5月27日(土)19:00〜20:30 京都大学iPS細胞研究所×ナレッジキャピタルー出張CiRAカフェ「iPS夜話」〜いきものすべては細胞から〜に参加してきいた内容を少しご紹介します。
特に今回来られていた4人の講師方々は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)に所属している又は所属していた方ばかりでした。また、文科省から発行されている「1家に1枚」シリーズの「細胞」製作した4人ということもあり、そのポスターに関わる話も多くされていました。
1家に1枚シリーズはホームページより無料でダウンロードすることもできます。
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http://stw.mext.go.jp/series.html
〜講演内容より〜
ポスター製作にあたって…
@細胞の「共通性」と「多様性」を重視
38億年前は1つの生命であったという歴史、生命は細胞を基準としているという共通性、そこから進化して別れていったという多様性を重視してポスターを作ったそうです。特に真ん中には進化系統樹が描かれているのですが、樹木のような形ではなく、同心円にしているのは、どの細胞も38億年前は同じということを強調したそうです。
A「細胞が細胞を食べる」
細胞内共生説や、オートファジーの話もポスターに盛り込んでいる。
Bヒトの細胞は200種以上
様々な細胞の種類について描かれている。また、「Bio numbers」というサイトには様々な細胞の個数などについて最新の論文のものが描かれています。以前はヒトの細胞数は60兆個、1kgあたり1兆個などとされていましたが、最新の論文より、現在では37兆個などと言われています。ポスターにもこの数を採用したそうです。ヒトの遺伝子数も3万個とよく言いますが、このサイトでは2万5千個とされています。
C細胞死
細胞は細胞分裂と細胞死のバランスが上手く成り立っている。手の指を形成するときや、おたまじゃくしからカエルになるにあたって尾が消えるなどは細胞死が深く関わっている。(ポスター製作の過程でこの細胞死の項目は残念ながら削除されたそうです。)
製作過程で大切にしていた、サイエンスコミュニケーターとしての5つの事柄を教えていただきました。授業の中では「ストーリー性」が大切ですので、教師の仕事にも当てはまるなと思いました。
1、select…いろいろな論文よりデータをセレクトする。
2、translate…論文を読み込んで理解する。
3、create…これが1番大切。論文はストレートに書いているが、その事実と事実をつなぎストーリーを作っていく。
4、produce…イラストレーターなどに依頼する。
5、communicate…どのような表現が良いのかを伝える。
ポスターの訂正
@進化系統樹ではハエ→ウニの順が正しいので、このポスターにあるウニ→ハエの順は誤りだと教えていただきました。
Aこのポスターでは最初の生命誕生は38億年前としていますが、最新の論文ではカナダのケベック州で発見された化石より最初の生命は37億7000万年前〜42億8000万年前とされているので、この38億年前という記述は今後もう少し遅くなっていくのではないか?という見解でした。