2012/10/13

ねじれ国会  


 いわゆる「ねじれ国会」なることばは,朝日新聞による造語(1989年7月30日朝刊で使用)とのことで,マスコミはこぞって批判的な文脈で使用する傾向にあるが,二院制の国会を採るわが憲法の下では,かかる現象は,当初から想定されているものであり,議会制民主主義が正常に機能していることの証左であろう。

 二院制については,フランス革命を指導したシェイエス(Abbie Sieyes 1748〜1836)は,つとに「第二院(わが国では参議院)が何の役に立とうか,もしそれが代議院(わが国では「衆議院」)と一致するときはそれは無用であり,もし,代議院(衆議院)に反対するならば有害である。」と説いている。

 このように,十分に民主化された議会制の下では一院制で十分とされ,わが日本国憲法の草案も一院制となっていたところ,憲法改正を審議する第90回帝国議会において,@一院制では審議の慎重を期待し得ないことがあり,A一院制では選挙により多数党が交代すると直ちに政策の急展開が行われがちであり,国政を不安定にならしめる危険があることを理由として,二院制が採用されたという。

 かくて,第二院としての参議院の存在理由は,急激な改革をさけて,保守的・斬新的調和を求めようとする精神(理の政治)にあり,したがって,何らかの違った選挙法を採用することにより,従来の職業政治家にとどまらず,違った立場から学識経験ある人物又は多少なりとも職能代表的要素を加えることが要請されよう。

 けれども,わが憲法は国会議員の任期のみを明定し(45条,46条),他の事項(選挙区・議員数,被選資格等)は,法律に委任していることもあり,ひとり党利党略のみ優先され,現行選挙法の下では,参議院も衆議院と遜色のないものとなり(参議院の衆議院化),もともと参議院に期待されていた「良識の府」としての機能が果たされなくなっている。困ったものだと思う。
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