2019/12/13

「12月の歌」  短歌

どことなく重い体を抱えて、ああもう師走なのだと焦るような、でも今年から来年は特別でつながっているのだとかいろいろに思います。お料理担当だった主人に私が厳しく減塩の味付けを指導しています(!)。このところの良いことは、配達してくれるスーパーが見つかったこと。息子も買い物の手伝いをしてくれることです。12月の歌はすこし現実を離れて、師走の恋を。

「師走の街に」

だれからも好かれる人には成れなくてヴァイオリン曲聴く冬の部屋

凹型の雲のうしろを夕焼けて凸型をした雲が追いゆく

ガラケーを手放せなくてあなたとは繋がれなくて師走の恋は

「罪と罰」読み通すほどの緩やかな時間は無くて師走は晴れて

突然にクリスマスだと告げられて青ざめている七面鳥たち

木枯らしにまたたく光の街に立つ ここから先は寂しさの住む

僕の地図破れてしまう夢の中 今宵銀河をきみと渡れぬ
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2019/10/18

「四季」夏号の歌  短歌

台風は15号で千葉に風の禍を、19号は広い範囲に雨の禍をもたらしました。思いもかけない河川の氾濫に被災した方々にお見舞い申し上げます。
「四季短歌会」の夏号が出ました。少し遅れ目でしたが、私にすると二回目で年に四回だから楽だろうと思っていたのに、あっという間に時は過ぎるのですね。夏号に寄せた10首をお読みください。「赤色エレジー」という題が先に出て、頑張ったつもりだけどすこし抑え気味だったなあと思っていますが。

「赤色エレジー」

どこまでも幸子の幸は夢の中令和の夜には夢さえ解けて

夏の花ハイビスカスの長きしべ海の向こうを懐かしんでる

神様の昼寝の隙にパーティーを赤い金魚のひれをまといて

あの百合もこの合歓も皆いとこにて毎年一人ずつは欠けゆく

房州に別荘ありしその昔「われは海の子」そのままに育ち

はまゆうは真白き花を砂浜に開きて果てるその実はふとる

子供等は夢中に泳ぐ夜の海ひらひらひらと夜光虫まぶし

きちきちと鋭い声で鳴きながら雀の戦争いつか平和に

ゆるやかな赤いドレスの金魚たち水槽の中に潮騒を聴く

赤き夢 幸子の幸はいまいずこ昭和平成儚くすぎて

もう半世紀も経つが、安保闘争や学生運動のなか「ガロ」「コム」という漫画雑誌が独創的な世界を創造していた。「つげ義春」「白戸三平」など商業ベースからではない作家が脚光を浴びていた。「赤色エレジー」は林静一(小梅ちゃんのCMの絵で今も知られる)が「ガロ」に連載していたイラストレーターの若い男女の同棲生活だったが、その話にあがた森魚が作詞し、作曲:八洲秀章で発表した歌のほうがより流行ったような気がする。「同棲」という言葉もはやり、大学生は憧れていたが現実に生活していた者は少なかったような。「幸子と一郎物語」と閉められる切ない歌詞と曲は若い時代を過ぎた人たちにはより心に突き刺さったのではないだろうか。
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2019/10/4

「10月の歌」  短歌

今年は八百屋さんがおまけをしてくれたので、中国マツタケ二本1300円でたっぷりの松茸ご飯が食べられた。毎年一回だけの決まりが、何年か北朝鮮のものが入らなくなって我慢をしていたのだ。(土瓶蒸しにまで回らなかったけど)まったく、近隣の国との付き合いは気を付けないと食卓戦争にまでなるのだから、戦争をしない外交は大事。10月の歌はちょっと寂しい秋の思いを。

「愁思」

むなしさを包む夕焼け胸内に膿疱のごとかかえてひとり

指先のほんの小さな傷なれどきみの言葉を想えばうずく

松茸に何年会わずに棚の上どびん蒸しの器はさびしい

おもてうらホッチキスで繋ぐ人生に何の教訓もないパラドックス

椅子二つ並べて語ろうなつかしい大きな栗の古木の下で

蜜柑の木なにか見つけて騒いでる雀の会話はなぞなぞのよう

この町に天女降りくる大木の百年先も残りますよう

現実の今年の10月は、夏の続きのように暑くベランダには秋の花も咲かずに戸惑っているのだけど。
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