2011/8/25

されこうべが…  

また白墨の少し長目のものを拾うと、それを四面に削り、そこに文字を浮彫にした。

中学一、二年の頃には、習字や漢文で漢詩をいろいろ習ったが、それを彫った。

「月落烏喘……」などを細かに文房具 通販で買ったナイフで彫った。

尤もこれは教室だけで簡単に仕上げられるものではないので、家へ持ち帰って、机の上を粉で真白にしながら完成した。

おれにも造ってくれよと友だちに言われると、嬉しくて造ってやった。

昨年久し振りに中学校の同級会に出席し、お互いに歳をとった昔の友だちと話をしている時に、その中の一人が、私の文字を細かに彫った白墨をまだちゃんと持っていると言った。

大事にとっておいてくれたというより、何となく残っていたのであろう。

その話をきいてから、今やったらうまく出来るだろうかと思いながら、造っていない。
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2011/8/13

もう一つの思い出  

焼石膏製のものと炭酸カルシウム製のものとあって、それに加える材料もいろいろある。

このことは私として知っておきたいが、分ったような顔をして書くわけにはいかない。

私には文房具 通信販売の白墨で想い出すことがもう一つある。

それは白墨のかけらを利用して、どういうものか、骸骨を沢山造った。

されこうべである。

かけらを見付けると、ナイフでせっせとされこうべを造った。

それを欲しがる友だちにはやり、自分では机や窓のへりにずらりと並べていた。

私は他人がやっていることをやってみたがる性質で、随分いろいろのことを試み、それなりにある程度は出来たが、どういうものか彫刻だけはうまく行かない。

器用なつもりで木彫をやっても、また粘土で人の形を造ろうとしても、全部失敗をする。

それでいてどうして沢山の燭骸を造ったのか、おかしなことをしたものである。
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2011/7/28

厳しい授業  

時間がたっぷりあるわけでもなし、また点を特別に甘くしてもらえるのでもなし、損な役目であった。

黒板に書く自分の字がいかに貧弱に見えるかはその頃からまことによく分った。

力を充分に入れて、濃く書いたつもりの字でも、席へ戻ってそれを見ると、薄くぼやけていて、悲しい字であった。

そんなことが、教師になってからも思い出され、なるべく黒板に字は書かないようにしたのかもしれない。

フランスと言えば、白墨は明治六年にフランスから輸入されたもののようである。

私はフランス語でla craieと教えられた。

フランス人の先生は大変厳しく、教室の窓からぼんやり外を眺めたりしていると、白墨のかけらが非常な勢いで飛んで来た。

隣の友だちと喋ってでもいようものなら、何時間でも黒板に向かって立たされた。

文房具 通販で売られているのではなく教材文具のうちで大きな役割を果たしている白墨の製造法を本で見ると、単純のようでなかなかさまざまの工程を経ている。
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2011/7/15

小学校からフランス語!  

自分がおそわった多くの先生のうちでも、白墨をさかんに使う方と、矢張り殆ど使わない方があったが、しかし一人一人先生方の教室での姿を思い出してみると、それと一緒に黒板に書かれた字を思い浮べることが出来る。

だから、学校での白墨の消費量は莫大なものだと思う。

最近は塾もあるから、文房具 通信販売で手に入るのだろうか。

用器画の先生は大きな定規、コンパスを使って黒板にうまく図形を描かれたし、歴史の先生は、絵をよく描き、絵がうますぎてそれに感心ばかりしているうちに話はどんどん進んでしまった。

博物担当の先生も、花や動物の解剖図がうまかった。

私たちは小中学校からフランス語を勉強する学校にいて、フランス人の先生から教えられた。

その先生の和文仏訳の試験の時には、よく私が呼び出されて、問題を黒板に書かされた。

急いで書いてしまって、自分も席に戻ってその問題をみんなと同じようにしなければならない。
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2011/6/26

チョークあれこれ  

私は二十五年間、学校の教師をしていた。

それならば、随分沢山の白墨を使ったろうと人は思うかも知れないが、殆ど使ったことがない。

従って黒板もほんの数える程しか使っていないということである。

どうしてだか自分にもあまりよく分らない。

文房具 通販で白墨が売られているかは分らないが。

白墨を使うのがいやだったわけでもないし、粉が肺に入るのが恐ろしかったのでもない。

ただ黒板へ何かを書いて示すような喋り方をしていなかったとしか思えない。

ほかの先生の代りに試験問題を二、三行書いたこと、生意気にラテン語を書いたことが一度。

あとは思い出せない。

私の友人で、差向いで話をすると、すぐに紙を出して図解をして見せる人がいる。

少々込み入った話だとこちらはよく呑み込むことが出来て楽ではあるし、間違って受け取るということもない。

また印象の残り方も強い。

こういう人が教師になるとさかんに黒板を使うだろうと思う。
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