昨日は大工事だった。
といっても道場の事はなく、前歯の治療を兼ねてブリッジ作りだ。
数時間かけて8本をブリッジにした。
削って切ってと、3時間に渡る大工事だ。
歯科医は、私の同級生の息子で2代目。
彼は小学生の頃から知っているので、仕事ぶりが頼もしい。
確かに腕が良い。
まだ仮歯なのだが、その仮歯の作りが素晴らしい。
「このままでもええんとちゃうん」というくらいの仕上がりだし、当人も「良い仕事ができた」と呟いていた。
同級生の親父も息子の仕事ぶりにニコニコしていた。
同級生の彼とは、機材もソフトも揃っていなかった時代から「嚙み合わせと全身のバランス」等、それこそ、予防歯科という名が浸透していない時代から、研究を重ねていた。
歯での実験を、私の歯で相当繰り返した。
そこから無意識反射という、武道では必須の身体機能にも気付いた。
歯の大工事を終え、コロナワクチンを打って、疲れたのかぐったりした。
数十年ぶりに前歯が揃って口がおかしな感じだ。衛生士が「先生、お顔が優しくなりました」と笑う。
歯並びは大事やなと思った瞬間だ。
今日は首にアイスノンを巻きつけての作業にした。
快適だ。
「ほんまかいな?」と一人突っ込む。
先日、怪しいメールが届いた。
海外からのメールだ。
と、英語で書かれているが、スクロールすると日本語でも書かれていた。
海外メディアからの取材依頼だった。
「日本語しか分からへんで」と返信すると、「大丈夫」と来た。
どこから?どんな経緯で?あるいは、仕掛けたのは誰?とは、思うが、「ま、ええか」と取材を受ける事にした。
東京オリンピックの映像を世界に発信しているTV局だった。
取材を受けたら、また面白い展開があるかもしれない。期待しないで忘れよう。
大阪の集中稽古と大阪・明鏡塾7期の講座も終わった。
集中稽古を終え、稽古場の近所を歩いていると、こじゃれた食べ物屋が目に止まった。
いかにも安い建材で、今風オシャレなようにみえる。
今風の(何のこっちゃ)ファッションのウエイトレスというのか、スタッフというのか、言葉をあまりしゃべらない、いやしゃべれない女性が、ボソボソと話す。
マスクをしているので、余計に聴こえない。
そんな店が増殖している。
それも現代風、時代の移り変わりなのだろう。
昭和の私にはついていけない。
多分、私が若い時も、今の私くらいの人達に、「このガキ達はわからん、時代が変わった」と思われていたのだろうと思う。
そんなことを思いながら、今の現代風と、私の若い頃の現代風を比較すると、違うところは一つある。
私達が若い頃は、古い時代に立てつくエネルギーが溢れていた。
その意味で、現代は人のエネルギーを感じないのだ。
間違いなく、私達はその若者よりも先に死ぬ。
このままの日本で良いのかな?と、先行き不安になる。
ふと、将棋の不世出の名人羽生名人との対談した時の言葉を思い出した。
次の一手を考えている時、何を考えているのですか?という私の問いに「自分の手に相手はどう動くのか、それを90から100数手先まで3通りほど考えています」という答えだった。
これには仰天したが、次に「実際に指す時は勘です」にはひっくり返った。
勘の正体はこれか!と気付かせて貰った。
武道の稽古で難しいのは「咄嗟の時に」それが出来るかだ。
咄嗟、その場で出来る事が、稽古の目的なのだが、稽古には咄嗟が無い。
いわゆる忖度の中で終始する。
その意味では咄嗟を稽古しなければ駄目だ。