第3部 第79話 これからもずっと・・・  

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それからしばらくして、9月に入ってまだ間もないある日のこと・・・
いつものように、夜、優から電話がありました。
優の話によると、当初予定していたよりも転勤が早まり、あと10日足らずで、本社に赴任しなくてはならなくなった、というのです。
私は、転勤を祝福したうえで、自分の考えていることを話し、実家に帰ることで、それ以降の連絡が取れなくなったとしても大丈夫だから・・・と、明るく話してみせました。
それは、優に語りかけているというよりかは、まるで自分自身に言い聞かせているようでした。
優が幸せになるためなのだから、そうなったとしても、それはそれで仕方のないことだと、わかり過ぎるほどわかっている・・・。
でも、実際にそうなってしまったら、きっと私は、また1人になる時間が来ると、大きな喪失感から抜け殻のようになってしまうのかもしれない・・・。
そうなることを最低限に済ませるために、私に出来ることは、優の幸せを一番に祈ることと、自分自身の心の奥に潜む寂しさを、決して表には出さないことでした。
そんな私の心を、優は察してくれていたのでしょう。
「本社勤務になると、今よりも仕事が忙しくなると思うけど、今までのようにメールも
電話もするから、しおんは何も心配することはないんだ。俺たち、いつかは逢おうな。
絶対に逢えるよな。だから、これからも、ずっとずっと、ずっとよろしくな・・・。」 
私は、優の言葉がとても嬉しくて、涙が出そうでした。
そして、その言葉に応えるためにも、今度こそケイとのことをはっきりさせなければならないと思ったのです。
もしも、ケイの気持ちが私にないのだとしたら、きっぱりと諦めて気持ちを切り替えないと、自分がダメになってしまうような気がしていました。

ケイは、9月に入って忙しさが落ち着いても、私に逢いに来てくれる様子は、一向に見られませんでした。
相変わらずメールも途切れがちで、内容も淡々としたものばかり・・・。
ケイの気持ちが見えなくなってしまった私が、何度か気持ちを確かめようと問いかけたことに対し、こんな返事をくれていました。
「オレの言ったことが、あいに影響を与えることが怖くなっている・・・」
「誰かを好きになることに、臆病になっている・・・」
いつも、気持ちがはっきりとわかるものではなく、何となく曖昧な感じのする言い回しでした。
何度気持ちを確かめようとしたとしても、いつもこの調子ではらちがあかないと思い、取り敢えず結論を出してもらおうと考え、
「私と、今後どのように付き合って行くつもりなのか?」
そう問いかけたのに対して、ケイからの返事はあっさりしたものでした・・・。
「友達として付き合って行こう・・・。 それでいいよね?」
この答えは、だいたい予想が出来ていたので、あまりショックは受けませんでした。
しかし、当時の私は、ケイときっぱりと別れてしまうのではなく、どんな形にしろつながっていたいという願望しかなく、そのためには、自分の中にあるケイに対する想いを、完全に友達という形に切り替えるしかないと思っていました。
しかし、それは簡単なようで、案外難しいものなのだと、後々思い知ることになります。
ケイが他の女性と仲良くしていると嫉妬したり、これまでの経緯や、納得出来ないことに対して、必ず気持ちの葛藤が湧き起こるのです。
その度に、私はただの友達なんだからと、自分に言い聞かせなくてはならず・・・、
諦めが悪く、気持ちの切り替えが下手なことを、実感せずにはいられませんでした。
ケイの嫌な面が見えているはずなのに、簡単に割り切ることが出来ないような複雑な想いは、それからもしばらくの間続いていくことになるのです。
出来ることなら、これからもずっとケイへの想いを大切にしたかったし、ケイにもそうしてほしかった・・・。
でも、時の流れと共に、人の心は変わってしまう。。。
もうケイの心は私にはないという現実だけが、私の心を苦しめ続けていきました。

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彼女の再三の問いかけに、
『オレの言ったことが、あいに影響を与えることが怖くなっている・・・』
『誰かを好きになることに、臆病になっている・・・』

なぜケイはこんな返事を続けているのか、わからなくもない部分もあるけれど、やはり男として、はっきり結論は出すべきだと思うのです。
同郷ということで関係を切ってしまうのはもったいないと思っていたのか、それとも妻や子のいる身で、彼女との不倫にはとてもじゃないが踏み込めないと思っていたのか・・・。

