2015/11/6

11月の歌  短歌

東京はやっと秋なのか、あまり外に出ないでいると木々の色づきなどもどのくらいと分からない。本当は11月は上野の欅が一番美しい時期なのだけど、母を積んでの車でお出かけが出来なくなって、今年は欅や公孫樹の黄葉もたのしめそうもない。
なにやかや忙しく、体が痛い痛いと暮らしていて「短歌」の中だけで秋を詠ってもどうだろうとか思う日々。どうやら今年の検査は全部パスして、ほっとしたところで後は大病院へ来年の予約をとりにいくだけだ。本当に時間は物事をやっつけるたびにどんと過ぎていくので、あっという間に年末が来てしまうということなのか心もとない。

今月の歌は、色々な過去歌を引っ張り出して「糸」として六首。実は「題」としては苦手な物なのにその割に詠んでいる。

「糸」

薔薇色の刺繍糸欲しひそやかにイニシャルに添えるローズステッチ

たて糸と横糸で織る物語 句読点打つ杼(ひ)の役割は

夕凪は心のすきま狙うから、あなたのもとへ糸電話繋ぐ

朝焼けに結べぬ糸の切れっ端近くて遠い人の約束

黄昏に針穴通らぬ赤い糸どこまで冷たい君の心よ

毛糸籠に一緒に入る白猫のふわふわすれば冬は幸せ

来年ぐらいを睨んでいる歌集(多分習作集)のためにすこし整理や何かをしなくてはと思って、次回からブログの更新を週一にさせていただきます。記事もいい加減になるかもしれませんが、お見捨てなくおつきあいください。多分金曜更新と予定は未定。
6

2015/11/1

秀歌(57)藁谷みか子  秀歌読みましょう

藁谷みか子は先に書いたように、主人の叔母の養母で鎌倉の家の女主人であった。生年は知らないが亡くなったのは、私が結婚してじきであったと覚えている。(昭和40年代)川田順の妹で、その縁で大正2年に「心の花、竹柏会」に入会している。藁谷英雄に嫁してアメリカ滞在後の事というが、もともと宮中顧問官・川田剛の娘(兄と共に庶子から本邸に引き取られた)なので歌の心得は有ったのであろう。
夫英雄が脳卒中後の療養に扇ヶ谷の山荘に移ってから、生活の為かプライドか一時伏見宮家に家庭教師として奉職していたというのも戦前の事である。カトリックの洗礼を受け、戦後は寂しい暮らしであったが、宮中にも出入りしていた上流意識は(庶子の生まれをとても嫌がっていたと言う)最後まで捨てられなかったようだ。

叔母の死後私の手元に残った「野の虹」という心の花湘南短歌会の合同歌集から、六首を引いてみたい。実は私は「奥様」の歌に興味はなく、古臭い大時代な物と思っていたのだが、今回読み直してそうでもないことに気が付いたのだ。

「紫の露」
よきしめり土にあたへて雨やみぬ春をたのしく花作りせむ

わが生れし日も今日のごと若葉風母の産屋の窓に入りけむ

とまどひて入り来し蛍わが室の蚊帳をめぐりて光またたく

英勝寺の板塀しろくぬりかはり何かそぐはず山みどりなり

年ごとに人の数減る老いの身に一人の兄のただたよりなる

いつの日か君とならびてこの山の竹むらの土に吾れの眠らむ

『野の虹』は昭和39年発行、漢字は旧字であったが、ここには新字で載せた。佐々木信綱はこの編纂の時病床にあって、序文を書けずに亡くなっている。みか子個人の歌集『夕凪』は昭和17年心の花叢書として出版、信綱の序文がついていた。私はまえに鎌倉の家で読んだ事があったのだが今度義兄に探してもらったら見つからなかったと言う。ものすごく上手くもないが「心の花」できちんと詠んでいた歌だと言う思いがする。
7



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