2010/11/1  22:12

新図書館基本構想検討委員会第1回  

 2010年10月30日、午後1時半から4時半まで、高知市総合あんしんセンター3階中会議室で、高知県と高知市の新図書館基本構想検討委員会第1回が開かれました。

 正式な記録は、事務局の方で作成されると思いますが、ここではメモから掲載します。他にも傍聴されていた方で、不十分とか少し違うという部分があれば、コメントを寄せてください。

 委員は下記のとおりですが、植松氏と篠森氏は欠席です。

委員長 宮地弥典氏(前県教育委員長)
副委員長 内田純一氏(高知大教育研究部教授)
植松貞夫氏(筑波大大学院図書館情報メディア研究科長)
片岡卓宏氏(県身体障害者連合会長)
加藤勉氏(高知大教育研究部教授)
川田恵美子氏(高知市PTA連合会副会長)
川田米実氏(土佐町教育長)
斎藤明彦氏(元鳥取県立図書館長)
篠森敬三氏(高知工科大付属情報図書館長)
常世田良氏(日本図書館協会理事)
森尾靖子氏(高知市立市民図書館協議会委員)
柳川明彦氏(室戸市立市民図書館長)
吉沢文治郎氏(ひまわり乳業社長)
吉本寛子氏(土佐市立市民図書館長)

 まず、宮地委員長より、新図書館について語るとき、「役割」という言葉と「機能」という言葉をきちんと使い分けることが必要であると前置きがあったのち、各委員にそれぞれの図書館についての考え方を述べてもらうところから始まりました。

 内田副委員長は、高知県の場合、条件の貧しさから、図書館が住民から頼られていない実態がある、県立図書館についても理念はあるが実態が伴っていないという指摘がありました。

 片岡氏は、障害者にとっても使いやすいユニバーサルな図書館であることが必要と述べました。

 加藤氏は、県立図書館と高知市民図書館を一体化することについては支持が不足している、県民・市民の付託は得られているのかが問題だと指摘しました。また、紙媒体による図書館がいつまで持続できるのか、非常に難しい検討が必要であると述べました。そのことを考えた上で、閲覧スペースや学習のための読書の場の確保は必要であろうと指摘しました。

 川田恵美子氏は、学校図書館が整備できていない状態では、県立と市民図書館の一体型整備がいいのか悪いのかわからないと検討の困難さを述べた上で、県立図書館が高知県の中部にではなく、東部や西部にあってもよいのではないかと述べました。

 川田米実氏は、県立図書館の役割をしっかり押さえる必要がある、市町村支援をどれだけ担保できるかが課題だと述べました。

 斎藤氏は、一体型の図書館は調整して運営することが難しい、ミッションがそもそも違うと指摘した上で、図書館は時代とともに変化していかなければならないが、県と市、それぞれの思いで進化させられるかという問題(課題)があると述べました。さらに県立図書館は県全体の情報提供機関というだけでなく、国内さらに国際的な視野のもとに考えていかなければならないことを韓国・中国・シンガポールなどが図書館をどんどん充実させてきており、日本の図書館は欧米どころか勃興するアジアにも遅れを取りつつあると指摘しました。また、インターネットが普及しても、信頼できる情報源としての図書館の重要性は高いと述べました。

 常世田氏は、現在の日本の図書館は、いまだに娯楽・教養のレベルに留まっており、世界の図書館から遅れを取っており、もっと地域の課題などを解決していくことができる図書館が望まれていると述べ、この一体型の問題については、文部科学省の事務局サイドも重大な関心を持って見ていると述べました。

 森尾氏は、利用者として、実際、高知市民図書館と県立図書館は使い分けている、双方の機能を広げても一緒にするのは無理だと思っていると述べ、高知市民図書館は市民がくつろげる図書館であってほしいが、県立図書館は、きちんと調べ物ができ、後々まで残すべき本をしっかり保存するところであってほしいと述べました。

 柳川氏は、室戸市民図書館が7万冊弱の蔵書で、職員は4名だがすべて臨時職員であること、年間の資料費は380万円程度であることを示した上で、県立図書館の市町村支援は非常に重要であると述べました。

 吉沢氏は、今の高知は残念ながら、歴史的なものや文化にお金の入れ方が足りない、かつては、そうではなかったため、人材も輩出したので、経済的な側面だけで考えるのは好ましくないと述べました。その上で、考える能力をつけるためには図書館の充実が必要だと指摘しました。

