2013/1/5

郷土料理の力  

 安藤百福さんと言えば、日清食品の創業者。食文化の変革者として歴史に名を残している。
 その百福さんが残した偉業の中に、食と健康フォーラムという研究組織がある。1986年には、「郷土料理を科学する」と題して論考をまとめている。私家版で、同社総務部広報課が発行者、百福さんが編者・発行人となって刊行されている。
 冒頭、「私はおふくろの味が特定の地域の中でめんめんと伝承されてきたものを本当の郷土料理だと思っている。だから、郷土料理にはそこに育った人々の心を引きつけて離さない力がある」と喝破している。
 「『食足りて世は平らか』ーー飽食の時代への疑問」と題し、「料理というものは、食べる側の立場だけでなく、作る側の立場に立つことによって、一段とその神髄を理解できるものだとわかりました」と述べている。
 料理が持つ力の源に近づく正直な告白だろう。
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2013/1/3

箱根・小湧谷のチキン料理が有名だった時代  

 食文化も、時代の産物だということを改めて気づかされることも多い。
 多田鉄之助といえば、昭和の初めから戦後初期まで、多田食味研究所を主宰して数多くの食味本を残した逸材。多田が残したグルメ本に「くいしんぼ 郷土の味めぐり」というガイドブックがある。出版されたのは1968年(昭和43年)だから、東京オリンピック直後の食文化を背景としている。
 その本の中に、「箱根料理」という項がある。
 「小湧谷のチキンが有名になってきた。大資本で鶏の飼育をやっているので、多くの鶏が、短時間に生産されているのが特色である。しかし育て方が完全でないのか、鳥の味については未完成である。とはいえ、質より量に於いて、小湧谷のヒナ鳥は、有名になった。違いものでる」
 多田から“鳥の味について未完成”と指摘されてから50年近く経った。どこまで完成したのか、胸を張って自己主張したいものだ。
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