2012/7/28 | 投稿者: 花を枯らす人

 しかし、そんな日々にも、終わりがきた。
 彼女にふられ、傷心の時をすごした自宅を捨てたいと思い始めた。そうなれば、引越ししかない。

 私は、一切合財の花を捨てた。かりんや河津桜は、元彼女に預けた。他にも、花をもらってくれるところを探した。ほとんど見つからなかった。
 ゼラニウムは、都合の悪いことに多年草だった。だから、枯れて終わり、というわけにはいかない。始末に困った。

 夜間、私はそっと多摩川のほとりに出た。そこでプランターにある土も、花も、全部捨てた。自分の心の中では、最低だと思った。だが同時に、これが自分に似つかわしい行動だとも思った。愛するものを抱き続ける、そんな生き方はそもそも自分にはできなかったのだ、と。
 そして、全ての花を処分して、私は新居に引っ越した。もう何年も前のことだ。

 なお、捨てられたゼラニウム達は、実は生き残ったらしい。後日、花を植えた多摩川沿いの場所にいってみると、みんな根こそぎなくなっていた。誰かが持っていったのだろう。

 ともあれ、私が花を育てることは、もうないだろう。
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2012/7/27 | 投稿者: 花を枯らす人

 ゼラニウム。育てやすい花で、そこそこ美しくもある。
 ただ、アイビーゼラニウムを除くと、香りは好ましくない。

 ある日、近所の花屋の軒先で、3株180円の安売りだった。かわいそうに、どの株も枯れかけていた。もう、廃棄寸前なのだろう。
 気の毒になって、買って帰った。
 あまったプランターの片隅において、適当に水と肥料を与えた。育つとは思っていなかった。

 だが、考えが甘かった、というべきか。
 ゼラニウムの生命力は、とてつもなかった。真夏の一時期だけは、葉が白くなるなどの被害が出たが、そうでもなければ、まったく枯れる気配もなかった。冬の寒さもなんのその、ほぼ一年中、咲き続けた。

 昔、園芸を始める前は、私はセントポーリアが欲しかった。なぜなら、ほぼ一年中咲くからだ。しかし、今、ゼラニウムを見て思うのは、ずっと咲きっ放しでは風情がない! ということだった。

 しかし、そんなことを言ってもどうしようもない。ゼラニウムは、増え続けた。それも圧倒的に。
 気付けばもう、新しく種を買うことはなくなっていた。プランターの開いた部分全てにゼラニウムが入った。そして、物凄い勢いで成長を続けた。もはや、私のお花畑は、ゼラニウム畑だったのだ。
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