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小説が映画化されればそれでいいじゃんという単純な発想  小説

 羅生門は、都の門。都に入る立派な門。豪華な門。きらきら輝いてる門。
 ……であった。都で戦が起こってから、都に来る人は減って、羅生門も単なるでかい置物になり下がっていた。苔がむしていた。
 サラリーマンたちの間で噂話が流れた。
「羅生門に色っぽい妖怪が出るらしいぞ」
「マジか。秘書課のジュディとどっちがセクシーだ」
「わからん。実際に見てみないと」
 みんな興奮していたが、正直、羅生門はボロボロで陰鬱で飢えた野良犬の寝床と化してるゆえ、怖くてなかなか確かめに行く勇気がわかなかった。
 しかし、ひとり、サラリーマンではないが、ニートの為吉という男がネットでその噂を読み、どうせ部屋にいても女ができねえから、一つ、そのセクシー妖怪を彼女にしてしまえと考え、行くことにした。
 とはいえ、野良犬に噛みつかれるのが怖かったので、エアガンを抱えて、羅生門へ向かった。
 夜の十時。羅生門の周りは静まりかえっている。不気味だ。陰鬱なる景色が広がる。わずかに、電柱の蛍光灯だけが、妖しい光を放っていた。
「うわあ。いやだなあ。むっちゃ怖い」
 為吉はがたがた震えた。
 羅生門から野良犬が出てきて、電柱に立ち小便をした。
「もし。野良犬よ」
「なんじゃお主は。人間か」
 野良犬に話を聞くと、確かにセクシー妖怪はいると言う。
「本当にセクシーなのか」
「そりゃもう、おいらが人間なら嫁さんにしてるね」
 他の野良犬もそう言う。
「だけど、人間よ。セクシー妖怪さまはメタボリックが嫌いだぜ」
「なにい」
 為吉は引き込もっていたのでメタボリックだった。
「メタボリックは殺されるぜ」
「うぬぬぬぬ。マジか」
「マジだよ。セクシー妖怪さまは若い時にでぶに騙されて捨てられたんだ。生理的に嫌悪してんだ。ハクホーだって嫌いさ」
「うぬぬぬぬぬぬ」
 為吉はため息をついて帰ろうとした。殺されるのはいやだ。
「待て」
 為吉は、読者に道を塞がれた。
「やっぱり行かないとだめ?」
「だめ」
 仕方なしに、為吉は、羅生門の中に入った。
 すぐにエレベーターがあったので入って、二階のボタンを押した。
「ああ。何か怖いな。オレ、童貞だからな」
 二階なのですぐに着いた。
 ドアが開く。
 そののち、為吉はがんばってニートを脱出した。しかしそれでも為吉は実にしんどい日々を送っていた。月収が八万円。結婚できないし、子作りもできない。
 為吉は公園に住んでいる。親がすでに他界して、アパートの家賃が払えなくなったのだ。テントの外で竹刀を振る。
「正社員死ね! 正社員死ね! 正社員死ね!」
 正社員は為吉と同じ労働時間で月に六八万円ももらっている。
 為吉は、竹刀で誰かを叩きたくなってきた。
 ちょうど、今日は為吉は休日。公園を出ると、下校中の女子小学生を発見した。
「正社員死ね!」
 為吉は女子小学生に駆け寄り、女子小学生の尻を竹刀で思い切り叩いた。
「うぎゃあああああああああ」
 女子小学生は失神して、アスファルトに倒れた。
 為吉は、一瞬、犯してやろうかなと思った。小学生のくせに、いい尻してやがる。
 しかし、それは犯罪だからできない。
 為吉は、倒れている女子小学生のスカートをめくり、パンツを下ろし、ポケットに入れた。今日はこれを頭から被ってオナニーしよう。
 為吉はお腹がすいてきたので、野良猫に向かって石を投げた。見事、命中し、野良猫は失神。為吉は野良猫を担ぐ。「今日は猫鍋だ」

