2014/1/23

あたたかく、やさしく。  アート

 煉瓦作りの重厚な建物が、京都文化博物館。 別館は日銀や東京駅を設計した辰野金吾が設計した。もともと、この建物も日銀京都支店だったのだ。

 会場は入口から遠く、京都らしい物品やちょっと素敵なお土産物のお店や「仏像がちゃぽん」などのコーナーを通り抜けてから、やっとエレベーターに到着する。ここから3Fへ。その前に、荷物はコインロッカーへ。

 ここも京都国立博物館同様、ミュージアムショップが充実していて好きだった。最近リニューアルされ、ショップの充実ぶりが変化した。以前の「こんなものがあるの!?」という雑然とした面白さから、いかにも「アンケートとって市場調査して焦点を定めてレイアウトもすっきりさせました感」が、逆にガッカリだ。ソフィストケイトされているけど、ななめにザッと見やり、エレベーターで3Fで開催されている『佐藤太清展』の会場へ。

 自然を描き続けた日本画家・佐藤太清は、新文展に「かすみ網」で初入選。自然が持つ美しさに精神性を与え、花鳥風景画という新分野を確立した。
 福知山が生んだ文化勲章受章者の画伯は、故郷の自然に触れ心打たれたことがきっかけとなり、画家を目指す。郷土の誉れである佐藤太清画伯の生誕100年に、彼の画業70年を回顧する展覧会だ。

 という入口の説明はさておき。もともと昨年のNHK日曜美術館内の「アートシーン」で紹介されたのを見て「わああ・・・」と思い、京都に巡回するのを待っていたのだ。実は単なるきれいな花鳥風月の人、というだけでは収まりきらない画家なのだ。

 この「わああ」をなんと翻訳したものか。
「なんか、この人の気持ち、わかるわあ」「この絵を描こう!と思ったときの、(対象への)驚きとか感動、わかるわあ」「その驚きと感動を、絵画に正確に忠実に翻訳されているのが、すごいわあ」とでも、いおうか。結論として「好きや、この人」に集約される。

 そして会場を一巡して思ったこと。「この人となら、お友達になれそう」。繊細で自然への感覚が開いていて、寂しがりやで穏やかでお茶目な人を感じた。 

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 「漁村」のリリカルな色彩ややわらかな造形に、おもわず微笑んで心が和んでしまう。ゆったりと流れる時間のなかで、人々の暮らしは美しい。
 一方、昆虫図鑑のように精緻な虫たちは、どこかノスタルジックであたたかな気配を漂わせている。

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 夜の闇の中に、はっとするような気配を漂わせた満開の梅?の木は、散り始めでもある。木の「いきもの」としての存在感に、佐藤画伯は打たれたのではないだろうか。
 洪水の中で川を流れる満開の泰山木には、よく見ると虫たちがしがみついている。これを発見した時の画伯の驚きや感動が、如実に伝わってくる。

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 夜に街灯の光をうけて、ぼおっと浮かび上がる降りしきる雪の、しんしんとした連続に、意識が吸い込まれそうになる「あの感じ」が、写真ではとうてい捉えられない繊細さで写し取られている。その感性に、びっくりだ。

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 晩年に思いつかれただろう画伯の愉快な企みが素敵な、作品群の内のひとつ。「国宝級の有名な器に、ウチの庭の花を生けたら?」という思いつきが、愉快すぎる。いまの技術ではとうてい作り得ないらしい、正倉院の美しいブルーのゴブレット。

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 おもわず絵葉書や一筆戔を買わずにはいられない、あたたかくやさしい、佐藤太清展なのでした。2月9日まで。
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