
ツアーの最後は、
染職人の恩田さんの工房にお邪魔しました。

いくつも埋まっている藍甕。そこに、糊置きした長板の反物を沈めます。

ほんの2〜3分で引き上げ、すぐさま空気に当たるために広げます。この作業がうまくいかないと、染ムラができてしまうとのこと…。作業は素早く、でも淡々と繰り返されていきます。藍の状態、引き上げるタイミングや広げ方etc、すべて長年の経験によるものです。

工房には、愛染明王さまが祀られた神棚があります。型職人の大熊さんと、染職人の恩田さんは、
3代の長きに渡ってコンビを組んでお仕事をなさっています。まさに、ふたりでひとつのものを作り上げているのです。愛染明王さまが祀られているお寺にも、ご一緒にお参りにいくとか…。

染終わった藍甕をクルクルとかき回すと、底から鮮やかな緑色が浮かび上がってきました。まさに、
藍は生きていると実感。上手に育てないと、色が出なくなり、それを元に戻すには数週間かかってしまうそうです。

職人のごとき凛とした眼差しのワンコちゃんに見守られ、洗い場に移動です。

静かに進んだ染めの行程から、一気に動の工程へ。ご夫婦おふたりで、激しく反物を水に踊らせます。冬場の作業は、お辛いだろうと心配になってしまいましたが、手慣れたご様子で瞬く間に1反が洗い終えられました。

匠の技に息をのむ参加者一同。その頭上には、洗い終わって鮮やかな柄があらわれた長板中形の反物が干されています。(つづく)

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