2012/5/10 12:08
石川梵写真展 THE DAYS AFTER 東日本大震災の記憶 を観て。
先日、吉祥寺美術館で開催されている、石川梵さんの写真展を観に行ってきました。
石川梵写真展 THE DAYS AFTER 東日本大震災の記憶
2012年4月1日(日)−5月13日(日)

内容は、既に刊行されている石川さんの企画展名と同名の写真集から、厳選されたものをパネル展示したものです。吉祥寺のショッピング施設の最上階にあるその美術館は、それ以下の階と比べ、落ち着いた空気感のある場所でした。
少し赤みがかった黒の壁で区切られ、少し照明の落とされた展示室に、石川さんの写真のパネルが品のある間隔で展示されていました。パネルの脇には、葉書よりも少し小さいサイズの、透明のアクリルのようなもので覆われた薄緑色のキャプションが添えられ、石川さんがその写真を撮った時の事などが、短い言葉で綴られていました。
写真は、石川さんが、震災直後に被災地に赴き、そのままほとんど時をおかずに2カ月間近くその過程を写し続けたものです。展示室の最後には、今年2月の写真も展示されており、石川さんが今も継続的に写真を撮り続けられていることがわかります。
---
でも、わたしが、この展示で最も強く感じたことは、石川梵さんという方は、一体どんなお人柄の方なのだろう?、ということでした。
石川さんがカメラで切り出した風景と人は、石川さんご自身が対面したもので、たとえ同じ技術をもった人が撮影しても、そうはならないのだと思います。
それは、何日も何日も車で(しかも後部座席には支援物資がいっぱいで席を倒せない)寝泊まりし、その中で歩き、話した先に、石川さんが撮影したものだから生まれたものなのでしょう。
---
わたしが1月に東北被災地へ行った時、最も憚られたのは、前の記事でも書いた通り、写真を撮ったり、ボランティアではないことを感じ取られることだった。(わからないように、風景の写真はたくさん撮ったけど。)
実際、「御苦労さまです」と言われて、「ボランティアではありません」と言う時がとても苦しかった。
だから、被災された方を写したどんな写真でも、それを撮った人はどんな人で、どんなやりとりの先に、その写真を撮ったのかが、気になるのです。
石川さんは、キャプションで何度か、構えていたカメラを置かざるを得ない心情になったことも書かれています。
石川さんの写真には、震災直後のやりきれない顔の人々も多く写っており、遺族を亡くした小さな女の子が、亡くなった方の土葬の際に、顔をカメラの方に向けて立っている写真もある。
そういう写真は、その被写体の方との関係性なしには撮れないのだろうと思うのです。
でも、石川さんは、実は愛犬のボーダーコリー(名前は十兵衛)を連れて行脚しており、その中でフリスビー教室を避難所でやった時の、写真があって、それがとても心に残る写真でした。
それは、たぶん被災された方の、やらせではない本当の笑った顔なのだと思った。
(私自身、ほかの写真を観て張りつめていた気持ちが、この写真を観るとやわらぐ思いがした。)
---
展示を観終わって、わたしは『THE DAYS AFTER』の写真集か、石川さんが十兵衛と被災地を回った時のエッセイ『フリスビー犬、被災地をゆく。』の本か、どちらを買おうか迷った。
それで、後者を買った。石川さんがどんな風に被災地を回ったのかが知りたかったから。(お金がなくて両方買えなかった。買いたかったけど。)
それを読むと、あるエピソードが書かれていて、ある日、石川さんに対して何も話してくれなかった、男性と女性が、瓦礫の中の子どもを、必死に瓦礫をどけて探し始めた。石川さんは、すぐにカメラを置いて、ご夫妻を手伝った。それを見た報道カメラマンが、それを手伝うことになった。そして、それから、そのご夫妻が少しずつ話をしてくれるようになったこと。…が書かれていた。
石川さん自身も、様々なためらいを感じておられたことがわかった。
それでも、長い期間現地に居て、写真を撮られた、石川さんの人間的な力は、本当にすごいと思った。
結局は人なのだということを思い知らされた。
---
ただ、最後に、十兵衛の話をすると、犬はこのような時、人以上にすごいということも思った。
人間は、頭の中に、様々な情報を出したり入れたり、そしてそういう情報や当たり前の「考え」に基づいて話かけたり、質問をしたりする。
しかし、犬は、感情や感覚、空気については敏感だが、行動原理についてはとても単純である。
いるだけでやっぱりかわいいので癒されるが、それだけではなくて、子どもたちにとっては一緒に遊べる楽しい友達だし、大人でも、誰にでも屈託のない愛想をふりまいてくれる。
(もちろん、十兵衛が良く訓練されていて、性格がほがらかなことや、石川さんが子ども達に適切な犬への接し方を教えているからということも大きいけど。)
犬は、何も言わずに一緒に楽しんで遊んでくれるし、にこにこしている。
そこに他意はない。
それが、重く沈んだ気持ちを不意に軽くしてくれるのだと思う。
(わたしも犬を飼っているので少しわかる。)
十兵衛の写真もとてもかわいいよ。
---
今度は、石川さんが世界で撮影した写真の展示があるそうなので、行ってみたいです。
石川 梵「人の惑星(ほし)」
2012年5月8日(火)〜6月13日(水)
キヤノンギャラリー S(品川)
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石川梵写真展 THE DAYS AFTER 東日本大震災の記憶
2012年4月1日(日)−5月13日(日)

