2015/11/13

秀歌(58)佐藤弓生「眼鏡屋は夕ぐれのため」  秀歌読みましょう

佐藤弓生さんは「かばん」所属で1964年金沢市生まれの翻訳家でもある歌人。あまり自分を語らないと言われるがご主人の作家高原英理さんと出版物のブログもやっている。
「かばん」同人らしい比喩やめくるめくような言葉の使い方で、ますます元気になっているような気がする。などと言っているが先頃出版された歌集『モーヴ色のあめふる』もまだ読んでいない。それでも「かばん」の中では大好きな歌人だ。

角川「短歌」の近頃のお歌から引こうかとかも思ったが、私は彼女が第47回角川短歌賞を受賞した(2001年)「眼鏡屋は夕ぐれのため」がとても好きなので、30代の作品ではあるが、そこから7首を引くことにした。

「眼鏡屋は夕ぐれのため」

眼鏡屋は夕ぐれのため千枚のレンズをみがく(わたしはここだ)

胃の底にいま銀時計まいおりて井戸の眠りをねむる肉体

泉とはいかなるところ鹿の目をしているきっといまのわたしは

風の舌かくまで青く挿しこまれ五月の星は襞をふかくす

木犀の咲きみだれたる庭あれが木犀と告げたまいしはたれ

生まれる子生まれない子とひしめいて低温ポットの中のきらきら

風を聞く 踵をなくしてしまうまで帰るところが海と知るまで

「わたし」の実在を強く感じる作品。今の方が比喩も強くなっているが、この作品では主体の感覚は掴みやすい。肉体的にもどこまでも「女性」を感じるのは私が女性だからだろうか。
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