2016/3/25

都教委裁判で12連敗  都立学校の今

 3月24日、東京高裁は深甚教員の不当な懲戒免職処分をごり押ししようとする都教委のの控訴を却下しました。これについての知人からの情報を紹介します。

◆また負けた都教委 12連敗―東京高裁が都教委の控訴を棄却 一審原告勝訴

3月24日午後、都立高校教員Oさんの懲戒免職処分取消等請求事件で、東京高裁(第4民事部・綿引万里子裁判長)は、都教委の「裁量権の逸脱濫用」を認定し、都教委の控訴を棄却し、懲戒免職処分取り消しを言い渡し、一審原告Oさんが勝訴しました。

都教委は、Oさんの免職処分を取り消した一審東京地裁判決(2015年10月26日)を不服として、東京高裁に控訴していましたが、高裁は1回の弁論(1月21日)で結審し、3月24日に判決日を指定しました。綿引裁判長は、判決日前までの双方の和解を提案しましたが、都教委側は和解を拒否し、昨日の判決に至りました。

これにより、都教委は、この事件について、@地裁での執行停止申立、A地裁判決、B高裁での執行停止申立、C高裁判決、と4回敗訴が続きました。2013年12月以降、都教委は、教育裁判で何と「12連敗」です! 都教委は、敗訴を重く受け止め、上告を断念するように求めます。

◆生徒に寄り添って頑張る教員を励ます判決

この事件は、東京都教育委員会が、女子生徒Aさんに「不適切なメール」を送ったなどとして、2014年7月、都立F高校の教員Oさんを懲戒免職処分としたことに対して、Oさんが免職処分取り消しを求めた事件です。

地裁の口頭弁論の中で、「教え子」の生徒Aさんも証人として出廷し、親に学校をやめさせられそうなほどの厳しい家庭環境で、O先生の援助で学校を卒業できて感謝していること、Oさんを免職処分するにあたり、都教委は女生徒本人の事情聴取もしなかったこと、などを証言しまし。

また、F高校の校長(当時)は、都教委作成の虚偽の陳述書に無理矢理署名・押印させられたが、良心の呵責に耐えかねてその陳述書を撤回する旨の陳述書を裁判所に提出しました。

これらの証言などにより、この免職処分が、生徒を思いひたすら生徒に寄り添う教育実践をめざしていたOさんに対する都教委によるパワーハラスメントであることが明らかになりました。

Oさんは、地裁に続き、東京高裁で執行停止申立を認められ、1月6日にF高校に復帰し、授業をさせてもらえないものの、教務部などの校務分掌の仕事に就き、勤務していました。特に入学選抜の業務の中心で頑張っていました。そして今回の判決を迎えたのです。

高裁判決を受けて、Oさん(数学科教諭)は「高裁でも勝ってとても嬉しい。授業で教室に行けないのは本当につらい。生徒に数学を好きなってもらうため、一日も早く教壇に立ちたい。」と涙ながらに語りました。

代理人の加藤文也弁護士は、次のように報告しています。
「事実認定は、現場で生徒のためにがんばっている教員を励ます内容となっております。

(判決の結論部分は、次のように述べております。)
 「生徒Aが家庭環境に恵まれず、被控訴人はその窮状を見かねて支援の気持ちから生徒Aを熱心に指導するようになり、本件非違行為に至ったという本件非違行為の原因や動機、生徒Aはそのような控訴人の熱心な対応に感謝し、被控訴人が懲戒処分を受けることを望まず、苦情を申し立てた生徒Aの父親も被控訴人を免職にすることまでは望んでいない状況にあること、被控訴人に過去の処分歴はなく、日常の勤務態度についても特に問題はなく、熱心に生徒を指導し、佐藤校長や他の同僚教員からも評価されていること、本件非違行為が発覚した後も命じられた本件研修に熱心に取り組んでいたにも関わらず、都教委は、復職を前提とするはずの研修が終了する前に本件免職処分を行ったこと、そして、何よりも免職処分は、公務員にとって職を失うという重大な不利益を課すものであることを踏まえると、被控訴人に対して本件処分量定に定められた停職よりも加重して懲戒免職処分を選択することは、社会観念上著しく妥当性を欠くものと言わざるをえない。本件免職処分は、懲戒権者たる都教委が有する広汎な裁量を前提としたとしても、なお、その範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであり、違法であると判断せざるを得ない。」

