ホテルトマトのレビュー

2012/8/16 
とにかく大変人は模倣を喜ぶものだということ、それは自分の意志からです、圧迫ではないのです。好 んで遣る、好んで模倣をするのです。
 同時に世の中には、法律とか、法則とかいうものがあって、これは外圧的に人間というものを一束 にしようとする。貴方がたも一束にされて教育を受けている。十把一 からげにして教育されている。そうしないと始末に終 えないから、やむをえず外圧的に皆さんを圧迫しているのである。これも一種の約束で、そうしないと教育上に困難であるからである。その約束、法則というものは政治上にも教育上にもソシャル・マナーの上にもある。飯を食べるのにサラサラグチャグチャは不可 ないという。そういうのはこれは法則でしょう。それから道徳の法則、これは当り前の話で、金を借りればどうしても返さねばならぬようになっている。それから芸術上の法則というのがある。これがまた在来の日本画だとか、御能 だとか、芝居の踊りだとかいうものには、非常に究屈 な面倒な固 まった法則があって、動かすことが出来ないようになっております。それらの例を一々挙げると宜いのですが、それは一々挙げません。例を省 くと詰らないものになりますが、早く済みますから、詰らなくして早く切り上げてしまおうと思う。
 それから、法則というものは社会的にも道徳的にもまた法律的にもあるが、最も劇 しいのは軍隊である。芸術にでも総 てそういうような一種の法則というものがあって、それを守らなければならぬように周囲が吾人 に責めるのであります。
香川真司 彼女
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砂田おさむの情報

2012/8/9 
武右衛門君の様子を見るとあるいは本人自身にすら何で、ここまで参ったのか判然しないかも知れない。仕方がないから主人からとうとう表向に聞き出した。
「君遊びに来たのか」
「そうじゃないんです」
「それじゃ用事かね」
「ええ」
「学校の事かい」
「ええ、少し御話ししようと思って……」
「うむ。どんな事かね。さあ話したまえ」と云うと武右衛門君下を向いたぎり何 にも言わない。元来武右衛門君は中学の二年生にしてはよく弁ずる方で、頭の大きい割に脳力は発達しておらんが、喋舌 る事においては乙組中|鏘々 たるものである。現にせんだってコロンバスの日本訳を教えろと云って大 に主人を困らしたはまさにこの武右衛門君である。その鏘々たる先生が、最前 から吃 の御姫様のようにもじもじしているのは、何か云 わくのある事でなくてはならん。単に遠慮のみとはとうてい受け取られない。主人も少々不審に思った。
「話す事があるなら、早く話したらいいじゃないか」
「少し話しにくい事で……」
「話しにくい?」と云いながら主人は武右衛門君の顔を見たが、先方は依然として俯向になってるから、何事とも鑑定が出来ない。やむを得ず、少し語勢を変えて「いいさ。何でも話すがいい。ほかに誰も聞いていやしない。わたしも他言はしないから」と穏 やかにつけ加えた。
「話してもいいでしょうか?」と武右衛門君はまだ迷っている。
「いいだろう」と主人は勝手な判断をする。
「では話しますが」といいかけて、毬栗頭 をむくりと持ち上げて主人の方をちょっとまぼしそうに見た。その眼は三角である。主人は頬をふくらまして朝日の煙を吹き出しながらちょっと横を向いた。

大友愛 離婚
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