2011/2/28  21:12

前県立図書館長パブリック・コメント第3弾  

前高知県立図書館長の丸地さんがパブリック・コメント第3弾を出したので、掲載させていただきます。


新図書館基本構想中間報告書(案)(以下、「報告書」)について

合築の賛否については、昨年、高知新聞へ寄稿したとおり反対なので、ここでは繰り返さないが、県として、真っ当な図書館行政が行われるようにするために意見を述べる。

1.「高知県図書館振興策」の策定

 県内の図書館整備が、ぶれることなく行われるために、明確な理念に基づいた図書館振興策を策定し、全県域を対象とした図書館振興を、県教委は県民に約束すべきである。その際には、県民や、図書館の現場の意見を尊重すべきである。

2.「高知県図書館基本条例」の制定

 上述の振興策を制度的に下支えし、担保する「高知県図書館基本条例」の制定が必要である。それには、「報告書」にもあるとおり、新図書館への必要十分な人的・物的投資や管理運営体制(直営であることや、館長の権限強化等)も含むべきことは言うまでもない。

3.「高知県図書館振興策」「高知県図書館基本条例」が必要であることの背景

@ 地域の問題解決には図書館の充実が必要
 これからは、社会情勢の変化に伴って発生する様々な問題を行政や住民が解決・軽減していくために役立つ資料・情報の必要性がますます高まる。したがって、新図書館はもちろんのこと、特に高知市以外の市町村立図書館も、今より人的・物的(=職員体制と資料費)両面を充実させるべきだし、未設置自治体には図書館を設置する必要がある。

A 生涯学習を促進する環境づくりが必要
 学校だけが学びの場ではない。人は常に、何らかの方法で必要なことを学んで生きていく。まさに「生涯学習」という言葉が当てはまるが、その1つが本を読むことである。
図書館は、「社会教育のための機関」だが、教育行政が直接的に関わる学校教育と社会教育のうち、図書館への投資が他県と比べて非常に少ない高知県は、生涯学習のための環境が整備されているとは言えない。県教委は市町村教委と協力し、図書館への投資を充実させて、県民の生涯学習を促進する環境づくりに努めるべきである。
 高知県の高齢化は全国平均より10年先行しており、人口減少も激しい。人口学的に見て人口減少に歯止めをかけるのは非常に困難とは言え、発生が予測される問題を解決する時間を稼ぐ意味で、県人口の減少を少しでも緩やかにするための対策を立てることは、県が取り組んでいる県外住民の移住に関する施策も含めて、非常に重要である。生涯学習を可能とする環境づくりはそのためにも必要であり、それには図書館の充実が必須である。
 
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2011/2/27  15:29

地方自治と図書館  

 以前、このブログでも何回か、都道府県と市町村は対等であることが地方自治法でも明らかになっていると書きましたが、法文上ではきわめてわかりにくいものになっています。
 現在の地方自治法は1999年に大改正されています(その後も何度も改正あり)が、改正の元になったのは、地方分権推進委員会の勧告です。
 この委員会の勧告の都道府県と市町村との関係の部分をリンクしておきます。

http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/2ji/5.html

 地方自治法の大改正では、「関与の法定主義」というものが貫かれています。この改正以前も自治体はやっぱり自治体であったはずなのですが、「機関委任事務」という何だかわからない仕事がありました。これは、都道府県や市町村が国の出先窓口のような位置づけになってする仕事のことです。こういうものがある限り、市町村より都道府県が、都道府県より国が「偉い」という「雰囲気」はぬぐえませんでした。
 そこで、この改正では、本来、国が行わなければならない仕事を都道府県や市町村にやらせる場合は、法律でしっかり定めることとなったのです。これを「法定受託事務」と言います。こういう、イレギュラーなものは、法でちゃんと決めてやりましょうということです。都道府県は自治体なんですから、国がその自治について「関与」することは原則的にダメであって、それをしなければならない場合は法律にしっかり決めましょうということです。

 これは、都道府県と市町村の関係にも言えます。

 従って、今回の高知県と高知市の合築図書館では、県が市に、市が県に関与することになります。県と市は対等なので、市が県に関与するという関係もあります。法定主義という建前から言えば、最低でも双方の条例できちんと決める必要があります。

 しかし、これとても、団体自治(自治体という組織としての自律性)の側面はある程度満たすものの、「住民自治」の面は弱いのではないでしょうか?