『友達として付き合って行こう・・・。それでいいよね?』の言葉で、彼女はケイとの関係にようやく一区切りがつけられたのですが、ここに書かれているように気持ちを切り替えるのにさんざん苦しむのに、その後も現在に至るまで、同郷の異性の友達として本当につきあいが続くとは、やはり田舎ならではの濃い人間関係と、リアルの友人の少ない彼女の性格によるのでしょう。
私だったら、これだけ悩み苦しめられたら、気持ちを切り替えて友人としてなんて、つきあえないです。

優とのことでは、本音を言わずにすべてを我慢して、現実のつらさを自分だけで処理しようとする自己犠牲の歪んだ考えが書かれていますが、それは結婚したあとの夫の英治の行動に対しても同様で、若いころからまともな恋や男性とのつきあいをしてこなかった彼女の決定的な悪い性格でもあるのです。
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第3部 第78話 魔性の女「しおん」  

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亜希子さんからのメッセージには、「サークルを一時閉鎖する」と書いてありましたが、調べてみると、私を追い出した後に、サークル名だけを変えて活動を継続しているということがわかりました。
優が退会した後のサークルは、あまり楽しい場所ではなく、このまま続けて行きたいという気持ちは強くなかったけれど、こんな形で退会されられたということは、やはり気持ちの良いものではありませんでした。

優から私の元に電話が来たのは、管理人の亜希子さんから強制退会通知が来て、30分ほど経った頃でした。
私は、梨奈さんと亜希子さんからのメッセージの内容を話し、

私:「どうしてこんなことになったのか、わからないんだよね。。。
   だって、私と優とのことについては、サークル内の人達は知らないはずな
   のに・・・。一体どういうことなんだろう?
   それより、亜希子さんと付き合っていたんだったら、何で私にそう言ってくれな
   かったの?」
優:「実は、さっき亜希子さんからメッセージが来たんだ。
   しおんとのことを訊かれて、今でも付き合いがあるって正直に話したから、
   怒ってしおんを追い出したのか・・・。
   俺と亜希子さんはね、確かに何度か話はしたんだけど、
   話を聞いているうちに、彼女の口から、複数の男性の話が出て来るんだよな。
   早く私に告白しないと、誰かのものになっちゃうからって。
   俺の競争心をあおりたかったのかもしれない・・・。
   でも、それって何か違うよなーって・・・。
   いろいろな人と付き合っているみたいなんだけど、
   俺はその中の1人にされるのが、嫌だと思ったんだ。」
私:「もしかして、私、亜希子さんに嫉妬されたのかな? 優を略奪した悪い女だっ
   て・・・。サークルの中では、一番おとなしくて真面目そうだったのに、
   実は魔性の女だったなんて、思われてたりしてね(汗)」
優:「そうかもしれないな。今頃サークルの中で言われてたりして・・・。
   魔性の女『しおん』 だって(笑)」
私:「えー、私ってそんなキャラじゃないよ。全然違うのになー。
   勘弁してほしいよね(汗)」

仕事中だというのに、こっそり電話をくれた優の話を聞いているうちに、私はようやく気持ちが落ち着いてくるのを感じていました。

それから優は、急に神妙な口調で、こう切り出したのです。
「話は変わるけど、しおんに聴いてほしいことがある。実は俺、10月から本社勤務になりそうなんだ。そうなると、今いるところを引き払って、実家から会社に通うことになる・・・。」
私は、あまりの突然の話に、驚きを隠せませんでした。

優が本社勤務になって実家に帰るということは、つまり、もう今までのように夜の電話が出来なくなるし、家に居る時間はメールも出来ない・・・。
そうなると、これで私達の付き合いが終わりになるのかもしれないと、思いました。
もちろんそれは、私にとって、ものすごく寂しいことです。
でも、これで優は、単身赴任生活を終えて、やっと家族の待つ家に帰ることが出来るのです。
聞いたところでは、単身赴任生活の優の食事は、決して良いものとはいえませんでした。
健康面のことを考えると、私は、そんな優のことが、とても気にかかっていたのです。
しかし、家に帰るとなると、食事の心配をしなくても済むし、何よりも家族と一緒にいる時間が大幅に増える。
優にとっても家族にとっても、そうなることが、一番の理想の姿なのだと思いました。
それが優にとっての真の幸せなのだから、これを機に、私達の付き合いが終わってしまうことになったとしても、それは仕方のないこと・・・。
短い間だったけれど、優にはずっと支えてもらったし、楽しい時間を過ごすことが
出来たのだから、それだけでもう充分なはず・・・。
これは決して強がりなんかではなく、私の中にある本心のすべてなのだと、
ずっと自分自身に言い聞かせていました。
せめて、残された1ヶ月余りの時間を楽しく過ごせたら、それでいいと思ったのです。
しかし、そんな私の思いとは裏腹に、優の転勤はもっと早まることになるのです。。。

