(その27)お遍路さん
四国88か所お遍路旅の本を最初に読んだのは、加賀山耕一「お遍路入門」(ちくま新書)だったと思う。四国の鉄道周遊旅行に出かけたおり、ごめん奈半利駅前でお遍路さんと出会い、この本のことでお互い会話が盛り上がった思い出がある。
母が亡くなった後、父に88か所めぐりを薦めたのも、この加賀山さんの本によるところが大きい。最も父は高齢なので歩き遍路ではなく、阪急交通社の4回に分かれたツアーを利用した。なかなかよく練られた行程だった。毎回の参加者中で父は最年長だった由。行程は以下のとおりである。
・2011年
(阿波一国詣り)5.27(金)〜29(日)、JALで徳島空港イン・アウトの行程。初回なので2泊3日は無理ないコースだったようだが、雨にたたられ、ずぶ濡れで帰ってきた。5/29に羽田に着替えを持って出迎えた。
(土佐一国詣り)10.20(木)〜22(土)、高知空港イン・アウトの行程。往路はANA、復路はJAL。
(伊予一国詣り)11.6(日)〜9(水)、今回から3泊4回になる。JALで松山空港イン・アウト。今回が一番きつかった由。
(讃岐一国参り)12.1(木)〜4(日)、最終回も3泊4日。JALで高松空港イン、伊丹空港アウトの行程。最後は高野山へお礼参り。ほぼ半年の間に全部を回って「結願」となった。よくやったと思う。
それから4年たち、いま父は歩けなくなった。あの時行っておいて本当によかったと思う。そして、最近お遍路本を立て続けに読んでみた。一つは宗教学者の書いた、空海以前の熊野修験からの歴史を丹念にたどったもの。もう一つは元総理大臣の菅直人さんが書いた歩き遍路の巡礼記である。特に後者は、レイルウエイライター種村直樹さんの筆致によく似た紀行文だと感じている。

・頼富本宏「四国遍路とはなにか」2009年(角川選書)1400円
・菅直人「総理とお遍路」2015年(角川新書)820円

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