2019/4/5

「四月の歌」  短歌

私達夫婦は四月金婚式を迎えたので、この土日で金沢能登一泊旅行をします。もう二十何年一緒の旅行はしていないので、果たして足並みがそろうのかと思いますが、五十年を一緒に過ごしたのかとあっという間だったことに驚いています。その間周りの人を次々と看取り、家を建て替え家を守ってきたので、「夫婦」ということはあまり考えてこなかったなと思います。これからもそう言う事は考えずに行くことがいいのではないかなあ。四月の歌はこれまでに共に生きてくれた猫たちへのレクイエムです。

「思い出の猫」

子猫たち狩を知らない都会でも組んずほぐれつ遊びて学ぶ

四足に白足袋はいた黒い猫「きみ、長靴は必要ですか」

家の猫の好きな絨毯花柄のみどり部分が爪とぎ専用

弱る心占ってみる夕まぐれ ハートのジャックがウインクしている

馬鹿な猫、夢にさえ出てこない猫 ひとりの夜に昴またたく

猫の死に喪に服してるわたくしにギャグを言ってはおどけるあなた

物語開いて始めるこの春のきみとわたしの第三楽章

七首目の「きみ」は猫なのだけど、現実の家では今猫が居ません。小太郎が死んでからしばらく猫はお休みと主人が言うので、淋しいけれど猫がいない間に旅行に行きます。
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2019/3/1

三月の歌  短歌

二月はやはり逃げていって忙しい思いだけが残ったのは、書類を持とうとすると手首が痛く探し物がうまくいかないからかもしれない。隣のビルの(長い付き合いの方なのだけど)オーナー会社が会社も畳んで、ビルごと売ってしまうと言うので、椅子やテーブルを貰ったり挨拶をしたりとバタバタしていた。家のビルも洗面所の水漏れだとか、出ていくテナントさんが居たりで小さな用事に追いかけられている。
三月は別れの季節なのかもしれないし、新しい場所の決まるときなのかもしれない。

「春なのに」

盗聴はガラスのコップで出来るけど聞き取れないのはあなたの心

春浅き光を受けてなお赤いあなたの残したルビーの指輪

はっきりと選んでしまえば楽なのに信号機みたい真ん中の黄色

コクリコと聞けばきみ住む房州へ行きたき想い萌えいずるなり

桃が咲きみんなで踊る春の日の私の役目はサイドタンバリン

あきらめよう そう都合よくはいかないとひなげし揺れてる初恋の丘

花として小さな想い届くなら、あなたの歩く道端に咲く

柏原芳江の歌は、卒業間近の乙女心だったけど、この七首はもう少し年上の恋心かな。
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「現代短歌新聞」2月号に『古今さらさら』の書評を「歌と観照」の佐藤千代子さまで書いていただきました。ありがとうございました。
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2019/2/8

二月の歌  短歌

去年暮れから一月に掛けて関東平野はカラカラの晴天で、湿度は低く火事の多い日々となっていた。インフルエンザも猛威を振るっていたが、わが家の周りには患者も聞かず、二月になると治まるのか、別の型のインフルが流行るのか心配な所だ。東京は二月に大雪が降るけれど、今年はどんなのだろうか。二月の歌は少し気取って海のある故郷をアニメ風に組んでみた。

「海のある街」

外は雪しんしん虫歯の痛む夜はりんごも噛めずに炬燵にひとり

ふるさとは何もないけど海だけが帰っておいでと手招きをする

その角を右に曲がれば海が見え、坂の下から君が手を振る

合併で村から町に昇格も、かわらず不便とおじさんは言う

ひれ赤き魚に似たる飛行船、青い空ゆく海を思いて

夢みるは岬の先の灯台で穏やかな人と暮らす凪の日

この町の一番大きなユリの樹が花開くころ帰っていこう

知っている人は又創作して、と思うだろうけど私は東京生まれの東京育ち。童話を書くような気持で七首連作を組みました。受け取り方は様々と承知して、これが私の方法と自分では納得しています。
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