 吉本氏は、広域自治体と基礎的自治体の違いを認識すべきと述べ、とくに県立図書館の市町村支援はそれぞれの市町村の発展を見据えたものであるべきと指摘しました。

 篠森氏は欠席でしたが、20年後の姿も構想に位置づけ、高知市民図書館の分館・分室をどうするのかも位置づける必要があるというメッセージを寄せられました。

 議論に入ると、人員・責任体制を明確にすべきだという意見とともに、県と市の役割を箇条書きにしたものがほしいという声があがりました。その中で、平成19年度末(平成20年3月)に、報告書が出ているという指摘もありました。(県立図書館・市民図書館問題検討会報告書 高知県立図書館・高知市民図書館・高知県教育委員会事務局生涯学習課/編 県立図書館蔵書K/013/18,KX/013/18)

 また、1万3千平米に圧縮することについて、積極的にこのスペースにしなければならないのか、書庫や閲覧スペースは足りるのかと言う問いかけがありました。これに対して中澤教育長が、将来の拡張スペースとして1万3千+αのαの部分は確保すると述べ、500平米で4階建てくらいで100万冊ほど入るかと考えていると言う説明がありました。

 ここで、斎藤氏が鳥取県立図書館の状況を説明し、鳥取県立図書館は実際には、9200〜9300平米あるが、現在90万冊で数年でいっぱいになってしまいそうである、9000平米で100万冊という感じかと思っていると述べました。

 委員からは開架スペースがもっとほしい、活性化した図書館に必要なスペースの確保を考えるべきだという声が上がりました。

 県と市が一緒になって選書の協議はどのようにやるのかという疑問が出されましたが、図書館現場からの答えはありませんでした。閲覧や学習スペースのあり方や規模については次回までに出してほしいという要求が出ました。生涯学習課は山梨県立が330席、鳥取県立が132席、岡山県立が368席という数字を示して、300〜400席のスペースは1万3000平米で確保できると考えていると答えました。

 吉本氏から提示された資料に「貸出し」や「レファレンス」などが「共通の機能」としてひとくくりにされている説明があるが、中身やレベルが違うのではないかという指摘があり、他の委員から、これは単に種類を示している(類型化している)だけではないかという指摘がありました。選書や除籍の基準についても次回出すようにとの求めがありました。

 ここで、常世田氏より、これは単に県立図書館という建物と高知市民図書館という建物を一緒にするというレベルの話ではなく、県内の本全体をどうするのかという問題だという指摘がありました。図書館とは建物ではなく、システム(使命・目的のために綜合された相互に関係する資源・サービス・組織の総体)のことであり、その観点から将来予測をすることが必要で、県と市双方2重に行うのは非常に難しい、県と市では図書館のあり方そのものが違うのではないかという指摘がありました。

 さらに、電子化の問題に触れて、実はアメリカの図書館でも大問題となっているが、実際には、電子化されたサービスを進めるとかえって直接来館する人が増えているという現象が起きていることを示しました。高度なデータベースを自分で使いこなすことが困難で、さらに関連する情報も本に求めて、司書の支援があり、バックヤードの深い図書館に来るのだということだそうです。

 川田米実氏からは、AとBの機能を両方使えるのは便利ということに行政ではなっているという認識が示されました。

 吉沢氏から、システム統合は本当に3億9千万円で大丈夫なのかという疑問が出されました。そして、構想がつまっていない今の段階では見積もりができないのではないかと指摘しました。

 この関連の議論の中で、単にコンピュータの費用だけではなく、物流のグレードアップの費用はどうなっているのか、高知市民図書館の分館・分室の新しい運営イメージはできているのか(物流量が増大すると考えられるため)、配本の頻度は上げられるのか(明日には届くというレベルでないと使えない)、配送の作業員の数を確保できるめどはあるのか、など多くの疑問が出されました。

 さらに、物流のスペースは1階が好ましいと考えられるが、他にも子どものスペースなど1階が好ましいものがたくさんある、1階部分に必要なスペースを確保できるのかという疑問があがり、次回までにそのへんを明らかにしてほしいという求めがありました。

 議論のまとめとして、「物流は県立図書館にとって命である。中途半端なことをやってもリターンがないので、これは徹底できるようにしなければならない。」という意見がありました。

 それから、合同の図書館にするとなると、一定水準以上の司書が双方にいないと破綻するだろうという意見がありました。

 賛成・反対というくくりはできませんが、図書館そのものをどう「充実するのか」という視点が欠けていることが多く指摘された会でした。

 次回第2回は11月23日、第3回は12月24日になる見込みです。
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