2015/4/15

秀歌(47)梅内美華子「月齢」より  秀歌読みましょう

梅内さんは去年四月から一年間NHKの「短歌で胸キュン」の選者だった方で、青森の出身東京在住「かりん」の所属。たしか40代の方である。
何となく比喩の強いお歌を好む方のように思ったが、あまりよく分からなかったのは「かりん」という会の難解さもあるかもしれない。それは私に力がないからなのだろうけれど、坂井修一さんを理解するのに大分かかったことがある。

ここに引くのは「角川短歌」12月号の31首「月齢」のなかから五首だが、生死のテーマの「姪の誕生」の部分だけを並べて見た。それは「人の死」よりも「子供の誕生」のほうが、今の私に苦しくないからに他ならない。

「月齢」より
ひたひたと闇の迫りて月かげとわたしの腹を覆ひはじめる

手の甲に涙を引きて夜来たり出産のために離されし子は

チェブラーシカ繰り返し観て一人子の時をひとりで耐へてゐる甥

大潮のひきて中潮その波のあはひに揺れて妹は産む

ケイタイにほの紅き桃の玉とどくそんな感じの新生児の写真

実はこの連作の前半は、御嶽山の噴火の事故、父君の病気などで作者の心の重さのような歌が続く。そして妹の出産のために幼い長子を預かったのだろう(おばあちゃんも出てくる)その心細さに自分の経験を添わせ、妹の陣痛を共に揺れるような感覚で描いている。五首目の生まれた子供の写真のお歌で読者もほっとするような感じだ。

私自身は、もっと軽やかな美しい歌が好きなのだが、子供が生まれる時間の緊張感がその周囲に及ぼす情景をとらえて引き付けられる物があった。
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