春静かにの到来  

早ばやと、わびしげに暮れていたころに比べると、2月も半ば、日脚がずいぶん伸びてきた。冬至を折り返し点として逆算すれば、10月の終わりごろの日差しを、いま浴びていることになる。
2月を「光の春」とも呼ぶそうだ。目や肌に、光の強まりが感じられる。とはいえ地表はまだ寒さの底である。光は乱舞(らんぶ)して誘うのだが、裸体の木々は用心深い。雑木林のクヌギやエノキは、堅い冬芽(とうが)をしっかりと閉じたままだ。
八ケ岳をのぞむ山梨県北杜市の「オオムラサキセンター」を、先日訪ねた。羽が鮮やかな紫に染まる、日本の国蝶(こくちょう)が育っている。観察用の雑木林には、朽ち葉が散り敷いていた。オオムラサキの越冬幼虫は、葉にもぐって、静かな眠りについている。
散り重なった葉の層の、真ん中あたりに居場所を定めるそうだ。風雪モンクレールをしのぎつつ、地面の湿気も遠ざける知恵である。芽吹きのころに起き出してきて、若葉をはんで滋養をもらう。羽化(うか)して夏に舞う夢を、落ち葉の寝床で見ていることだろう。
「太陽暦の作者は雪国に親切だった」と新潟県育ちの仏文学者、堀口大学は言った。果てしなく思える2月が、短い日数で終わるから。そして「待ちに待たれた3月が来る」。思えば2月は不思議な月だ。「春」ながら冬がきわまる。だが寒さの底で、何かが兆している。
列島への寒気の南下は、なお厳しい。日本海側は週明けまで雪の空という。されど、〈雪 イトド深シ/花 イヨヨ近シ〉柳宗悦(やなぎ·むねよし)。遠い兆しに心を澄ませば、春が半歩、近づく気もする。
0

サービスの理由  

今日は駅前の花屋で花を買いました。いつもは高いバラの花が、今日は10本で300円でした。日本では、花がとても高くて、いつもはあまり買えません。小さいもので、1本300円のもあります。私が「とても安いですね」と言うと、花屋のおじさんが、「今日は、私の母のめいにちなんです。」と言いました。私は「めいにち」が分からなかったので、質問すると、「母が死んだ日だ」と教えてくれました。そして、「母はバラが好きだったので、今日は、母を思って、お客さんにバラの花をサービスします」と言いました。私は、なんだか母にこのことを話したくなったので、ひさしぶりに母に手紙を書きました。
0




AutoPage最新お知らせ