(無題)

2012/11/15 
たとへば、空気の激しい移動を起す原因にならないやうに、走つてはいけないと云ふ事、空気の流通を防ぐために窓や扉をしめると云ふやうな事は、みんな、何の価値もない方法だ。落雷はそんな空気の流動で引かれるものではない。汽車がレールの上を非常に迅い速力で走つてゐる時には空気は激しい移動をしてゐる。けれどもそれは止つてゐる時よりは雷に打たれ易いと云ふ事はない。』
『雷が鳴るときに』とエミルが云ひました。『アムブロアジヌお婆あさんはあはてゝ窓や扉を閉ますよ。』
『アムブロアジヌお婆あさんは他の沢山の人達のやうに、その危険な事を見るのをやめるのが安全だと信じてゐるのだ。だから雷の音を聞かないやうに或は電光を見ないやうに、自分で閉ぢこもつてしまふのだ。だが、そんな事をしても、危険は少しも減りはしないのだ。』
『その時にとる予防方法はないんですか?
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推定少女の説明・紹介

2012/11/8 
「そうだ。育英塾というのが昔あったんだそうだ。君知ってますか」
「話しに聞いてます。昔は県下でも庄原は学問が進んでいたんだって」
「尾道から庄原へ勉強に行くと言うのもへんな話だけれど、遅れていたんだな」
「今だって尾道は学問は駄目ですね」
「そうです。父がよくこぼしますよ。尾道には学問の話が出来る人がいないって」
 私はいつかの美しい祝詞のことを思い出した。
「君はどこの学校ですか」
「僕はこの土地の商業学校を出ました。兄は東京の国学院大学に行っていますがね。僕は後とりじゃないし、正直なところ神主にはなりたくないからね」
 彼は自分がここのお宮の子であることに、自負を持っていないらしかった。
 鈴子は心持ち顔を赤らめているようであった。
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