2014/10/9

鎌倉の萩  短歌

萩の季節は秋のはじまりだが、気候によって毎年満開の時期は変る。そしてその期間は短いからお目当てで出かけて行っても、なにもないということもある。去年は上野の五條天神の萩がきれいだったが、今年は全然だった。今回は鎌倉の萩の話を書いてみようかと思う。

鎌倉もずっと行っていないので思い出話になるのだが、弟のお嫁さんに電話すれば今の咲きようも知ることは出来る。鎌倉のお寺は年々草花に手をかけて、観光客を呼ぼうとしているみたいだが、大抵のお寺に一叢ふたむらの萩は植わっている。萩はいくつかの種類があるが、赤(紫)と白にわかれて赤より白の方が少し遅い。
白萩で有名なのは八幡様の近くの「宝戒寺」で赤の萩もそろえて小さなお寺だが奥の庭中萩を植えてある。随分昔にどうしても白萩が見たくて、友達と四人で出かけたことがあった。九月の半ばだったと思うがまだ五分の咲様で、わあと言うほどではなかったが、本数の多いことと木が大きいので見応えはあった。もう一週間後だったらよかったね、といいながら写真をとっていたら、男の人が「『○○新聞』の取材カメラなのだけど、白萩の見物と言う風に写真に入って貰えないか」と言ってきた。まだ少しは「いける」かもと言う年頃だったから、二人がモデルになってあれこれ注文のある写真を何枚かとられた。掲載予定の頃新聞を見たら、全然別の人がモデルの写真だった。その写真も顔はぼかしてあったが、そのカメラマンは名刺一枚も渡さなかったし、私達も面白い体験と言うだけの気持ちだった。写真に対する肖像権などと言わなかった頃のことだ。

赤紫の萩は、それよりずっと前に一度だけ「寿福寺」の境内で本当に満開の美しい植え込みを見たことがある。「寿福寺」は鎌倉五山の一つで、裏手には北条政子、源実朝のお墓(やぐら)があるのだが、裏駅から源氏山へかけての道の方が人混みは少なくて、お寺も公開していなかったりするので少し靜かであった、山門をくぐると本堂までの道の両側に萩の植え込みが続き、こぼれるような赤紫の花で匂いあふれていた。萩は色濃くてもぱっと明るくはなくて、妖艶な美女を思わせるが、そのせいか「尼将軍」といわれた政子の強さは思い起こさず、お寺の名前とともに記憶から薄れてしまう。その後も時季が合わなかったのか「寿福寺」では萩を見たことはない。
別の時に、線路沿いの川(名前を主人に聞いても、川としか分からないと言う)の両岸に枝垂れかかる赤萩の満開を見たことがあった。その日暑いくらいの秋晴れだったせいか、その萩は明るく豪華で萩にもこんな一面があるのだと記憶にのこっている。

滝のごと流るる萩の花びらを車窓に受けてわが秋始まる 多香子
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