この教員が、1日も早く授業を持てるようにするため、最後のご支援をよろしくお願いいたします。」
0

2016/2/2

都立定時制4校廃止に反対する  都立学校の今

 現在、都教委は定時制高校4校の廃止を決定しようとしている。具体的には小山台、雪谷、江北、立川の4校だ。理由は要するに財政問題つまり定時制に金を使うのは無駄だということに尽きる。全く同じ理由でこの20年間で定時制高校は半減してしまった。そのため多くの定時制は入学定員をオーバーして最後のセーフティネットの役割が危うくなっているほどなのだ。
 貧しいが学習意欲のある生徒が通うところといった50年も前のイメージとはちがって、現在の定時制に通う生徒は実に多様だ。不登校であった生徒、障害のある生徒、外国出身の生徒、全日制になじめなかった生徒、つまり日本のマジョリティである全日制普通科からはじき飛ばされた子どもたちが教育を受ける権利を享受できる数少ない場の一つが定時制だといえる。過疎の村の学校を閉鎖するのが人権問題であるのと同様に、定時制高校を財政を理由に廃校するのは教育を受ける権利を侵害する人権問題なのだと考えるべきなのだ。
 東京弁護士会も反対声明を発している。それを紹介します。目下反対署名が展開中です。

夜間定時制高校4校の廃止(閉課程)に反対する会長声明
                  2016年02月01日
                 東京弁護士会 会長 伊藤 茂昭

 東京都教育委員会は、平成27年11月、「都立高校改革推進計画・新実施計画(案)」(以下、「計画案」という。)を取りまとめ、その中の「定時制課程」の「改善」において、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校の規模を拡大する一方で、夜間定時制課程(以下、「夜間定時制高校」という。)のうち、立川高校(立川市)、小山台高校(品川区)、雪谷高校(大田区)、江北高校(足立区)の4校を廃止(閉課程)するとした。
 しかし、東京都においては、平成9年度から平成18年度における「都立高校改革推進計画」の中で、101校存在した夜間定時制高校のうち44校が、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校への統合対象とされることとなった。これに対し、当会は、生徒らの学習権を侵害するおそれが高いことなどから平成16年6月7日付け「都立定時制高校の廃校による募集停止措置についての意見書」を発表し、再検討を求めた。にもかかわらず、平成16年度以降、定時制高校の統廃合が進められ、現在、夜間定時制高校は44校となっている。
 こうした統廃合の結果、夜間定時制高校は、全日制高校に通うことの出来ない生徒らの最後の受け皿としての機能が期待されているにもかかわらず、平成22年度都立高校入学者選抜においては、夜間定時制第二次募集では、募集定員に対し合計300人を超える応募があった。現在も、廃止(閉課程)の対象とされている立川高校では、平成27年度都立高校入学者選抜の二次募集で入学希望者が募集定員を超えている。こうした状況において、さらに4校の廃止(閉課程)が計画されているものである。
 今回の廃止(閉課程)の理由として、計画案では、まず夜間定時制高校設立の当初に想定されていた「勤労青少年」の生徒は減少の一途をたどり多様な生徒が在籍するようになっていて、多様な生徒の状況に応じた指導を行う必要があるとされている。しかし、当会の先の意見書においても指摘した通り、そもそも多様な生徒のニーズに応える上で、学校の種類や数の拡大はともかく、夜間定時制高校という既存の学校の廃止が必要といえるのかとの疑問は払拭されていない。上記計画が減少してきたとする「勤労青少年」は正規雇用者のみを意味し非正規雇用者を除外していると考えられ、非正規雇用者が増加している実態が踏まえられていないと言うべきである。また、同じく夜間定時制高校の廃止理由とされる、全日制・定時制併置校における施設の共用による利用上の時間的制約という弊害についても、学校現場における長年にわたる自発的努力によって工夫、解決されてきたものであり、さらなる廃止(閉課程)を要するほどの弊害があるのか、疑問がある。
 また、夜間定時制高校は、少人数の家庭的な雰囲気の単学級(ないし少数学級)として運用されてきたとの特性もあって、昼間就業しながら夜間勉学する勤労生徒をはじめ、帰国子女、外国から日本に帰化した生徒、在日外国人などの外国人生徒、社会に出たあと高校卒業の必要性を感じて入学してくる成年者の生徒、高校を中退した生徒、様々な原因で中学校まで不登校であった生徒や引きこもり傾向であった生徒、心身にハンディキャップをもつ生徒、夜間中学出身者などの、多様な生徒を受け入れ、憲法26条第1項に定める、教育を受ける権利を保障する重要な受け皿となっている。これに対し、計画案では、生徒らの多様なニーズに応えるという視点から既存のチャレンジスクール及び昼夜間定時制高校の規模拡大と、チャレンジスクール2校の新設が検討されている。しかし、これらの学校は単位制で、特に3部制の高校については教員同士の情報共有が難しいなどの指摘もされているところであり、多様な課題を抱えた生徒に対して個別・丁寧な対応を目指す夜間定時制高校とは趣旨が異なる。その上、チャレンジスクールは応募倍率が高いことが指摘されており、新設されても狭き門であって、夜間定時制高校へのニーズを持つ子どもたちが、事実上、教育機会を失う結果となりかねない。
 さらに、夜間定時制高校が対象として想定する生徒らにとっては、通学費の増大や通学時間の長時間化は、経済的、体力的、精神的に通学そのものを困難とする可能性が高い。既に、これまでの統廃合の結果、例えば、立川高校定時制課程に在籍する生徒の居住地は、平成27年5月1日現在、全生徒301人のうち、立川市49人、八王子市47人、東大和市29人、武蔵村山市24人、昭島市20人などと広域化している。また、江北高校は平成27年4月7日現在、4学年併せて180人もの生徒が在籍しており、需要が高い。さらに、雪谷高校と小山台高校は、比較的近距離に位置し、2校が同時に廃止(閉課程)の対象となれば、周辺地域の生徒に対する弊害は大きい。なお、計画案においては、既存のチャレンジスクール等7校の規模拡大が検討されているものの、これらの学校の多くは、廃止(閉課程)される4校とは地域を異にし、生徒らが通学に利用する路線も異なっており、4校の廃止(閉課程)を補完するには不十分であることは明らかである。こうした状況においては、4校が廃止(閉課程)となれば、通学に要する経済的、体力的、精神的負担の増大は避けられない。まして、子どもの貧困がますます拡大し、学費等の自己負担を強いられる者が増加している現状においては、こうした負担増が教育機関へのアクセス権に及ぼす影響は重大である。
 以上の実情を踏まえれば、夜間定時制高校4校を廃止(閉課程)することは、現在の夜間定時制高校へのニーズを持つ子どもらにとって、その学習権を侵害するおそれが極めて強く、たとえ限られた予算の有効な配分を理由としても決して許容されるものではない。
 従って、当会は、夜間定時制高校4校を廃止(閉課程)とする計画に対し、強く反対する。
0

