その4/病院での待ち時間ナガラ読書
通っていたH病院。土曜日に診察で、「もう傷口が塞がったのでガーゼをあてる必要なし。抗生剤だけもう少し飲んでください」と言うことになりました。女性化乳房のおそれもないとのこと。これで傷口を気にすることなく、ざぶざぶシャワーを浴びても平気です。
木曜日の担当医から自分で処置できるように、<アクリノール液>が処方されていました。黄色い液体です。2日間自分で傷口の消毒をしましたが、黄色の液体は服に付くと落ちません。その作業からも解放されました。(大量の消毒液が余りました)
病院での待ち時間をどう過ごそうか。一昨年の母の看病時は待合室に置いてあった西村京太郎シリーズを読んでいました。私は複数の本を同時並行に読むのですが、病院へもっていったのは、松尾匡「新しい左翼入門−相克の運動史は超えられるか」(講談社新書2012)。
明治以後の社会運動史の中で「なぜ理想は対立するのか」が主要テーマで、非常に面白い著書でした。たとえば、<保守−革新>という枠組みがあったら、革新の中身が必ず二つに分かれ、本来対抗すべき相手の保守ではなく、革新側が割れてしまう。どうしてなのかが、平明な言葉で語られています。(例をあげると、三井三池争議で労組はなぜ2つに分裂したのか)
1990年代以後の若者世代の右翼ナショナリズム大盛況がなぜ起こったのか、深刻に考えてみる上で参考になる書でした。丸山眞男の再評価、井上達夫の法哲学などと近接性があるように思いました。まあ、経済学者の書いた社会学かな? それはともかく、いいところまで読み進むと診察の順番が回ってきて中断し、続きは翌日に読むハメになりました。
松尾匡「新しい左翼入門」(講談社現代新書2012)
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