 為吉は、テントの中で、猫なべを食べたあと、芥川龍之介の文庫を読み始めた。
 芥川が晩年に書いた短編集である。「歯車」「河童」「或阿呆の一生」などが収録されている。
「ふうむ。歯車狂ってるなあ。そりゃこんなに狂えば、自殺してしまうわなあ」
 為吉は三五歳。芥川が自殺した年齢と同じ年齢である。
「ふむ……なぜ、オレは自殺してないのかな。こんなにも生活が苦しいなら自殺してもおかしくないはずだが」
 為吉は腕を組む。さらに別の芥川の短編集を読む。「羅生門」という短編が載ってあり、為吉はふと昔のことを、ニート時代のことを思い出した。そういえば、セクシー妖怪は元気かなと。
 テントを誰かがとんとん叩く。
「だれ?」
「警察です。開けてください」
 為吉はあわてる。やばい。いったいオレ何かしたのか?
「いやです。帰ってください」
「そういうわけにはいきません。さっき下校中のかわいらしい女子小学生が何者かに竹刀でかわいいかわいいお尻を叩かれたらしく、その犯人がこのテントに入っていったのを目撃したと市民に通報されたのです」
「人違いです。帰ってください」
「そういうわけにもいきません」
 テントの外で、警察が叫ぶ。
「早く開けなさい!」
 テントの中から、為吉が叫び返す。
「いやです! 帰りなさい!!」
しばしの沈黙。
 為吉はほっとした。あきらめて帰ったのかなと思った。
 すると、何だ。何か煙が出てる。何か焦げ臭い。
「!!!!!」
 何とテントが燃えていた。
「ちきしょう! 殺す気か!!」
 為吉はあわてた。
 急いで、テントのチャックを開け、外に出た。
 ずどん。
 出た瞬間、疑一は倒れた。
「な、なぜ……」
 すぐに息をひきとった。
 警官が拳銃をしまう。
「よし帰るぞ」
「はい。いいことしたあとは気持ちいいですね」
「そうだな。勃起するよ。けけけけ」
「くっくくく」
 警官たちはパトカーに乗り込んだ。
 公園にあるいくつかのテントは燃え盛り、ホームレスたちは全員死んだ。
 街の善良な人たちは「やっと汚い臭いやつらがいなくなった」と言って、大喜びした。

 その公園の前のアパートに、金成駄目助(かなりだめすけ)が住んでいた。駄目助ほどダメな人間はなかなかいない。駄目助は小説を書いていたが、ニートなのである。
 プロの作家になれば大威張りできるものの、なっていないゆえバカにされてばっかである。
 なぜ駄目助がニートをできるかといえば親が裕福とかそういうんは一切関係なし。駄目助の両親は駄目助が幼い頃交通事故で他界しとる。
 駄目助は女性を惹き付ける魅力があり、ひもをして生活してるのだ。
 ゆえに駄目助は洗濯も掃除も料理もごっつ上手い。
「駄目ちゃん。その能力を仕事に活かしたら?」
「ふうむ」
 てなわけで、駄目助はクリーニングの仕事や清掃の仕事や調理の仕事をしたこともある。
 ただ長く続かない。人間関係が苦手なようである。
 駄目助は、しかし、華子と付き合うのに苦はなかった。上下関係が苦手なのかな。
 駄目助は華子が仕事に行ってる間、猫のみーをひざに乗せ、小説を書く。
 腹が減ったゆえ、フライパンで青椒肉絲を作った。
 夕暮れ。
 華子のために晩飯を作りテーブルに置いておき、駄目助はアパートを出た。
 今からバンド活動である。
 駄目助は駅前で仲間と演奏する。
「青椒肉絲だイェイイェイイェイ。回鍋肉だイェイイェイイェイ」
 売れそうもない歌である。
「やばっポリきた」
「君たち音大きくて迷惑だからやめなさい」
「くそぅ」
 一度ベーシストのアホ太郎がベースギターで警官の頭を叩き、警官たちに袋にされ内臓破裂で死亡した。
 ゆえに駄目助たちは仕方なく楽器を抱え歩き始めた。ファンの女子学生たちが悲しげに見送る。
「どっか演奏できる場所ないかなあ」
「スタジオは客いないしな」
 駄目助たちは、仕方なく、高速道路の下のトンネルで演奏した。

 とある日の、公園での出来事。いい天気。小鳥が鳴いている。青空である。
「華子。手ぇ握っていい?」
「やん。恥ずかしい」
「いいじゃん。いいじゃん」
「いやん。駄目ちゃんに手ぇ握られると華子じんじんしてきちゃうもん」
「いいじゃん。ねえ華子。ねえ」
 ベンチに座る二人の前に、おっさんの死体が横たわっている。仰向けになっており、胸に包丁が突き刺さっている。
「人が見てる。恥ずかしいよ」
「気にするなよ。ねえ華子」
「いやん」
 刑事が数人、死体を囲んで話をしてる。
「ガイ者(被害者)の身元は割れたか」
「ええ。ガイ者の名前はパイパイ・パイーナ。五八歳です」
「日本人なのか」
「いえ。韓国人です。韓国人なのにキムチが嫌いだったらしいです」
「ふうむ。謎だらけだな……」
 すでに駄目助は華子の手を握ってる。
「華子。オレ、華子が大好きなんだよ。ねえ。キスしていい?」
「あたしも好きだけど、人が見てるからやぁよ」
「ねえ華子。華子のかわいい唇ほしい」
「いやん。おじさんが見てる」
「くそ」
 駄目助はムカついて、死体(パイパイ・パイーナ)を蹴飛ばした。
「痛い!」
 パイーナが叫んで、刑事たちが一斉にパイーナを見た。
「やばい」
 パイーナはまた目をつむって黙った。
「おい。ガイ者は韓国人だと言ったな」
「はい。言いましたが、何か文句でも?」
「文句はないけど、お前を抱きたいな」
「警部やめてください。私には息子が八人、娘が七人います」
「ならやめよう。その代わり、刺身にバーベキューソースをかけるのだけはやめてくれ」
「わかりました。しかし、熱海には行きますよ。ライフワークですから」
「そうか。素敵だな」
 いつの間にか華子と駄目助がキスをしてる。
 実にまずい。駄目助が華子の胸をももうとしてる。そうなると、児童書として成立しない。
 死体(パイパイ・パイーナ)がぶぅと屁をこいた。
 刑事たちがミニサッカーを始めてる。
 空は青い。いい天気。グッドデイ・サンシャイン。
 世の中はいろいろあるから、どうか元気でお気をつけて。