2016/1/22

教科書疑獄か?  日本の教育の今

 中学校の教科書発行会社が検定中の教科書を約5000人の教員らに見せ、そのうち4000人には何らかの謝礼を渡していたと新聞に報じられている。すぐに連想するのが明治30年代に起きた教科書疑獄だ。この疑獄事件を口実に教科書は国定になったことはよく知られている。自民党が今回の事件を問題視することがあるなら、間違いなく教科書の国家統制を強化する方便として利用することになるだろう。例えば、教科書採択に一般教員の意見を反映させる制度を排除し、教育委員会が排他的に採択を仕切るとか。

 検定中の教科書というのは白表紙本のことをさしていると思われる。文科省に検定申請する際、どこの会社、だれが執筆者などがわからないように白い表紙にして提出するのでそうよばれる。検定中の教科書を外部に見せるべきではないとされている。ましてや謝礼を出したとあっては法的問題にも発展することだった考えられる。教科書会社と教員のモラルが問われると言ってしまえば簡単だが、謝礼を受け取った教員(4000人のうち何人かはわからない)のモラルが批判されるのは当然だとして、問題の根はモラルにだけあるのではない。

 小中学校の教科書採択制度と今回の事件は密接に関係していると私は思う。教科書の採択は市区町村を単位とする広域採択制度がとられている。最大級の採択区である横浜市であれば生徒数は1学年で数万人になる。そして一度採択されると4年間は採択され続ける仕組みになっている。教科書会社にとっては大口の採択区をとれれば4年間食いっぱぐれ無しであり、取りそこなえば4年間収入無し、最悪会社がつぶれかねない。であるならどんな手段を使ってでも採択してもらう努力をしようということになりがちなのだ。白表紙本を持参してご意見をいただくことで教科書を認知してもらう、高額ではなくとも多少の謝礼くらいは出しておこうとなる。私の推測ではこうしたことは教科書会社の間では公然の秘密であり、必要悪としてお互いが認め合っていたのではないかと思う。

