(無題)  

その毒のある武器は、その虫の狩りと自衛との役に立つのだ。その武器は、そのいろ/\な種によつて、体の或部分についてゐる。蜘蛛は一対の牙を口の入口に持つてゐる。蜜蜂、胡蜂、大黄蜂、はな 蜂は、螫毛を胃袋の端に持つてゐて、休んでゐる時には、その鞘の中に隠してゐる。蝮とその他すべての毒蛇は、二つの長い、孔のあいた歯を上顎に持つてゐる。蠍は尾の端に螫を持つてゐる。』
『僕は大変残念です』とジユウルが云ひました。『それはジヤツクが、叔父さんの毒虫の説明を聞かなかつた事です。それを聞いたら、ジヤツクも、毒虫の緑色の内臓が毒でない事が分つたでせうに。僕はお爺さんにすつかり話してやらう。
0

やすらぎの説明・紹介  

彼は私とキッスがしたかったのではなかろうか。それだのに私は田舎者じみた、おずおずした態度で彼を迎えたのだ。何の美しい、感激的な言葉も吐かなかったし、お話しにならない拙い、不細工なことで彼を帰してしまったのだ。私は彼の詩情の友、――愛人たる資質を失ったような気がした。
 そうまで思いつめなくてもよさそうなものだが、私はそれ以来酒井君に圧迫を感じだした。向こうが私よりも文化が高い気がしだした。そして前のようにスヰートに振舞えなくなった。これは私のひがみであったが、向こうへも響かずにはいなかった。二人の間から幸福があせて行った。私が自ら恥じて身を引いたかたち であったが、私の矜りと負けじだましいとは深く傷ついていた。


元夫 復縁
0




AutoPage最新お知らせ