2014/11/23

家の猫D  家の猫

家には前のビルの時から「猫屋敷」と呼んでいる棚のような物があり、前の猫「ウメ」から今は「小太郎」に引き継がれている。それは幅90p高さも90p奥行きが40pぐらいの木の本棚のようなもので、私が設計をして主人が板を買い作ったものだ。
上の方に棚があって、ノートや辞書など今では私の短歌用のものも多く入っている。下は二つに区切れて細い片側も物入れで広いほうに、毛布やタオルケットを入れて猫の寝床になっているのだ。その棚は今のフロアではリビングの横についた小六畳の畳の部分の壁に置いてあって部屋の真ん中には炬燵がある。

家の小太郎が来たばかりの時(二月だったから)その炬燵に逃げ込んで三日籠城したのだった。三日目に猫トイレに駈けこんで、それから水を飲んだら、後は慣れてしまったのはおかしかったが、ここが猫のお屋敷だよと棚の下を教えてもすぐに炬燵のなかにはいってしまった。怖がりなのだろうと小さな猫柄の布でカーテンをつくってやったら、それからは時々そこに入って寝るようになった。
夏になったら、やはり暑いのだろう床に転がったり、私達のベットに乗っかったりして寝るようになり、とうとうお屋敷にははいらなくなってしまった。それは家全体に慣れていくという事で、来てから一年もたつとすっかり主のような顔をして暮らすようになった。
今年の夏は私のベットの足元で夜を寝るようになり(本来の猫は夜行性のはずだが、近頃の室内飼い猫は大抵人間と同じになる)夜の11時になると「寝るんだねるんだ」と騒ぐようになった。だんだん秋になって布団をかけるようになったら、抱かれて寝るのが嫌いな猫で布団の上に乗って私達を押さえつけるようになった。五キロの猫だから重くて寝返りも打てなくなるので夜中に押しやるのだが、またすぐ乗ってくる。
困っていたらこの所の寒さのせいか、昼間は炬燵(火は入れてない)にはいっていたのが、時々思い出したようにお屋敷に入って寝るようになった。うまく行くと夜中そこで寝てくれるので、私達もらくらく寝られる。万歳と思っていたら毛布を掛けるようになって、また私たちの上に乗っかり、このところ朝にストーブをつけると早速その前で火に当たると言う猫らしい勝手者である。まったく猫の目のようにくるくる行動する、でも可愛い小太郎13歳なのだ。

この冬はいばった顔の猫になり僕の場所だとしゃべる小太郎  多香子
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2014/5/21

家の猫C  家の猫

暖かくなってきたと言うより、日によっては暑いぐらいなので窓や掃出しのガラス戸をあけるようになって来た。家の小太郎は家に来てから一年間は外(と言ってもベランダだが)に出さないようにしてきたが、この頃は慣れてきてドアを開けるとたんにベランダに出ることを覚えてしまった。外に出るとすぐにひっくりかえってゴロゴロと背中をこすりほこりだらけになって、あげくに葉や草を噛んでまわる。

悪いことには我が家はビルの四階なのでベランダから飛び出したら怪我では済まないと言う心配がある。前に18歳で死んだ猫も高い所から車の走るのや人が通るのを見るのが好きだったが、建て替えた今のビルはセットバックで出来たベランダだから簡単に下は見られない。小太郎も年寄り猫だからそれほど外が気になるまいと思っていたが、猫が好奇心の強い動物だという事をうっかり忘れていた。
隣のビルとは1m半ほどしか離れていないので、そちらのビルの非常階段と家のベランダの間に柵を設けたり防犯には気を使ってあるが猫にとっては柵などくぐれるし、階段に飛び降りればそのまま下まで降りて行かれる。小太郎はベランダの端の一番となりと近いエアコンの室外機にのって外を見ようとするから、私は「落ちたら死ぬよ」と大声で言って息子が「降りても死なないで歩いていくと思うが」と現実的な事をいっても大騒ぎをする。それは死なないけれど、下の道まで階段を下りて行ったらこのあたりの事は知らない猫なので、迷子になって路頭に迷ってしまうという事である。今の所、よばれるとだいぶ経ってガラス戸の向こうから入れてくれと言う顔をしているからまだいいのだが。