 図書館は住民自治と密接に関係します。

 住民が自分たちの地域の課題や問題を真剣に解決しようと思ったときの情報源なのです。この情報源に基づいて、本来、議会その他の討議もなされるべきです。そうでないと「ただの言い合い」やセレモニーに堕してしまいます。

 県全体の課題と高知市の課題は違います。

 それは、日本全体の課題と高知県の課題が違うのと同じです。

 日本全体の課題が優先されれば、高知県は必ず見捨てられます。特に、東京が日本を代表しているかのような考え方がされれば、多くの地方はお荷物でしかありません。

 高知市の課題が優先されれば、高知県内の他の市町村は見捨てられるところが必ず出ます。

 自治体とか地域は、会社とは違います。お荷物とか効率が悪いとかいうような存在ではなく、そこで暮らしている人がいる文化の母体なのです。

 他の地域から移り住む人が増えたところで、地域はそれを柔軟に受容し、新たな文化を創っていくのです。

 そういったものと自治と図書館は一体なのです。この大きな前提を考えずに、県と市を機械的に一体にしようというのは、本人の意向を無視して政略結婚させるようなものです。

 いや、実際、そういう政略があるのかもしれません。これからの様々なことの布石かもしれません。



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2011/2/24  23:43

レファレンス・サービスについて  

 レファレンス・サービスとは、図書館が利用者の調査・研究の援助に応じることである。これは、図書館法にも明記されており、市町村立であれ、県立であれ、両方行うべきサービスである。

 そして、このレファレンス・サービスを行うためには、専門職である司書がいることが必要である。

 もっとも、レファレンス・サービスは調査・研究の援助であって、利用者のかわりに調査・研究を行うことではない。司書は、調査・研究にあたって使えそうな資料を探し、提供するのが仕事となる。

 レファレンス・サービスを行政が行うサービスとしては過剰サービスと考える向きもあるが、それは違うのである。そこまで極端に何でもやってあげるという類のサービスではないし、いくらなんでも、そこまでは実際できない。

 このレファレンス・サービスのためには、資料が必要なので、市町村立図書館の蔵書の量や内容では対応できない場合がある。このようなときに、県立図書館がバックアップする。バックアップの仕方としては、市町村立図書館の職員を通じての問い合わせに応えるという形もあるが、利用者自身が直接、県立図書館に出向いて尋ねたいという場合もある。

 つまり、直接サービスであってもバックアップのサービスであることがあるのだ。

 それから、いくら優れた司書がいても、資料がなければやはり応えられない。司書は資料を通じてサービスするのだ。司書は資料とその組織化(分類などをしたり目録データを作成したりして検索できるようにすること)、そして探索や検索についての専門家であって、個々の分野の内容の専門家ではないのである。いくら何でもすべての分野の専門家になることは天才でもできない。ただ、司書はいろいろな分野の資料・情報・知的資源の組織化や管理(企業の場合はナレッジ・マネジメントにあたる)の専門家なのである。こうして、多くの専門にまたがる課題や問題には図書館が有効となるのである。

 まちづくりや地域活性化などは、こういう複合問題の典型で、図書館で人を寄せて解決しようなどということではなく、図書館本来の機能を使い、そこで自ら学習して解決を図ってもらうのが筋である。(と言うより、そうできなければ、図書館をただ作って人を寄せただけでは、まちづくりにも地域活性化にもならない。)

 そのためには、県立図書館も市立図書館も中途半端な一体化といった奇形ではなく、きちんと独立した組織体になっている方が2段構えの使い方ができて、実は利用しやすいのである。

