2020/4/3

「四月の歌」  短歌

コロナの騒動はとんでもないことになってきたみたい。我が家はうまい時期に退院出来てよかったなんて思うくらい、いま東京は恐ろしいところです。でもどこかに「いっそ目の前にパンデミックが広がっているのならわかるけど」という思いもあります。
表面上は何もなくてテレビでネットで言っていることが本当かどうかわからないで、日々を不安に暮らしているのが嫌ですね。そして、どうも「人工呼吸器」など見たこともない人がいるみたいなのもびっくりしました。病気の宝庫のわが家族は病院で何回か見たし「人工呼吸器を付けずに死ぬこと」が死に方の家訓なのです。尤もこの前の手術で二度もそれを使った主人は(手術の場合は終われば外すので)「なにも知らない」といっています。
つまらない春の四月の歌は、明るく無責任な歌にしました。

「春は気楽に」

泡立てたハンドソープのしゃぼん玉ねこの鼻先ぱちんと割れた

春色のカンバスに色ぬりかえて新たなドラマ描いていこう

君がため腕を振るって完璧なホールケーキをいま焼き上げる

家の猫の好きな絨毯花柄のみどり部分が爪とぎ専用

バスケットいっぱい可愛さ詰めて行くオオカミ知らない赤ずきんちゃん

悪い日のあとにはきっといい一日 髪をピンクのリボンで飾る

人形もうさぎも席に着いたから、もうすぐ始まる三時のお茶会
5

2020/3/20

「四季」冬号の歌  短歌

退院後初めての外来に行って、次は五月の予約を貰って、様子見になりました。すこしほっとします。

「四季」の冬号が送られてきました。もう春なのにといえばいえるのですが、どちらもコロナ騒ぎで思惑はズレていってしまいます。私も歌を作ったときはかなり力を注いだのですが、主人のことでどこかへすっ飛んでいた感はあります。
でも、私の好きなコクトーの「オルフェ」映画版をもとに生と死のはざまにある「愛」の物語を連作で紡いでみたかった、お気に入りの十首です。お読みいただいて、分かりにくいとか分かるとか言っていただけたら嬉しいです。

「オルフェ」

冬の夜をビオラの鉢と帰り行くわたしの肩にはぐれ雪降る

オルフェウス言葉に囚われコクトーと黄泉路(よみじ)へ落ちてゆく物語

竪琴の楽しき調べかぐわしき若き恋人たちの時間よ

愛はなに優しい娘の唇に笑(え)みにこころ奪われてオルフェ

冬の陽が怠惰な眠り誘うころ黄泉の扉が開くと声が

限りある命よ人の世にあればイザナギ、イザナミ、オルフェもため息

枯れていくもの愛おしくビル壁に残れる蔦は静脈のごと

オルフェウス、コクトーと別れその後は鏡の中で王女と再会

天地の開けしころの記憶さえ螺旋(らせん)の彼方ひとは佇む

やがてくる春に残るは竪琴の調べよオルフェはどこにもいない
8

2020/3/6

「三月の歌」  短歌

毎日のコロナの報道を見ながら、自分たちのかかわっている(たとえば病院とか)部分の先行きを考え、花粉症のくしゃみをしながらいらいらと日を過ごしています。ひな祭りなどもどこかへすっ飛んでしまったので、せめてもと「三月の歌」はお雛様にしました。
今年は暖かくて、花も早いはずなのに手入れの行き届かないベランダは、桃の花も枯れそうになっています。でも雲南そけいは黄色の花が満開です。がんばれ私!

「雛の宵」

せっかちな河津桜はひと月も先に咲きだし伊豆はうるわし

佐保姫が衣の裾をひるがえし雛の宵にも暖かな風

天神様いずれの願いに耳かすや合格祈願の絵馬はすずなり

わが家ではおかずの数もその他もわたしが法律(忖度はある)

母はまた姉妹三人華やぎし雛の祭りの楽しさ話す

ぼんぼりの灯りに映るたおやかな女雛の顔が誰かに似ている

お終いと決めて川面に流しやる雛の別れよ二人の卒業
6



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