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『しおんとのことを訊かれて、今でも付き合いがあるって正直に話したから・・・』
こんな返事をするとは、優もはっきり言っておバカですね。
亜希子さんのようなしたたかな女性とは、付き合ったことがないのでしょう。
そして、それに対する彼女と優のやりとりが、まさに象徴的です。

『サークルの中では、一番おとなしくて真面目そうだったのに、実は魔性の女だったなんて、思われてたりしてね。』
『そうかもしれないな。今頃サークルの中で言われてたりして・・・。魔性の女「しおん」だって』
『えー、私ってそんなキャラじゃないよ。全然違うのになー。勘弁してほしいよね』

彼女は、亜希子さんのような人を「魔性の女」と思っていましたから(第3部第61話参照)、それを引用して、自分のことを「魔性の女」とジョークのつもりで言い、
優の悪ノリに、そんなキャラじゃないと否定していますが、自分こそが「魔性の女」であることに気づいていないのです。
いや、むしろ自覚しているけど、認めたくないのかもしれません。
それは、いかにも一番おとなしくて真面目そうなふりをすることに、子供のころから
慣らされていたからなのかもしれません。優の本社転勤話での、本心を隠したやけに真面目ぶった自分自身への言い聞かせも、そういうところからでているのでしょう。
本性は、不倫はするは、男を振り回すは、自分をいつも構ってもらいたくて、同情と肯定の言葉を求めています。
いずれにせよ、彼女のようなキャラは、つきあうにはとてもやっかいな性格ですよね。
そして、このときの「魔性の女」という言葉が、彼女の性格や素性を最もよく表していると私は思い、この復讐のブログのタイトルに使うことにしたのです。
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第3部 第77話 サークルからの強制退会  

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8月に入ると、ケイの仕事はますます忙しくなっていました。
お盆を除くと休日がほとんどない状態で、メールの内容からも、その忙しい様子は伝わって来ました。
でも、9月になって忙しさが落ち着いたら、また私に逢いに来てくれるのだろうと、その頃は信じて疑いませんでした。

そんな状態の2005年8月29日のこと・・・
私がいつものようにサークルを覗いたときに、梨奈さんから1通のメッセージが届いていることに気付きました。

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お久しぶり(^v^)
しおんさん、聞いていいかな。
以前サークルにいた優さんとお付き合いとか なにか関係あるのかなぁ?
勘違いしないでね。
私は別に優さんと何かあるわけでもないし。
ただ、ちょっと思ったことがあってね。

From: 梨奈
2005/08/29 14:12:44
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それは、まるで私と優の仲を勘ぐって探りを入れるような、内容でした。
私は、優がサークルを退会した後も、個人的にメールや電話のやり取りをしていることは、サークルのメンバーには、一切話したことはありません。
なのに、どうしてこんなことを言われてしまうのか?
私から出た話でないということは、優が何か話したということなのだろうか?
これは優に訊くしかないと思い、すぐにメールをしました。
メッセージに書いてある時間からもわかる通り、優の勤務時間内での出来事です。
そして、優からの返事が来る前に、今度は亜希子さんからのメッセージが届くのです。

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しおんさんへ
今更こんな事を、私が言うのもおかしい話だとは思いますが、
しおんさん、もしかして優の事が好きなんじゃないの?
今でも、優と繋がりを持っているようで?
私と優は、一時期、真剣に付き合おうとしてましたし、
付き合ってるつもりでいましたが、結局は、逢わずに終わりました。
だから安心して下さい。
優は、とっても優しい人ですよ。保証します。
どうぞ仲良く・・・。
これを機に、サ−クルを一時閉鎖致します。
勝手で申し訳ありません。
もしかして2人で私のこと笑ってた?

