2019/5/17

「月の砂漠」  短歌

月の砂漠のラクダの像は房州の御宿の海岸にある。家人は皆見たのに私はまだ見ていない。二頭のラクダが歌詞のように王子様とお姫様を乗せて並んでいるのだそうだ。実に中東の砂漠を思わせるロマンチックな童謡である。
作詞は加藤まさをで大正12年に発表されたもの。日本で砂漠と言うと鳥取砂丘がまず思い浮かぶが、この歌が出来たのは大正10年加藤が結核療養のため逗留した御宿海岸で幻想的な歌詞のもとを思いついたと言う。そのため「沙漠」の字をあてて海岸の砂浜と言う意味を持たせたと言われている。本歌は四番まであるが一番三番と終わりの句を引く

@ 月の砂漠をはるばると 旅の駱駝がゆきました
  金と銀との鞍置いて  二つ並んでゆきました

B 先の鞍には王子様   あとの鞍にはお姫様
  乗った二人はおそろいの 白い上着を着てました

 砂丘を越えてゆきました  黙って越えてゆきました

加藤まさをは画家が本業で、この楽譜も加藤の挿絵つきで発表され、小説なども絵と文を書いている。私の母が女学生のころ(昭和)には加藤は売れっ子の挿絵画家だったようで、母は平成になって復刻版の『消えゆく虹』を買うなどかなりのファンであった。私の童謡好きも母の影響は多いが、さすがに加藤まさを、蕗家虹児などは守備範囲ではない。
しかし、このファンタジックな王子様とお姫様の旅もアラビアンナイトのようなキラキラした物語と言うより、どこかあてどない旅のような哀愁を持った物になっているのは、さすがに日本の歌と言えるのではないかと思う。

睡蓮は姫の嘆きをつつみこみ月の砂漠のラクダに届く   多香子
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