女嫌いで有名な王子の婚約”とあって  小説

そう言われて上を見上げると、二階のバルコニーからこちらを覗くマルクスの姿があった。
蜂蜜色の髪の毛が太陽の光に照らされキラキラと揺れる。
その美しさに彼女が見とれていると、マルクスの表情が突然硬いものとなった。
それも一瞬だったのだが、それを見逃さなかったミレーヌはどうしたのかと声を掛けようとした時だった。

「お前は明日から別の部屋へ移る事になった。今から準備しとけ。いいな…」

彼は早口にそう告げると踵を返し去って行ってしまった。
もちろん彼女が何か言葉を発する前に…。
突然現れ、部屋を移るようにと言われても何のことやらさっぱりわからない。
ミレーヌは部屋の中で掃除をしていたセレナに声を掛けた。

「今、マルクス様が別の部屋に移れって…ねぇセレナ、何か聞いてる?」
「えーと、今後はマルクス様と一緒の部屋になると伺ってますが…そう言えば言うの忘れてました…」
次の日、朝早くに起こされたミレーヌは自分の持ってきたものがどんどんと運び出されるのを見て、何となく肩を落とした。
昨夜はほとんど寝る事が出来ず、寝に入ったのは朝方。
ほんの少ししか寝れなかった為今朝はあまり調子が良くない。
とりあえず邪魔をしないようにと部屋の隅にある椅子に彼女は腰掛けていた。

「ミレーヌ様、運び終わりました。移動しましょう」

そう声を掛けられて椅子から立ち上がると、少しの間過ごした部屋を後にした。
だが、ただ字を追ってるだけで全く内容が入ってこない。
仕方なく読むのを諦め本を閉じようとした時だった。
微かに廊下から歩いてくる足音を耳にした瞬間、ミレーヌの心拍数は一気に跳ね上がる。
あまりの緊張に廊下へと続く扉を凝視していると、程なくして扉が開きマルクスが入ってきた。
彼は部屋へ入ってくるなりミレーヌがまだ起きていた事に驚いたのか一旦動きを止たと思うと、次に眉間に皺を寄せた。

「まだ起きていたのか?」
「は、はい…何だか眠れなくて…」

そう答えるものの、マルクスは聞いているのかいないのか寝室とは反対側に位置する扉を開けるとミレーヌを見る事も無くその中へ消えて行った。
たったそれだけの行動なのに、彼との間にものすごい距離を感じてミレーヌは無性に泣きたくなった。
だが、こんな事で一々泣いていてはダメだと自分を奮い立たせ、何とか涙を飲み込んだ。
0

teacup.ブログ START!  

ブログが完成しました

ケータイからも、閲覧、投稿が可能なので、どこからでもブログの更新が行えます!

teacup.ブログはひとりで複数作成可能なので、ブログの内容によってブログを使い分けることもできます。
ブログ追加新規作成

また、投稿の仕方、管理画面の使い方につきましては、ヘルプ一覧ページに詳しく記載されています。
ヘルプ一覧

*この記事は管理画面から「投稿の管理」→「削除と編集」より、削除または編集していただいて構いません。
0




AutoPage最新お知らせ