株式や投資信託で資産運用する個人が増えている。
主要証券10社が顧客から預っている資産は2014年3月末で約257兆円。
金融危機前の07年3月末を上回り、過去最高を更新した。
株式相場の回復や少額投資非課税制度(NISA)の開始で、個人の投資意欲が高まった。
野村や大和証券など大手5社と、
SBI証券などネット5社を対象に、預かり資産の残高を集計した。
3月末としては3年連続で増加。1年前に比べ20兆円増え、07年3月末の250兆円を上回った。
証券会社で個人が開設する口座数も増加。3月末は10社合計で2191万口座と、1年前に比べ104万口座増えた。
松井証券では「新規にNISA口座を開設した人の51%が投資の未経験者」としており、投資家の裾野が広がっている。
個人の投資意欲が高まっている背景には、市場環境の変化がある。
3月末の預かり資産の内訳をみると、野村の場合、全体の92兆円の約6割にあたる53兆円が株式で、投信は17兆円、債券は19兆円だった。
1年前に比べ、それぞれ14%、8%、1%増加した。
もっとも全体で1645兆円にのぼる個人金融資産をみると、現預金が53%を占めており、株式や投信は合わせても14%にすぎない。
米国の個人が現預金13%に対し、株式と投信が計45%に達しているのとは対照的。
税制優遇で投資を促そうと14年に新設したNISAでは、最初の3カ月で約5000億円が株式や投信に流入した。