魔法

2011/2/14 
飲み友達の大将は、頭に葉っぱをつけたまま現れた俺を見てかかと笑った。「やあ、お前はいつも薄汚れているな」「そいつはどうも、今日も犬と喧嘩してきたもんで」「馬鹿め」
 大将と知り合ったのは夏の終わり、花火大会のころに転がっていたビールを舐めてしたたかに酔い、近所の飼い犬と大喧嘩していたところに水をかけられ、大いに説教されたのが始まりだ。とはいえかけられたのがコップ一杯の日本酒だったせいで説教の内容はとんと覚えていない。

 月の見える縁側に座って、差し出される干し肉を遠慮なくつまんだ。彼の趣味であるらしい手製の料理は、いつか連れていかれた店のものより塩気が薄くて丁度いい。
 手も洗わずに更に手を伸ばした自分をぴしゃりと箸で叩き、大将は鼻に皺を寄せてくしゃりと笑う。
「育ちがわるいもんで、どうも」
「相変わらずだよなあ。ところで、そいつはお前さんの娘っこか?」
 は、と口を開けた瞬間に、良く冷ました芋煮が一つ放り込まれる。膝の上の重みに、慣れ親しんだ温度。
 芋を飲み下すまでの間は喋らずとも不自然ではない。膝の上にかじりつくようにして眠っているツインテールの美少女を見下ろして、俺は一つため息をついた。恐ろしくつやのある黒の髪に、黒の簡素なワンピース。消し忘れている髭を指でなでると、それは夢のように掻き消えた。
 いやはや、ついてきたのか。やんちゃな弟分を叱るためか、自身の好奇心を満たすためにか。
「いえ、姉です。猫は化けるのに時間がかかるので」
「おてんばなやつだなあ」
 しかし、肝が冷えたようだな? にやりと笑いながら、大将が顔を指差して見せる。もらった椀に顔を移すと、目の周りの変化が解けて、狸の隈が浮き出ていた。
0

teacup.ブログ START!

2011/2/14 
ブログが完成しました

ケータイからも、閲覧、投稿が可能なので、どこからでもブログの更新が行えます!

teacup.ブログはひとりで複数作成可能なので、ブログの内容によってブログを使い分けることもできます。
ブログ追加新規作成

また、投稿の仕方、管理画面の使い方につきましては、ヘルプ一覧ページに詳しく記載されています。
ヘルプ一覧

*この記事は管理画面から「投稿の管理」→「削除と編集」より、削除または編集していただいて構いません。
0



AutoPage最新お知らせ