追い出し会の中で提案させていただきましたが、今後は週に1度私がテーマを与えて実験等をすることになりました。
今までは自分たちで実験を考え、自分たちで実験を進めていこうということしか実施していなかったのですが、「どんな実験をすれば良いか分からない」「特にやりたい実験が見つからない」という生徒もいましたので、私が毎週1つ実験をすることで、様々な実験に触れ、そして興味をもって自分でやりたいという実験を見つけてもらおう!という思いでこの企画を始めました。
今日のテーマは「囚人のジレンマ」です。
有名なゲーム理論なので知っている人もいるかも知れません。今回は以下のようにゲーム設定し、実験を行いました。
「ある2人の犯罪者が投獄された。警察の今ある証拠では2人を2年の刑に処することができるが、それ以上の証拠はない。そこで警察は2人の犯罪者に別々に次のような提案をした。「あなた方は罪を自白せずに2人とも黙っていれば2年の罪ですが、もしあなたが共犯相手の罪を自白すれば、あなたの罪は0年になります。ただし、この提案は共犯相手にもしています。もしあなたが自白せずに黙っていて、共犯相手が自白すれば、共犯相手の罪が0年になり、あなたの罪は証拠が揃ったので15年になります。また、両方共自白した場合は証拠が揃った15年の罪から、自白したことで罪を少し軽くマイナス5年にして10年になります。」と…。
この内容をまとめたのが下の図です。

さて皆さんならどうしますか??
お互いを信じて、黙っていればお互い2年の罪で済みます。ただし、相手は裏切るかも知れません。そうなると自分の罪は15年になってしまいます。こちらが裏切ると罪が0年になる可能性もありますが、相手も同時に裏切るとやはり罪は10年になってしまいます。
1回目は2人ペアになり、「自白する(confess)」か「だまっておく(remain silent)」のカードを選んで「せーの」で出すということを10回行ってもらいました。その結果が以下の通りです。(1年の罪をマイナス1ポイント、10年の罪をマイナス10ポイントとしています。例えばマイナス10ポイントを10回繰り返した場合、合計はマイナス100ポイントです。1番点数が良ければ0ポイント×10回で最高点は0ポイント、1番点数が悪ければ-15ポイント×10回で最低点はマイナス150ポイントになります。
Aマイナス115ポイント
Bマイナス20ポイント
Cマイナス80ポイント
Dマイナス110ポイント
Eマイナス18ポイント
Fマイナス100ポイント
Gマイナス33ポイント
Hマイナス100ポイント
Iマイナス55ポイント
◎平均マイナス70.1ポイント
次に2回目は同じように2人ペアで「自白する(confess)」か「だまっておく(remain silent)」のカードを10回出してもらったのですが、次は「相談あり」「裏切りあり」で行ってもらいました。一緒に「remain silent」カードを出すように相談したり、また、相談しておいて裏切ったりと心理戦を繰り広げてもらいました。その結果が以下の通りです。(同じく1年の罪をマイナス1ポイント、10年の罪をマイナス10ポイントとしています。)
Aマイナス60ポイント
Bマイナス92ポイント
Cマイナス100ポイント
Dマイナス100ポイント
Eマイナス100ポイント
Fマイナス130ポイント
Gマイナス28ポイント
Hマイナス100ポイント
Iマイナス45ポイント
平均マイナス83.3ポイント
単純比較はできないかも知れませんが、「相談あり、裏切りあり」の方が点数が悪いという結果になりました。「相手が裏切るのでは?」という思いが強くなればなるほど、「remain silent」カードを出しにくくなり、その結果お互いに「confess」カードを出してしまい点数が悪くなっていくのではないでしょうか?面白いですね。
最後に3人ペアで10回実施してもらいました。3人ペアの場合は特別に以下のような得点設定にしました。
Aマイナス115ポイント
B実施なし
C実施なし
Dマイナス100ポイント
Eマイナス100ポイント
Fマイナス90ポイント
Gマイナス49ポイント
Hマイナス100ポイント
Iマイナス105ポイント
平均マイナス94.1ポイント
これも得点設定が私が考えたものですので単純比較できないと思いますが、やはり人数が増えるほど、「相手が裏切る可能性が高くなる」また「remain silentカードが揃うのが難しくなる」という思いから、どうしても「confess」カードを出してしまい点数が悪くなっていくのではないでしょうか?9人の結果のみですが、私が思った通りの平均点になりました。
これをきっかけに誰かゲーム理論を深くまで研究してほしいですね!