孤独感にさいなまれつつ、誰かとつながりたい人へ〜映画『カミハテ商店』〜

2013/2/19 | 投稿者: タリタリ

欧米では作られないであろう、そして理解されないであろう映画かもしれない。
が、劇場は大入り満員。
心の奥底で孤独感にさいなまれつつ、誰かとはつながりたいという
ネット社会とも何か通じるものを感じる映画でもある。

映画の舞台は、『上終(かみはて)』と名づけられた断崖絶壁のある
集落からはじまる。
そこで万屋を営む千代(高橋恵子)の日課はコッペパンを焼く事だ。
彼女は毎日どこか具合が悪いのか横になっている。

正午近くになるとバスがやってきて運転手(あがた森魚)が警笛をならす。
もう一度ならしてバスが引き返すと、千代は安心したかのように眠る。

無料アダルト動画の断崖にある千代の店で、コッペパンと牛乳を買って
最後の食事にした後、自殺する人間が後を絶たないからだ。
そして、千代は自殺した人間が断崖に残した靴を持ち帰る。
何故なのか?

それは物語の最初に隠されている。

物語の最初で、少女が父親を呼び止める、少女の手には男物の靴。
飛び出していく周囲の大人と、その様子をただ見ているだけの少女。
少女は幼い頃の千代、彼女は父親を自殺で目の前で亡くしている。

死にたければしねばいい、と千代は自殺するつもりでパンと牛乳を買いにきた
自殺志願者であろう人々に冷たく接する。

しかしそんな彼女も、時として引き止める人々がいる。
牛乳を配達しにきてくれる自閉症の奥田(深谷健人)が死のうとした時、
そして千代の弟・良雄(寺島進)にいれこんだホステス(平岡美保)が
身投げしようとした時・・・

彼女自身生きていくのが一番辛かったのではないだろうか?
カミハテで自殺志願者に黙々とパンを作り続けていたのは
千代が、生きていくことが死ぬより辛い中、
自分とこの世をつなぎとめる『大事な誰か』を見つけたかった。
そして、その様な人が自殺を選んだときにひきとめたかったのではないかと思う。

生きていくことが死ぬより辛い中、この二人が自分とこの世をつなぎとめていた
存在であったと気づいたのではないか、
そう思えて仕方がない。
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