2013/3/15  14:58

『ラブレター』に見る日本人の「物の哀れ」と「幽玄」の美意識  評論

 二十世紀九十年代に入ると、日本映画が復活し、アジアだけでなく、全世界の至るところまで勢いが壮大である「日本新映画運動」が行われた。独創的ですがすがしい映像と微細にわたる感受性で知られる監督、「映像作家」としての岩井俊二が目立った存在である。
 日本の伝統的な美意識は岩井俊二に大きな影響をもたらしている。清新な美的な自然景色と明るい色彩は岩井映画の特質である。彼の映画は決してただ自然の風物を描くものではなく、きっと登場人物そのものの感情や精神などを自然の中に注ぎ込むのである。深く分析し、作品中で溢れている「物哀れ」と「幽玄」という美意識が発見できる。
 たとえば、『love letter』に白い雪をスクリーンの背景として現すことが印象的である。北海道から小樽まで、山の頂、屋根、道路、部屋の前のポストに真っ白な雪が見えた。雪は渡辺博子の内心世界の象徴である。渡辺博子は亡くなった彼氏の思念を雪に託した。あるシーンに、始まりも終わりにも長く伸びている白い雪を背景として、渡辺博子は黒いコートを着て、近くから遠くへだんだん消えてゆく。対照的な視覚によって、強い感動力が生じた。渡辺博子の孤独と悲しみの姿も描き出した。観衆も淡い哀愁の雰囲気に包まれていく。その美しさを描写することによって、また、自然な色調と雰囲気を通じて、人物の活動と心理活動を引き立てることができた。雪が純潔を象徴し、しかも雪は解けやすくて、無常な哀感を含んで、日本人の感傷的な性格に大変適う。
 また、『Love Letter』の中で、幽玄美の色彩が見られる。黒は堅実、厳粛といったプラスのイメージがある反面、死滅、恐怖、悲哀などのマイナスイメージも持っている。白は清らかで、純潔な色だである。岩井俊二は黒と白を好み、『Love Letter』に純粋な黒と白を主な色彩として表した。『love letter』に、そよ風に軽い吹き始めるきわめて白いカーテンに従って、白いシャツの男性の藤井樹の影は見えつ隠れつした。これは女性の藤井樹の視点から見る画面である。朦朧な愛慕の情が彼女の心の中で発芽した。次のショットに、渡辺博子は真っ白な雪山の上に立って、「お元気ですか?私は元気です」と呼んでいる時に当たり一面の白色がスクリーンから染んできた。その瞬間、誰でも白色にもたらした感動を拒むことはできない。純潔な白雪は愛情の神聖が現せるものと考えられる。
 『Love Letter』はよくきれいな自然景色を背景に、自然景色とストーリーの推移、人物運命の変化と人物感情の変化とを巧みに結び付いた。自然景色の描写と人物の心理を描くことによって、「物の哀れ」と「幽玄」の美意識が明らかに映画の画面から現れてきた。こういう日本伝統の「物の哀れ」、「幽玄」という美意識があるからこそ、『Love Letter』はどこにも見えない独特な美学の風格を表したのだと思う。

参考文献
[1]叶渭渠、唐月梅. 物哀与幽玄:日本人的美意识[M]. 广西师范大学出版社,2002:1−102.
[2]邓文河. 岩井俊二电影中的唯美特征透析[J]. 电影文学,2008,05:47-48
[3]刘亚非. 岩井俊二电影的美学趋向探究[J]. 电影文学,2009,23:34-35

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2013/3/14  17:05

『ラブレター』のあらすじ  あらすじ

 神戸に住む渡辺博子は、山で遭難した婚約者の藤井樹の三回忌に出席した。帰り道、彼の母安代に誘われ、樹の家に立ち寄った。彼の家で中学の卒業アルバムを見せてもらった。忘れられない彼への思いから、そのアルバムに載っていた彼が昔住んでいた小樽の住所へ手紙を送ってみる。すると数日後、死んだはずの藤井樹から返事がきた。博子はさらに返事を送り、二人の間で何度かの手紙のやり取りが続く。博子は真相を確かめるために、樹の登山仲間で自分にプロポーズしているガラス工房で働いている秋葉茂と一緒に小樽を訪ねた。しかし、は留守にしていた。博子は恋人の樹が死んだことだけを隠し、ありのままに事情を説明した手紙を残して帰って行く。博子の手紙を読んだ樹は、中学の時に同級生に同姓同名の藤井樹という男子生徒がいたことを想い出した。博子はさらに樹男の昔のことが知りたくなり、樹女に手紙を書く。そして二人の奇妙な文通が始まり、樹女は樹男との中学時代の想い出を綴りながら、博子に少しづつ明らかにしていくのである。最後には、樹女は意外なことを通じて、実は樹男の片思いの相手は樹女であったことを知ることになるのである。


*男性の藤井樹を「樹男」、女性の方を「樹女」と表記する。



参考文献:
[1]八尋春海.『Love Letter』の構造について.西南女学院大学紀要Vol.7,2003
[2]http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD1137/story.html
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