冗談じゃない――むぐぐ

2010/12/5 
 
 しかし、ドアは勢いよく開かれた。タバサは闖入者に気づいたが、本から目を離さなかった。
 入ってきたのは、キュルケだった。彼女は二言、三言、大げさに何かを喚《わめ》いたが、『サイレント』の呪文が効果を発揮しているため、声がタバサに届かない。アグブーツ
 キュルケはタバサの本を取り上げた。そして、タバサの肩を掴《つか》んで自分に振り向かせる。タバサは、無表情にキュルケの顔を見つめていた。その顔からはいかなる感情も窺《うかが》えないが、歓迎していないことは確かであった。
 ぼくは立ち上がり、遠子先輩の後ろでわめいた。UGG
「待ってください、わたしたちって、ぼくも頭数に入ってんですか!」
「ええそうよ、文芸部一同誠意を込めて、千愛ちゃんの恋をバックアップするわ」
「千愛、感激です!」
「冗談じゃない――むぐぐ」
そう安堵《あんど》したら、再び自信がわいてきた。
 なにせ今の自分は、大人の魅力溢《あふ》れる……。
「え?」UGGブーツ
 ルイズは、才人が恥ずかしそうに目を伏せたことに気づいた。
 あう。いけない。
 今、自分はほとんど下着姿もいいところではないか!
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あら。お戻りになるの?

2010/12/4 
 さっきの窓にぶら下がっていた運中が気にかかる。連中、キュルケのそばに座っているのが自分だとわかったら、なるほどルイズの言うとおり、才人を魔法で串刺しにするかもしれない。キュルケが守るとは言っても、四六時中、自分を助けるわけにはいかないだろうし、さっきの様子を見てるとどうにもキュルケは気まぐれなようだ。
 才人の護衛なんか、すぐに飽きてしまうに違いない。UGG
 そこまで冷静に考え、才人は名残惜《なごりお》しそうに立ち上がった。
「あら。お戻りになるの?」
 彼が「山査子の花」を手放した訳。そう、これが理由だと分かったから。青い目を持つ鬼。彼が望むことが誰よりも、人間らしく思えて。
 ああ。UGGブーツ
 こんな穏やかな人が、なぜ鬼になどなってしまったのだろう。何が彼を変えてしまったのだろうか。陰陽とは何なのだろう。そこにはどんな垣根があり、それらを隔てているのは何なのだろう。
 次にタバサは文字の一つ一つを指差し、その意味を丁寧に教えてくれた。
 しかし何が不思議って、いざ単語になると……、『序章』とか『八月』とか『わたし』みたいに、日本語に変換されて聞こえるのであった。アグブーツ
 たぶんタバサは、ハルケギニアの発音を行っているんだろう。しかし、それが耳に届く頃《ころ》には日本語になっている。
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女王陛下に、何か妙なことを吹き込まれたみたいね

2010/12/3 
「ははぁ、貴女《あなた》は、ここに来てまだ二ヶ月ほどでしたな。その、なんてことはない、ただのパーティです。ただ、ここでいっしょに踊ったカップルは、結ばれるとかなんとか! そんな伝説がありましてな! はい!」
「で?」UGG
 ミス・ロングビルはにっこりと笑って促《うなが》した。
「その……、もしよろしければ、僕と踊りませんかと、そういう。はい」
 鈴音の勘はよく当たる。
 さつきは一つ頷いて、そっと机の中から教科書を取りだしてみた。本の間に銀色に光るものを見つけ、ドキッと胸を震わせる。
 カッターの刃だ。UGGブーツ
 教科書の間に挟んである。静成や忠利と親しい彼女に嫉妬する人間の仕業だろう。こういった嫌がらせは度々あったことだ。
たの。だからもう一度、きちんとご奉公することにしたの」
「女王陛下に、何か妙なことを吹き込まれたみたいね」アグブーツ
 モンモランシーとキュルケは、顔を見合わせて頷《うなず》きあう。
「妙なことってなによ! ただ、殿方は泳がすのも大事って言われただけよ!」
「あらルイズ、あなた駆け引き? 駆け引き使ってるつもり?」
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地を、空を、谷を

2010/12/2 
「あ、あんたまさか、今度はちいねえさまってわけ? 信じられな〜〜〜〜〜い!」
 ルイズは顔を真っ赤にして突進してきた。
「ぐおッ!」UGG
 助走をつけて三メイルもの距離をジャンプしたルイズのとび蹴《げ》りが、才人のこめかみに食らいこむ。倒れた才人の上に跨《またが》り、ルイズは首を絞め上げた。
「よりにもよってちいねえさま! よりにもよってちいねえさま! 許せない! こればっかりは許せないわ!」UGGブーツ
 やがて――。
 ボキッ、太い枝が折れる音がした。
 次いで重量感のある音を立て、鬼女の腕は地に落ちる。五芒星にもぎ取られた腕は、ピクリと一度だけ波打ったあとに動かなくなった。
 相当な痛みが伴ったのであろう。紅鬼の咆哮が木霊する。
 地を、空を、谷を。
 才人は恭《うやうや》しく頭を下げた。
「そんな悪い水で作ったスープを、忠実な使い魔に飲ませるわけにはいかないわ」
「お優しいことで」アグブーツ
「三日もすれば、水も元に戻るでしょう」
 才人は三日聞、飯を抜かれた。
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だが、それにしても――

2010/12/1 
「いえ、というか、むしろ無能というか……」
「さて、その二つが謎《なぞ》じゃ」UGG
「ですね」
「無能なメイジと契約したただの少年が、何故《なぜ》『ガンダールヴ』になったのか。まったく、謎じゃ。理由が見えん」
「そうですね……」
 侮蔑を込めて紅鬼は舌を打つ。狼狽える鬼女の姿はより一層醜い。惨めを通り越して痛ましいまでに。UGGブーツ
 だが、それにしても――。
 今の状況で戦闘となったら、どう推し測っても紅鬼たちに勝機は見えない。安倍静成、能楽堂に近づく気配の中にあの男がいたとしたら、尚更勝敗は決まっている。アグブーツ
「母さまの次は父さまのお相手だもの。身体《からだ》がもたないわよね……。本当にごめんなさいね。悪い人たちじゃないのよ。ただちょっと融通がきかないっていうか……」
「ルイズの両親ですから。しかたないですよ」
 そう言うとカトレアは、あはは、と笑った。それから激しく咳《せ》き込んだ。
「だだ、大丈夫ですか?」
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