 当然ながらこうした営業は大手教科書会社が有利なので、教科書の寡占化が確実に進む。大手の会社は文科省や自民党からにらまれるのを恐れるために、政権の意向に忠実な教科書が作られることなるだろう。

 高校も白表紙本が作られて検定を受けるという点は同じだが、おそらく小中学校のような問題はごくわずかだろう。白表紙本が外部の教員の目にふれることがあっても、そこに金銭がからむ可能性は低い。なぜなら高校の教科書は学校ごとの採択で、しかも一年ごとに採択の変更ありとなっているからだ。どんなに賄賂を贈っても一校に一年しか影響しないのではコストパフォーマンスが悪すぎる。特定の人物に教科書採択権が握られているような学校は営業努力は効果的かもしれないが。

 こうなれば結論は簡単だ。小中学校も学校ごとの採択にし、採択は毎年変わってもよしとし、採択は複数の教員が関わり透明性を確保することだ。

 
0

2015/12/23

大阪君が代条例による処分を合憲とする判決  日の丸・君が代裁判

 12月21日、大阪地裁は、大阪府が2011年に定めた「君が代起立条例」による職務命令に反したために戒告・減給処分を受けた教員が起こした裁判で、条例・職務命令は合憲で処分も違法ではないとの判決を出した。
 君が代斉唱時に起立を命じられることは「間接的に思想良心の自由を制約するが…」というのは最高裁判決のコピーであり、間接的だからある程度までは思想・両親の自由が侵されても我慢しなさいという理屈が続く。児戯に類すると戯言でしかない。間接的な制約?首を間接的に絞められるのと直接的に絞められるのとどっちがましかと問う阿呆はいないだろう。
 処分の恫喝で不起立を強制されるのを教師だから受け入れよという理屈もおかしなものだ。数学の教師に数学を教えろというならわかるが、君が代を歌い起立することが誰の義務であって職務命令で強制できるのか。思想・両親の自由にかけてできない教員がいるなら、そうならない配慮をするのが現場の知恵だろうし、そもそも式典に君が代と日の丸があることが教育的だと思い込むドグマからして疑うべきなのだ。
 1999年の国旗・国歌法制定時にはこれによって今までと何も変わらないと政府は表明していた。なのに、この判決は起立の強制は国旗・国歌法の趣旨にかなうとためらいもなく言明する。あれれではないか。2003年に石原都政下の都教委が起立の強制を命じて以来たった12年で、日の丸・君が代強制が学校では当たり前のように行われるようになった。いまや物言えばくちびる寒しの風潮が学校を覆っている。そして今日では学校の外にも萎縮だの忖度だので過剰に権力に気を遣う風潮が蔓延している。思想・信条の自由とその表明の自由が脅かされている現在の起点は東京における日の丸・君が代強制にあると私には思える。
0
タグ: 予防訴訟

2015/12/11

教育裁判でまたも都側が敗北  日の丸・君が代裁判

12月10日、日の丸・君が代処分の経歴を理由に都から再雇用を拒否された教職員24名が拒否撤回を求めていた再雇用拒否撤回第2次訴訟において、東京高裁(第2民事部柴田寛之裁判長)は、「君が代」斉唱時の不起立「のみ」を理由に、東京都が定年退職後の再雇用職員、非常勤教員等の採用を拒否した事案について、一審東京地裁判決を支持して、「期待権の侵害」を認め、「裁量権の逸脱・濫用で違法」として、東京都の控訴を棄却し(当方は控訴せず)1審同様1年分の損害賠償(総額約5370万円超)を元都立高校教員の原告らに支払うよう命じる判決を言い渡しました。
このところ都は労働裁判で連戦連敗中だったが、これで連敗記録をさらに更新したことになります。
 東京では日の丸・君が代処分以外で懲戒処分を受けた職員が再雇用される例は珍しくないのに対して、40秒間君が代斉唱時に不起立しただけて戒告処分を受け、それを理由に再雇用も拒否されるという、およそ常識ではありえない強権的な支配が学校現場に対して十数年続けられています。控訴審で敗北しても懲りずに都は上告するつもりのようです。原告教職員は自腹で裁判を闘っているのに都側はすべて税金でまかなわれます。体面を維持するために無駄な税金を注いでいるとしかいいようがありません。
0
タグ: 予防訴訟



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