From: 亜希子
2005/08/29 14:52:33

あなたは [ずっと恋していたい!] から強制退会させられました。
From: 管理人(亜希子)
2005/08/29 14:53:07
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私は、こうして管理人の亜希子さんからの「強制退会」という形で、何が何だか訳がわからないままに、サークルを去ることになったのです。
それからまもなくしてから、優からのメールが届いて、私達は電話で話すことになったのでした。

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Yahoo!の掲示板でどういうやりとりがあったのかはわかりませんが、彼女は偶然にも声をかけてもらってサークルに移りましたが、前にも書いてあるように、タイプも性格も違う亜希子さんと梨奈さんですから、彼女がケイとのことを書いたところで、あまりに幼稚な話で2人は鼻で笑っていたに違いありません。
気の強い亜希子さんの皮肉たっぷりなメッセージでわかるように、優とつきあうためにサークルをつくって、おびきよせたのでしょう。

私も一時期、SNSで何人かの女性とグループをつくり、メッセージのやりとりをしましたが、つきあうレベルまでいく前に、嫌気がさしてしまいました。
やはりネットの世界でアクティブに活動している人は、彼女もそうですが、クセが強いですね。

果たして、優からはどういう連絡がくるのでしょうか?
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第3部 第76話 紫苑(しおん)の像と私の心  

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そんなことがあった夏のある日の夕方・・・
私の元へ、優からのメールが届きました。
メールに添えられていた写真を見ると、そこに写っていたのは女性の銅像。。。
(上の写真です)

「一体これは?」意味がわからずにいる私。
「声聴けるかな?」と書かれたメールに、「家の電話の方にかけて」という返事をすると、すぐに電話がかかって来ました。
「今日は早く仕事が終わったんだよ。そしたら、すごく、しおんに逢いたくなって・・・。
 でも今からだと逢いに行けないだろう? だからどうしようかって考えて・・・。
 代わりに【しおん】に逢いに来たんだ。 しおんは、あの写真に写っている紫苑(しおん)の像って、知ってる?」

私はハッとしました。
私に「逢いたい」と言ってくれる優の気持ち、それをどう受け止めたらいいのか?
ちょうどこの頃の私は、ケイのこともそうですが、英治のこと、娘の真美のことなど、これでもかというくらいに、次から次へと問題を抱え込んでいて、情緒不安定な時期で、そんな私の話をいつも真剣に聴いてくれて、元気のないときに励ましてくれていたのが、まぎれもなく優だったのです。
それを、長く暗いトンネルの中を灯りをつけずに歩いているような状態に例えたとすると、そんな私の足元を、いつも明るく照らしてくれていたのが、優の存在だったのです。
「無理しちゃダメだよ。」「俺がしおんの心の薬になれたらいいな。」 
そう言ってくれる優の心を素直に受け入れられず、ずっと疑心暗鬼になってしまっていた私。
それに加えて、自分に対する自信のなさから、虚勢を張ってしまっていた私が、ようやく素直になって、優の気持ちを受け入れてみようと思い始めたのは、このことがきっかけでした。

優は、たとえ現実がどんな状況にせよ、「好きなものは好き」と口に出して言えるような、とても素直で真っすぐな気持ちの持ち主です。
現状も知ったうえで、自分の気持ちを受け入れて、それに逆うことをせずに正直な気持ちを話してくれるし、いつも優しい話し方で伝えてくれます。
たとえ私の話すことがどんなに辛く厳しい現実だとしても、それに対して決してマイナスなことは言ったりせずに、常に前向きな考え方が出来るように、言葉を選んで話してくれる。
私は、そんな優の言葉に何度も励まされ、いつの間にか、たくさん抱えていた心の傷も、少しずつ癒されていくのを感じていました。
優は、きっと自分が大切にしていたものを失って、大きな痛手を負った経験があるのだと思います。だからこそ、他人に対しても優しくなれるのでしょう・・・。
私達が初めて写メの交換をした翌日には、約束通り、優の写メが送られて来ました。
緊張しているような感じに見え、硬い表情をしているけれども、とても優しそうで整った顔立ちをしている男性が、そこに写っていました。

