す。それだけだ」
 にやり、と朱色の唇をもちあげたエヴァルドに、ヴィットリオは薄ら寒さを感じた。
 こんな好戦的な神殿警護部隊など、この広い大陸のどこにも存在しないだろう。
「……で、エヴァルド。君たちはどんな戦術を使ったんだ?」
「簡単だ。踏んだものが軽い混乱状態になる魔法陣を描いた。いまうちの隊員が混乱を治癒している。ああ、安心しろ、後遺症は一切ない」
 ギリギリと、ヴィットリオは歯噛みした。
 騎士団は魔法は使えないが、神殿警護部隊は魔法が使える。そのことは知っていたが、まさか親善試合で使ってくるとは思っていなかったのだ。
 ヴィットリオの愕然とした表情からそれを読みとったエヴァルドは思わず苦笑を浮かべた。
「……ヴィオ」
「……なんだ」
「お前は昔から兵学校の教官に言われていたな、考えが足らない、と……。魔法を使って闘うのが我々の戦術だと知らないとは言わせないぞ?」
 ヴィットリオの顔が苦悶に歪み、後悔しています、と大書された。
「ああ、知っていた、知っていたさ! でも真正面から行けば勝てると思ったんだ! そっちは人数も少ないし女性だし! どうせ俺の作戦ミスだ」
 よくこれで騎士団長が務まっているな、と、エヴァルドは再び苦笑した。
「……エヴァルド百合十字隊長!」
「なんだ?」
「半年後の再戦を申し込む。今度は騎士団は……負けないからな」
「……いいだろう、受けて立つ!」
 微笑を浮かべた両者の間に、青白い火花が散った。
 
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