そこで私は小太郎を膝に乗せ、話をして聞かせる。「昔、イギリスでは生まれたばかりの子は妖精の部分が残っていて、空を飛んでどこへでも行けるのだけれど、少し大きくなるとその記憶はなくなって飛べなくなってしまうと思われていたのよ。ピーターパンは生まれてじきに夜窓から抜け出してケンジントン公園で遊んだり、妖精たちと楽しく暮らしているうちに、おうちへ帰りたくなって一度は覗いてみたんだけど、また遊びに行ってしまったの。あとでやっぱり帰ろうともう一度覗きこんだら、お母さんは新しい赤ちゃんを抱いていてピーターパンは締め出された子供のままネバーランドで暮らさなければならなくなったの。こたもいつまでもベランダで遊んでいたり、下へ墜ちたりすると帰ってきて窓から覗いてもママは新しい子猫を可愛がっているかもしれないわよ。だから・・・」お利口な小太郎はそう言う時だけ、私は知りませんと言う顔をしてすましている。

ピーターはうさぎでなくてジャムパンとでたらめな話猫に教える                          多香子
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2014/3/22

家の猫(3)  家の猫

前に(1)(2)と書いた、家猫の小太郎も家に来てから一年が過ぎた。誕生日がわからないから来た2月を誕生日として、13歳になったことになる。大人の猫を貰ってきたと言うと「よくなつきますね」という人がいるが、大人の猫だから利口で家の間取りもその家の人の言語もすぐにおぼえられるし、自分の立場もわかっている。はじめは少し遠慮もあった小太郎は今ではすっかり家の一匹猫になってしまった。

見慣れたせいなのか、体重は変らないのにすこしすらっとして足も長く見えるようになった。きちんと前足を揃えて座っているのを見た人は「形の良い猫」とほめてくださる。前にいた「うめちゃん」はあまり啼かない猫だったが、小太郎は節をつけて喋るように啼くので息子が「こいつは何だ」と笑う。ただし声が悪くてドラ猫声である。それが「ぎゃぎゃあ」とか「うんぎゃあ」とか、長いと「うにゃぎゃんぎゃん」などと会話でもしているように啼く。猫に対して普通の人は「猫きちがいは勝手に思い込んでいるだけ」というが、猫きちがい同士は分かりあっているからいい。歌人の小島ゆかりさんが何かの本に「子供が独立したら、家の猫がため口をきくようになった」と書いているのを読んだりすると、にやりとしながらあーいい人なんだなと思ってしまう。
冬になってすまし顔でストーブに当たっているが、小太郎はパパが好きだから、夜はパパの脚の上で寝たい。でもとても重いのでパパは乗られたくないから、こたつに突っ込んでしまうと、この頃は仕方なくそのまま寝込んで足の上に乗るのは三日にいちどぐらいになった。そのかわり、母が夜中に動き回るのでリビングの床暖をタイマーで夜中に付くようにしたら床の暖かくなるのが分って、夜中は床にペタッと寝ているようになった。
このようにとても賢い猫なので(!!)この頃は置いて行かれるという不安を感じるらしい。土曜日には母を車に乗せて三人で出かけるので(一時間ほどなのに)玄関で見送った後、少しすると「誰もいない」と感じ始めて、「おーい」というようにおーんと啼く。それから犬の遠吠えのように「おーよ」「おわーん」などと啼きまくって息子が起きてくると、玄関で黙って待っているそうだ。これは息子の話しで、主人は聞いたことがないから「一度聞いてみたい」と言っているが、パパたちがいないから啼くので聞くわけにはいかない。
日曜に主人が買い物に出かけて私が事務所(家とつながっている)にいると姿が見えないと啼くので、事務所で抱いてやっているとエレベーターの上がってくる音だけでぱっと飛び出して玄関にお迎えに行く。普段の日もほかの人では知らん顔をしているのにパパが帰ってくるのは扉があく前に分って飛んでいくのは不思議な猫の感なのか。それも主人は見ることが出来ない。

猫の耳アンテナぴんととらえてるエレベーターにはパパが乗ってる  多香子
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