2015/7/1

筒井筒@「伊勢物語」23段  古典(伊勢、源氏など)

「伊勢」の中でも筒井筒の段は、歌や一部の文を(昔ほど覚えていられなくなったので)空で言えるほど好きなお話である。この後に来る「あずさ弓」の話などとともに、業平の恋物語ではなくて民話的に語られていた話を「伊勢物語」の中に組み込んだような気もする。池田亀鑑先生も、23段が二つに分かれ、前半は「伊勢」だけ、後半は「伊勢」と「大和物語」とに出てくることからそのように見ている。

前半の筒井筒の話には「田舎わたらいしける人の子供」が男の子と女の子で、つまり「行商人の二家族のこども」(別に地方官吏の子供と言う説があり、それもうなづけるような気がする。)が近くに住んでいて、一つの井戸のまわりで遊んで育った。
だんだん大人になって、恥ずかしくもあったから遊ばなくなったが、内心お互いに好きと思っていたので、親が別の縁談を持ってきても女は聞こうともしないでいた。男もこの人こそと思っていたので、歌を贈って

つつゐつの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしないも見ざるまに

と言いかけると、女も返歌で

くらべこしふりわけがみも肩すぎぬ君ならずしてたれかあぐべき

と、打ち明けたので、二人の望みどうりに結婚した。私はここにそう訳したが、元の文は「つひに本意(ほい)のごとくあひにけり」となっている。平安初期の古語の簡潔で美しいこと、なんともいえない。男の歌は教科書などで「つついづつ井筒に」となっているものもあり、私もそう覚えていたが、ここでは学燈社の「伊勢物語精講」にそった。

この段が好まれるのは、かけひきもなく初恋のままに男女が結ばれるところであろう。「源氏」の頃になると形式として初めに贈られた相聞歌に対しては拒否やお断りで応じ、三度くらいやり取りがあって後に逢うというのが約束のようになってくるが、このころはまだ万葉の率直さも引き続いてあったとも思える。先に引いた「地方官吏の子供」という説は折口信夫だったか、「親が相手を探す」ということからも単に行商人の家ではなかったと思われる。
「髪の毛が肩を越えて長くなったから」という歌に吉田たくろうの「結婚しようよ」を重ねて見たのは私だけだろうか。
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