タウシュベツ橋梁のある糠平湖一帯はヒグマの生息地です。かつてアイヌ民族はヒグマのことを「神が人間のために肉と毛皮を土産に持ち、この世に現れた姿」であるキムンカムイ(山の神)として崇めていましたが、今では人や農作物に被害を与える害獣とされています。日本では北海道にしか生息しないヒグマですが、われわれ人間よりも早くこの地に住んでいたはずです。毎年、春先には山菜取りで山に入り、襲われるという事件が繰り返し起きていますが、元々この山菜はヒグマたちの物だったのではないでしょうか? ヒグマというと川を遡上する鮭を食べるイメージがありますが、糠平はダムがあるため鮭を食べることができません。そこでフキなどの山菜やドングリ、ヤマブドウなどの植物やアリやスズメバチなどを食べるベジタリアンのヒグマがここの特徴だとガイドさんが説明してくれました。実際にフキを食べた痕跡も確認したし、排出されて間もない糞にハチのような虫が見えたり、いい勉強になりました。

写真左、ヒグマの糞 写真右、注意を喚起する看板
看板に爪痕を残すということは、自分の存在を示すためなのか、それとも文字が読めるということなのか。

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