 本がとにかくたくさんあるといいと思っている人もいるが、多すぎたり傾向がいろいろだとかえって使いにくいということを忘れている人もいる。できてしまってから気づいたのでは遅すぎる。
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2011/2/24  23:17

合築図書館はいいカモにされるだろう  

 合築図書館はいろんな業者のいいカモにされるだろう。

 まず、コンピュータ・システムの統合は報告書に出ているような数字の金額では済まない。日本全国の合併した自治体で異なる会社を使っていた場合、双方から、なんだかんだと言われて金を請求されている。

 しかし、それでも自治体の合併によるシステムは市町村同士なので、機能要件に基本的な違いがないので、大きな問題までにはならない。

 ところが、県と市では大きな違いがある。例えば、現在の高知市では、県内外の他市町村立図書館に対しては、分館の資料は貸し出していない。また、本館の資料も購入してから1年間は他市町村立図書館には貸し出していない。これは高知市民の利用を優先しているからだ。市立図書館だから当然である。

 ところが、県立図書館は、そもそも市町村立図書館も顧客であるし、そこに協力貸出しすることが業務の柱なので、購入してすぐ貸す。また、その期間も半年以上大量に貸すものもある。さらに、図書館でない公民館図書室等にも貸す。

 そのため、貸出し中の資料に個人利用者から予約が入っても、すぐには用意できないと伝えることも多々ある。このような人は地元の市町村立図書館で予約をすればよいのであるし、それが図書館サービスの本筋である。そうでないと地元の市町村立図書館が健全な形で利用されなくなり、存在意義を失ってしまう。

 図書館というサービスは、基本的に市区町村が提供すべきもので、都道府県や国はそのバックアップをするものである。

 こういう機能の分担によって二重行政は避けられ、相補的に図書館サービスの全体ができあがっているのである。

 合築図書館は、二重行政を避けると言っていながら、実は高知市が県の業務もやり、県が高知市の業務もやるという二重行政を生じさせることになるのに気がついている人が少ない。これは、見かけの建物が1つだから、業務も1つというような先入観を持ちやすいからに他ならない。

 もっとも、二重に手厚くサービスされる新図書館の半径500メートル以内くらいの人にとってはハッピーだろう。

 しかし、半径500メートルのコンパクト行政でよいのだろうか?

 話がそれました・・・

 このような珍妙なシステムでは、パッケージを使えない。コンピュータは合理的にできている機械だから、論理的矛盾のあるシステムをつくることはできない。従って、論理そのものが違う県と市の統合システムでは必ず抜け落ちたり、かちあったりしておかしなことになるだろう。新規開発やプログラム修正、トラブル対応といった全国唯一の対応のために多額の費用を請求されるのは間違いない。

 ある意味、大変、おいしい商売とも言える。わざわざトラブルを起こしておいて解決しましたというわけだ。

 もっとも、不幸な事態が起こることを期待するわけがないので、ここに書いてあることが杞憂になることを願う。そう言っておいて、高知を食い物にしようとしている人にはやめてくれと伝えたい。



 
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2011/2/22  19:14

何のための新図書館基本構想検討委員会か  

 新図書館基本構想検討委員会は、図書館の建設場所や単独整備か合築かの判断について専門家も交えて論議してもらうことを条件に、県議会もその設置の予算案を認めた。

 しかし、それなのに、検討委員会では、事務局が合築を前提とした委員会であるかのような誤解を招く発言を繰り返すばかりか、今度は県議会で次のようなことを言ったそうである。

 この新聞記事が正しければ、行政としてあまりにも問題が大きいのではないか?

「予算可決なら合築了解」
2011年02月22日08時30分
高知新聞サイトより
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=271173&nwIW=1&nwVt=knd

ここには、
「県教委はこの日の総務委で、県議会2月定例会(22日開会)に提出する新図書館の基本計画・基本設計の予算の考え方も説明。中沢卓史教育長は「予算が可決されれば、追手前小敷地に県市一体型の図書館をつくる方向が了解された、と解釈する」と述べた。」
とある。
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