しかし、そのときの私は、ケイに対する気持ちの整理がついていなくて、苦しんでいた時期でもありました。
同じ日に機種変更した、お揃いの携帯電話・・・。 
そして、ケイが私の誕生日に仕事を休んでまで逢いに来てくれて、同じ景色を一緒に観たこと・・・。
そのときに渡された、お揃いのストラップを見る度に心が痛み、見えなくなったケイの気持ちを何度も確かめようとしては、ケイの何気ない言葉に傷付き、泣きながら眠る夜が続いていました。
そんなことの繰り返しに、心をボロボロにしながらも、優に癒される日々がそれからも暫くの間、続いていくのです。

優と私は、住んでいる場所が遠かったので、距離やお互いの置かれている状況を考えると、逢える見込みは全くといっていいほどありませんでした。
それでも優は、そのことを悲観的には考えず、いつかはきっと逢える日が来るだろう・・・。それは、何年先のことになるかは、全く見当がつかない。お互いが、歳をとったときになるかもしれない・・・。
それでもいいからと、ものすごく長い目で、逢える日を夢見ているようでした。

優と出会った頃に、私は自分のホームページを開設して、優とケイを含む何人かに限定して公開していました。
「しおんは、きっとかわいいお婆ちゃんになるんだろうな・・・」
電話で話しているとき、何かの拍子に、優は何度かそう言ってくれたことがあります。
後から聞いた話だと、最初の私に対する印象は、「ちょっとすました顔をして、気取った感じのショットバーでカクテルを飲んでいるような人」だったそうです(汗)。
そんなイメージを持たれていた私ですが、ホームページの日記を読んだり、実際に電話で話しているうちに、本当はかなりの三枚目で、気取らないお店でもお酒が飲めそうな感じだとか(確かに)、ものすごく恥ずかしがり屋だとか、どんどん印象が変わっていったようです。
私は、自分のことはよく話していますが、優のことについてはほとんど知らないことばかりです。
日々の暮らしや出来事についても、どんな悩みを持っているかということも、優はほとんど話したことがありません。
だから、私だけが優の優しさに依存しているのではないかと思うことが多々ありましたが、優は、それについては否定してくれていました。
もし、メールと電話だけの付き合いで、お互いの心が癒されているとしたら、それはある意味理想的なことなのかもしれません。
逢うことにこだわらずに、お互いの幸せだけを祈って、日々の生活を送っていくことが出来るのかというと、私は、自分でも不思議なくらいそれが出来たのです。

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優は、やはり女性の扱いに手慣れていますね。今日の話のなかに、そのことがいくつも書かれています。
彼女は別の見方をしていますが、一般的な男性から見れば、優は実に巧みに彼女の心を動かす言動を、苦もなくスラッと繰り出していきます。

まずは、「紫苑の像」
偶然とはいえ、彼女の実家の近くの御所湖にありました。
同じ名前のそれをわざわざ見に行って写メで送るとは、キザですよね。
優は仕事で盛岡近辺にいたために土地勘があり、御所湖のことも知っていたのでしょう。
もちろん彼女は、御所湖には何度も遊びに行ったことがあります。
(余談ですが、昔独身時代に彼女は高橋さんと頻繁にラブホに行きましたが(第1部第8話参照)、この御所湖のすぐ近くにはラブホが多くあり、盛岡市内だけでなくこのあたりにもよく来たようです。)
そして、彼女は自分の名前「しおん」を、この「紫苑の像」から採ったとも書いています。(私には、別の由来を言っていました。私にはごまかしていたのでしょう。)

「無理しちゃダメだよ。」「俺がしおんの心の薬になれたらいいな。」という言葉をはじめ、優しすぎる言葉や態度に、同じ男として不信感を抱きます。
その一方で、「きっとかわいいお婆ちゃんになるんだろうな・・・」とか「ちょっとすました顔をして、気取った感じのショットバーでカクテルを飲んでいるような人」と、女心をくすぐり、決してけなしたり悪口を言わなかったり、自分のことはほとんど話をしないで聞き役に徹しているのは、とても手慣れていないとできません。
ふつうは、自分のことをわかってもらおうとして、自分からいろいろと話題を作るのが常道ですから。。。

第三者から見れば疑問だらけの優のこういう言動と、彼女の性格の波長が、うまく合ったのでしょう。
こうして、優という自分を理解してくれる男性を見つけ、彼女は新たな日々の楽しみや生きがいがもてるようになったのです。
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