私たちが住む埼玉県。なかなか特徴の無い土地だと思っていましたが、県内各地できもの散歩をしていく中で、秩父の地に「いろどり」という薄笹色のブランド繭が生産されていることを知りました。この愛らしい「いろどり繭」を使って、自分たちの手で埼玉県産のきものが作れないかしら?という無謀な思いつきをしてからほぼ1年。このたび、その願いが叶ってしまいました(^^v
秩父で作った「いろどり繭」を、本庄の黒澤織物のご夫妻に持ち込んで草木染めをし、手織りをしてもらいました。その「いろどりきもの」のお披露目を兼ねて、このプロジェクトにかかわって下さった方をお招きし、お話を聞き体験をするというシンポジウムを、旧鏡山酒造跡地にできた大正蔵で行いました。
各地から参加して下さった100名あまりの皆さまもきもの姿が多く、老舗の造り酒屋さんを改装したホールである「大正蔵」の中は、とってもいい雰囲気に。
まずは、繭や生糸のことを何も知らなかったヨチヨチの私たちのことを見守るとともに、要所要所で的確なアドバイスを与えて導いて下さった、いろどり繭の開発者で養蚕博士の近達也さんの基調講演から。蚕と自然を愛する心優しきBigManの近さんは、みずから蚕を育て、座繰りで糸もとるプロフェッショナル。養蚕の現状や、蚕の習性など興味深いお話を、その絶妙の語り口で楽しく教えて下さいました。
基調講演の後は、いろどり繭を生産していらっしゃる秩父の養蚕農家の重鎮・宮崎豊二さん、みずからも蚕を育てるほどのフリークである、きものエッセイストで漫画家の近藤ようこさん、そして今回の無謀とも思えるいろどり繭プロジェクトの首謀者である、NPO川越きもの散歩代表の藤井美登利を交えてのパネルディスカッション。今や風前の灯となってしまった日本の養蚕文化を守りたい!という強い思いを抱いている面々が一同にかいし、それぞれの立場で発言をして下さいました。これがまた、新たな展開の糸口になる予感がするひとときでした。
後半は、思いがいっぱいつまった「いろどりきもの」のお披露目会となります♪

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