(無題)  

見たかいエミル、蜘蛛が網の動くので獲物のかゝつた事を知つた時にかくれ場所から飛び出して来るのを。何んて早いんだらう? だけども、此のはじめの狩は駄目だ。獲物は逃げてしまふし、網も破れてしまつた。』
『さうだ。だが蜘蛛はその破れを手入れするよ。』と叔父さんは、ジユウルを安心させました。
 そして、本当に蜘蛛はすでに、その不幸を回復しました。じよらうぐも 破れた網を、非常に器用に、新らしくつくり更へました。繕ひかゞりは済みました。


吃音薬
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鈴木真仁・桜井智・赤土眞弓の説明・紹介  

私は中学時代だったが、傍で聞いていて、何とも言えない苦悩と、無常と、いきどおりとの混じった気持を感じた。
「あのお仲さんが?」と思うと堪えられない気がした。
 芳正君の一家もまた没落の運命を辿った。中学には私より二年も遅れて入ったが、同じ状態で仲間から侮られ、成績はますます悪く、とうとう中学退学してしまった。父親は頑迷のため職をくび切られ、この一家もまた庄原の町から立ち退かねばならなくなってしまった。
 婦徳のかぎりを尽したあの母夫人がどうして不幸に沈まなくてはならないのだろう。芳正君も憎むべき落度は少しもない。人は好かったし、怠け者ではなかった。父からの何か不幸な血の運命があった。夫人は女大学風に育てられ、媒介によって、家から家に嫁して来て、妻となり、母となってその婦徳と才能のかぎりを尽したのであった。


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