2010/9/28  22:15

図書館の窓口  

 図書館の窓口を小さな問題だと考えている人がいますが、まったく違います。図書館サービスとは基本的に窓口サービスであり、そこが一番重要です。
 市町村立図書館等の支援にしても、直接、一般の県民を対象にするわけではありませんが、市町村立図書館を顧客とする窓口であることには変わりません。
 窓口サービスにもいろいろ性格がありますが、図書館の窓口は量ばかりでなく質も追求するものです。貸出手続きは単純作業の面があることは否定できませんが、しかし、司書がまったく携わらないというのは危険です。司書は、貸出の状況を見て、どのような本が動くのか、どのような人がどのような本を求めているのか把握して、選書に生かすのです。そうして、図書館の蔵書(コレクション)と利用者がお互いに高め合う関係になるのです。
 また、資料を使って調べ物の相談に乗るレファレンス・サービスを窓口サービスだと思っていない人がいますが、これは勘違いです。レファレンス・サービスこそ利用者と対話をしながらでないと、何を調べたいのかわからないので、もっとも窓口的なサービスです。ただ、紙に調べたいことを書いて出してもらうだけでは、ちっとも調査対象の絞込みができません。だから、やりとりが必要なのです。
 「プールについて調べたい」などと言われても何のことかわかりません。プールの管理のことなのか、設置のことなのか、はたまた、どういうところにプールがあるのかということか、プールというものがどういうふうにできてきたかその歴史なのか・・・。
 基本的には、レファレンスとは、何でもやってあげることではなくて、こういうときにはこういう資料や情報源を使うと調べられますよということを伝えることも含まれます。それの方が利用者としても効率が良いのです。
 また、レファレンスと貸出しは切り離された仕事ではありません。プールの設計については、A,B,Cという本に載っていましたと言ったとしたら、では、Bという本を借りていこうというような話になり、貸出に結びつきます。そういう結果の積み重ねが図書の選定にもつながります。こういうPDS(Plan=計画・Do=実施・See=観察/評価)というサイクルがあるのです。(PDCAという言い方もあります。この場合、Cはチェック、Aはアクション・・・点検して行動です。)
 このサイクルを分断するようなことをしてしまっては、図書館のミッションを果たせません。窓口を普段しない人が市町村支援だとか、窓口はまるごと委託だとか、そんなことをすると図書館のPDCAサイクルは分断され、発展しない組織になってしまいます。図書館は机上の空論ではできないのです。
 こういった組織論からも、今回の県市一体型は、「一体」という言葉を使いながら、いろいろなものが分断される危険性をはらんでいます。
26

2010/9/27  9:16

蔵書の収容力  

 蔵書の収容力というと、書庫だけをみてしまいがちなのですが、開架スペースやその他のスペースでも、荷重に耐えられる設計にしておけば、書庫に転用もある程度可能です。
 そこで、新館にした府県立図書館の全体の床面積と想定している最終的な収容冊数、そして1平米あたりの冊数がどうなっているのか、一覧にしてみました。

新館にした府県立図書館の蔵書収容力

※床面積は平米

府県 床面積 収容冊数 冊/平米
岩手___10590_____153万____144.5 ※自動化書庫導入
奈良___11821_____100万_____84.6 ※自動化書庫導入
岡山___18193_____230万____126.4 ※自動化書庫導入
福井___15317_____190万____124.0 ※若狭図書学習センターは含まず
京都____7478_____150万____200.6 ※自動化書庫導入
茨城____9459______77万_____81.4 ※三の丸書庫含む
宮城___18101_____150万_____82.9
大阪___30771_____350万____113.7 ※中之島図書館は含まず
岐阜___25206_____110万_____43.6
大分___11142_____160万____143.6
高知___13000_____205万____157.7 ※県と市の一体型(市の本館分蔵書含む)

 こうすると、自動化書庫を導入していないところでは、高知県・高知市一体型図書館が平米あたりの冊数は一番多くなります。

 やはり、ちょっと無理があるのではないでしょうか? それから、全面広告で打ち上げたようなサービスを本気で実施するとなると、もっと多くの図書や雑誌が必要となります。本当にできるのでしょうか? 一体、どういう計算をしたのでしょうか?

 自動化書庫を入れることを前提にしているのでしょうか?

 しかし、自動化書庫は導入経費が膨大にかかるだけではなく、運用経費も相当かかり、メンテナンスが欠かせません。高知県や高知市にそんな財政力があるのでしょうか?

 また、自動化書庫は収容効率は格段に良いのですが、人間がなかに入れません。従って、問い合わせがあったときに、司書が中に入って本をいろいろ見て探すということができません。すると、自動化書庫と同時に、相当高度な蔵書検索システムが必要になります。これもまた、新たな費用がかかります。

 大学のように、利用者が研究者で、自分で探す資料を特定できる人が多い場合は問題がありませんが、いろいろな人が使う公共図書館では、使い道は限られます。


20

2010/9/26  22:53

追手前小学校  

 これが、県市一体型図書館が構想されているところにある追手前小学校です。日曜市の朝の写真です。日曜市で道路が半分使われていますが、結構、車も走っています。新図書館で駐車場を整備しないと違法駐車が増えるでしょう。しかし、駐車場を整備したところで、2つの図書館を一緒にして、利用者がその分集中して来たら、交通渋滞も起きるのではないでしょうか? とくに日曜日は図書館来館者も当然多いですので。集中していいこともありますが、分散しているからこそいいこともあるのではないでしょうか?クリックすると元のサイズで表示します
24

2010/9/26  22:41

観光と図書館  

 実は、最近、観光に果たす図書館の役割が注目されてきています。

 次のような論文もあります。

お持ち帰り資料はいかが?--全国に広がる・図書館の観光情報エクスチェンジ--楽しい〜費用なし
http://opac.ndl.go.jp/articleid/10506237/jpn

観光と図書館の融合の可能性についての考察
http://hdl.handle.net/2115/43017

 これからの観光は、もはや単なる物見遊山ではありません。もっと精神的に深いものを求める方々が増えていくと考えられます。精神的に深いものといえば、やはり本です。郷土資料は、このように深いものを求める方々の要求にこたえるはずです。単なるお金のつながりだけではない、こころのつながりも地域間にできるのではないでしょうか? そういうものが、新たな事業展開などにもつながっていくと思います。

 お金とは、価値と信用の記号であり、実はこころを表したものなのではないでしょうか?

 そういうことも考えると、駅前観光施設と駅前図書館は相互に矛盾しないと考えられます。
19

2010/9/25  22:43

高知駅前県有地  

 高知駅南口の土佐電鉄西側の一角は県有地です。およそ6200平米ほどあります。もし、県立図書館を単独整備すると、ここは有力な候補地のひとつになります。公共交通も駅前ですから、当然、大変便利です。全国からの利用者もある高知県立図書館としてはふさわしい土地のひとつです。
 山梨県でも新山梨県立図書館は甲府駅前に計画されています。
 高知駅の前に図書館。「高知」という名前のとおり、高い知見を具体化し、駅舎の文化的な装いともマッチするのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
 ここには、土佐幕末維新社中(仮)が構想されていますが、これを県立図書館と複合で整備するという考え方もあります。図書館同士の複合はかえって相性が悪いですが、観光施設との複合は新発想であり、図書館の郷土資料という資源を有効活用できます。高知の歴史を訪ねてやってくる人は、図書館でさらにその興味を満足させることができます。ひとつの考え方ですが、機能を相殺してしまう恐れのある図書館同士の一体化より、本来の意味での綜合が図れる可能性があります。クリックすると元のサイズで表示します
31



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