 駄目助と華子が同棲している部屋の隣に住んでいた甘川備太郎は、冴えない非正規労働者であった。働いても働いても働いても低所得過ぎて結婚できない。日々、絶望と格闘している。この世の地獄に住んでいる。
 今日は休日。一時間くらい、踏切の前に立っていた。
「ああ。こんなに苦しいならもう死んでしまいたい」
 備太郎は、彼に低賃金重労働を強要する経営者がどうしても許せなかった。「くそ。殺してやる」
 備太郎はハンマーを持って、経営者の家に行った。
 なかなかの豪邸である。庭にプールがある。むちゃくちゃ広い。くそ。殺してやる。オレたちから利益を奪い、いい暮らしをしやがって許せん……。
 ぴんぽーん。
「はい。経営者です」
「非正規労働者の甘川と申します。中に入ってもよろしいでしょうか」
「いいよ。今、ドアを開ける」
 ドアが開いた瞬間、マシンガンを構えた経営者が、備太郎に向けて、ばばばばばばばば。
 備太郎は倒れ、死んだ。
 悲しい男、備太郎はそのあと、ピンクのもやを漂い、あっちへこっちへとさまよった。ふらふらふらふら漂った。どこへ行くのか、意味わからない。
 そうしてるうちに、気づくといわゆる閻魔さまの前に立っていた。かなりデカい閻魔さまだ。
 一0メートルくらいあり、机に書類を広げて眺めている。
「ふむふむ。甘川備太郎、三五歳か」
 小さい鬼が、地獄ですか天国ですかと尋ねる。備太郎はドキドキしてる。
「まあかわいそうだから天国て感じもするけど別にいいこともしとらんしな。かといえ、悪いこともしてないから地獄てのもなあ。うぅむ。どうしたものか」
 鬼が「幽霊はどうです」
「ふむ幽霊か。うむ。めんどくさいから決定」
 閻魔さまは書類に判子を押した。
 そんなわけで、備太郎は幽霊となりさまよっている。幽霊なんて冴えない。飯も食べられないし、エッチもできない。
 でも得なこともある。身体に実体がないゆえ、壁を通り抜けることができるので、映画館で無料で映画を観たりすることができる。
「ああ面白いな。映画は最高だ。オレも映画撮りたいなあ」
 しかし、映画を撮るにはカネがいる。備太郎は幽霊だから無職だ。「映画のシナリオを書いて送ってみるか」
 備太郎は飛んでいき、橋の下にある自宅に帰った。自宅といっても、ダンボールで作った粗末な家だが。
 みかん箱の上にノートを広げた。
 備太郎は、しばらく書き、疲れてきた。女湯でも覗きに行こうと、ジャンバーを着て飛んで行った。まあジャンバーにも実体はないのだが。
 女湯に行くと、その日はなぜか婆さんばかりであった。
「およねさん。乳垂れてきたねえ」「あんたこそ」
 冴えない。実に冴えない。陰鬱になる。悪化する日本経済のような気持ちになる。
 備太郎はつまらなくなってきた。風呂に入りたいが実体がないので、入ることができない。
「あーあ。幽霊なんて何も面白くないな」
 備太郎は、憂鬱になってきた。自殺したい。しかし、すでに死んでるゆえ、それも不可能だ。
 備太郎は、また映画館に行った。
「ううん。やっぱり映画は楽しいなぁ」
「ああああああなたも、えええ映画すすすす好きなんですか」
「えっ」
 備太郎が振り向くと、はげ頭のおっさんがいた。
「わわわわ私も、ゆゆゆゆ幽霊なんなんなんです」
「そうなんですか」
 しかし、すごい吃りだなあと備太郎は思う。
「あああああああなたは、どどどどどんな映画が好きなんですか」
 映画館を出て、二人で喫茶店に入った。空いてる席に座った。無論、幽霊なので、注文はしないが。
「そそそれはですね。あっオレもうつってきちゃった」
 おっさん幽霊が笑ってる。ちぇっ。おっさんの方が面白いのに。
 備太郎とはげおっさん幽霊、田中さんは、ひとまず、シナリオを書くことにした。シナリオをとりあえず書いて、細かいことは後で考えようと。
「どどどどうですか。ここここのキャラ」
「ふむふむ。お。いいじゃん。面白いね」
 田中さんはほっとしてる。
 二人はなかなか愉快である。
 そうこうしてるうちに、映画撮影はあきらめて、小説でも書くかということになった。小説が映画化されればそれでいいじゃんという単純な発想。

 備太郎は、小説を書いてるうちに、壁にぶち当たる。その話はまた今度にしよう。
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