内容は、既に刊行されている石川さんの企画展名と同名の写真集から、厳選されたものをパネル展示したものです。吉祥寺のショッピング施設の最上階にあるその美術館は、それ以下の階と比べ、落ち着いた空気感のある場所でした。
少し赤みがかった黒の壁で区切られ、少し照明の落とされた展示室に、石川さんの写真のパネルが品のある間隔で展示されていました。パネルの脇には、葉書よりも少し小さいサイズの、透明のアクリルのようなもので覆われた薄緑色のキャプションが添えられ、石川さんがその写真を撮った時の事などが、短い言葉で綴られていました。
写真は、石川さんが、震災直後に被災地に赴き、そのままほとんど時をおかずに2カ月間近くその過程を写し続けたものです。展示室の最後には、今年2月の写真も展示されており、石川さんが今も継続的に写真を撮り続けられていることがわかります。
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でも、わたしが、この展示で最も強く感じたことは、石川梵さんという方は、一体どんなお人柄の方なのだろう?、ということでした。
石川さんがカメラで切り出した風景と人は、石川さんご自身が対面したもので、たとえ同じ技術をもった人が撮影しても、そうはならないのだと思います。
それは、何日も何日も車で(しかも後部座席には支援物資がいっぱいで席を倒せない)寝泊まりし、その中で歩き、話した先に、石川さんが撮影したものだから生まれたものなのでしょう。
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わたしが1月に東北被災地へ行った時、最も憚られたのは、前の記事でも書いた通り、写真を撮ったり、ボランティアではないことを感じ取られることだった。(わからないように、風景の写真はたくさん撮ったけど。)
実際、「御苦労さまです」と言われて、「ボランティアではありません」と言う時がとても苦しかった。
だから、被災された方を写したどんな写真でも、それを撮った人はどんな人で、どんなやりとりの先に、その写真を撮ったのかが、気になるのです。
石川さんは、キャプションで何度か、構えていたカメラを置かざるを得ない心情になったことも書かれています。
石川さんの写真には、震災直後のやりきれない顔の人々も多く写っており、遺族を亡くした小さな女の子が、亡くなった方の土葬の際に、顔をカメラの方に向けて立っている写真もある。
そういう写真は、その被写体の方との関係性なしには撮れないのだろうと思うのです。
でも、石川さんは、実は愛犬のボーダーコリー(名前は十兵衛)を連れて行脚しており、その中でフリスビー教室を避難所でやった時の、写真があって、それがとても心に残る写真でした。
それは、たぶん被災された方の、やらせではない本当の笑った顔なのだと思った。
(私自身、ほかの写真を観て張りつめていた気持ちが、この写真を観るとやわらぐ思いがした。)
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展示を観終わって、わたしは『THE DAYS AFTER』の写真集か、石川さんが十兵衛と被災地を回った時のエッセイ『フリスビー犬、被災地をゆく。』の本か、どちらを買おうか迷った。
それで、後者を買った。石川さんがどんな風に被災地を回ったのかが知りたかったから。(お金がなくて両方買えなかった。買いたかったけど。)
それを読むと、あるエピソードが書かれていて、ある日、石川さんに対して何も話してくれなかった、男性と女性が、瓦礫の中の子どもを、必死に瓦礫をどけて探し始めた。石川さんは、すぐにカメラを置いて、ご夫妻を手伝った。それを見た報道カメラマンが、それを手伝うことになった。そして、それから、そのご夫妻が少しずつ話をしてくれるようになったこと。…が書かれていた。
石川さん自身も、様々なためらいを感じておられたことがわかった。
それでも、長い期間現地に居て、写真を撮られた、石川さんの人間的な力は、本当にすごいと思った。
結局は人なのだということを思い知らされた。
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ただ、最後に、十兵衛の話をすると、犬はこのような時、人以上にすごいということも思った。
人間は、頭の中に、様々な情報を出したり入れたり、そしてそういう情報や当たり前の「考え」に基づいて話かけたり、質問をしたりする。
しかし、犬は、感情や感覚、空気については敏感だが、行動原理についてはとても単純である。
いるだけでやっぱりかわいいので癒されるが、それだけではなくて、子どもたちにとっては一緒に遊べる楽しい友達だし、大人でも、誰にでも屈託のない愛想をふりまいてくれる。
(もちろん、十兵衛が良く訓練されていて、性格がほがらかなことや、石川さんが子ども達に適切な犬への接し方を教えているからということも大きいけど。)
犬は、何も言わずに一緒に楽しんで遊んでくれるし、にこにこしている。
そこに他意はない。
それが、重く沈んだ気持ちを不意に軽くしてくれるのだと思う。
(わたしも犬を飼っているので少しわかる。)
十兵衛の写真もとてもかわいいよ。
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今度は、石川さんが世界で撮影した写真の展示があるそうなので、行ってみたいです。
石川 梵「人の惑星(ほし)」
2012年5月8日(火)〜6月13日(水)
キヤノンギャラリー S(品川)
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