2012/6/13

そこに君はいた・・・2  そこに君はいた

僕に気がついた彼女が
すぐにその場所を立ち去るんだと僕は思った。

彼女は真っ直ぐに僕を見つめていた。
立ち止まった僕も彼女を見つめていた。

いつもは周りの目を気にする彼女なのに
なぜか歩いている人を気にすることもなく
真っ直ぐに僕を見つめている姿を見てると
3年という月日が昨日の事のように思えてくる。

僕が彼女の方へ歩いていこうと思ったとき
彼女の方から僕の方に歩き始めた。

僕はそんな彼女を
当たり前の出来事のように待っていた。

「こんにちは」
「毎月、お金をありがとう」
「一応、お礼を言っておこうと思って」

僕は彼女の言葉を聞いていた。
彼女の声が強がっているのが分かった。

あれから
どれほど涙を流したんだろう?
いや
別れる前
別れる何年も前から
どれほどの涙を彼女は流してきたんだろう?

そんな思いが僕の頭の中を支配していた。

何も話さない僕を見て

「それじゃ・・・これで・・・」

そう言いかけた彼女に

「由香・・・」

別れたらもう他人だから
これからは「さん」つけで呼ばないとね!

そんな事を言ってた彼女を
僕は呼び捨てで呼んだ。

それじゃ・・・これで・・・と
うつむきかけた彼女が
僕の顔を見つめた。

その瞳は僕を憎んでる瞳ではないことはすぐに分かった。
不思議そうに見つめてる彼女の瞳の中に
僕は何も求めてはいなかった。

「由香・・・ひとつだけ確かめたい事がある」

「確かめたい事?」

彼女がふいに目をそらした。


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タグ: 離婚 思い出 再会

2012/6/13

そこに君はいた  そこに君はいた

久しぶりにドラックストアーに来ていた。
何を買うというわけでもなく
何かを探す目的があるわけでもなく
来るはずのない
いや・・・
来るべきではないこの場所。

店内を歩きながら
なぜ?
ここに来たのかを考えていた。

何かを思い出そうとしても
その何かが思い出せない

店内に並んでいる商品の値段を見て
高い安いと悩んで買い物をしていた頃が
妙に懐かしく思えてくる事に
一人で苦笑いしている自分がそこにいた。

懐かしいと思える程
時間が過ぎたわけでもなく
ほんの一年前までの出来事なのに
何年も前の事のように思えてしまう。

いまでは
値段札を見ることもなく
欲しいものを欲しいだけカゴの中に入れる
なのに
何も欲しい物が見つからない。

とりあえず缶コーヒーでも買って
店を出ようと思った。

レジでお金を払いながら
右側に広がるガラス窓から表の方を
何かを確認するかのように視点が移動する。

いま着てるスーツも
少し肌寒くなってきてる
そろそろ冬支度になるかな?
11月も中すぎになると風も少し冷たくなりはじめてくる。

ドラックストアーのすぐ右隣には
病院の薬を調合してくれる店がある。

店の玄関を出て
右側の方に歩いていく
隣の調合してくれる薬剤店の前を過ぎて
自分の車のところまで歩いていく。

薬剤店の角を過ぎようとしたとき
ふと、角の少し奥の方に人影が見えた。

女性が一人
薬剤店の壁にそって立っていた。

もし、その女性が僕に気がつかなかったら
僕はそのまま通り過ぎたと思う。

僕から声をかける勇気はまだなかった。

彼女は僕に気がついた。
僕の足が止まった。

別れた妻との3年ぶりの再会だった。
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