2020/3/27

秀歌(91)川野里子「角川巻頭28首」より  秀歌読みましょう

川野里子さんを紹介するのは二回目でしょうか。「かりん」の歌人で今年「読売文学賞」受賞。今回は角川の12月号巻頭から広島の歌を八首引いてみました。
川野さんは(苗字の読み方がおなじなので変な気がしますが)大分生まれ学校は京都から千葉大の大学院までヒロシマと関係なさそうではあるが、前年のオバマ大統領のヒロシマ訪問の影響が強くあると思われます。それはまたトランプのアメリカによってひっくり返されたおもいにもなるりでしょう。一首目はそういうことではないと思っても白い雨に「白人」を感じてしまうところがあります。

「鶴の折り方」

黒い雨のち白い雨白い雨ていねいに雨の洗ふ広島

マリーゴールド聖母マリアの黄金(きん)の花異臭はしんと歌壇を満たす

(かうやってここを合はせてかうやってここを畳んでこころのやうに)

(畳んだらひらいてこちらもひらいてね畳んで畳んで苦しくなったら)

生きるとはこのやうにリボンつけることリボンのうれしさ焼け残る服

バラク・オバマの雄弁はなにに触れたるかふはりと二羽の折り鶴残る

平和公園に虹かかりたり消えやすく虹かかりやすく平和公園

ヒロシマとわたしのあはひに架かる橋しずかにありぬ気づけばそこに

28首は平の歌と括弧でくくられた「鶴の折り方」によって成り立って、昔教わって折った折り鶴と平和への祈りの象徴として詠まれています。
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2020/3/20

「四季」冬号の歌  短歌

退院後初めての外来に行って、次は五月の予約を貰って、様子見になりました。すこしほっとします。

「四季」の冬号が送られてきました。もう春なのにといえばいえるのですが、どちらもコロナ騒ぎで思惑はズレていってしまいます。私も歌を作ったときはかなり力を注いだのですが、主人のことでどこかへすっ飛んでいた感はあります。
でも、私の好きなコクトーの「オルフェ」映画版をもとに生と死のはざまにある「愛」の物語を連作で紡いでみたかった、お気に入りの十首です。お読みいただいて、分かりにくいとか分かるとか言っていただけたら嬉しいです。

「オルフェ」

冬の夜をビオラの鉢と帰り行くわたしの肩にはぐれ雪降る

オルフェウス言葉に囚われコクトーと黄泉路(よみじ)へ落ちてゆく物語

竪琴の楽しき調べかぐわしき若き恋人たちの時間よ

愛はなに優しい娘の唇に笑(え)みにこころ奪われてオルフェ

冬の陽が怠惰な眠り誘うころ黄泉の扉が開くと声が

限りある命よ人の世にあればイザナギ、イザナミ、オルフェもため息

枯れていくもの愛おしくビル壁に残れる蔦は静脈のごと

オルフェウス、コクトーと別れその後は鏡の中で王女と再会

天地の開けしころの記憶さえ螺旋(らせん)の彼方ひとは佇む

やがてくる春に残るは竪琴の調べよオルフェはどこにもいない
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2020/3/13

「毎日歌壇」掲載」  毎日歌壇他

枯れそうだった桃の木が小さな蕾を付けて雨に光って、フリージアも寝そべった葉っぱの間から花芽をのばして膨らんできます。ベランダに今朝も雀が「エサ、エサ」と鳴きかわして部屋の中をのぞいているとああ日常だなあと思います。
何があっても「青い鳥」は家の中にいるんだろうか、と疑問に思ったり、まだコロナは家の中にいないからと納得したりしています。主人が家にいて嬉しいけれど、だんだん疲れが出て喧嘩しています。(たいてい私が怒っているのだけど)

3月9日付「毎日歌壇」米川千嘉子選で一首掲載されました。新聞は今年初めてです。

哀しみは裏のお瀬戸に捨てにゆく 喜びよ降れ病室の窓に   河野多香子

私にしては、そのまんまの歌ですが、女の先生は事情をご存じなので可哀そうに思ってくださったかなと思います。夢中で過ぎた二月の病院のこと、病人は作者のようにも読めますがそれでいいのでしょう。米川様ありがとうございます。

内の先生こと不識書院の中静さんも、三月初めに「ステント」の手術を無事終えられました。家の事があったので心配しましたが、手から一本だけカテーテルを入れて、二泊三日で退院、その五日後にあったときは平気な顔をしていたので安心しました。しばらく重いものを持ってはいけないというのに、本を持ったり(右手だったので)ものを書かなくちゃと忙しがっていました。
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