2009/12/11

青春という名の人生 山田さん編  読書

 またしても『ハチミツとクローバー』話題で、すみません(ぺこり) 

 なんだか考えれば考えるほど、時間が経てば経つほど、このマンガの凄さがのしかかってくるのだ。

 最愛の夫であり仕事の絶妙なパートナーでもあった原田さんを事故でなくし、その事故の責任に押し潰されながら自分を責め続けて絶望の中で生きる理花さん。

 そんな彼女を愛してしまった真山くんは、彼女の人生をも抱えて生きられるほどパワフルな男になるべく、また仕事の上でもフォローできるようスキルアップを目指し、あえて外の建築デザインの会社に就職する。

 そんな真山くん一筋なのが、美形で性格もかわいい山田さん。彼にユーフォーキャッチャーでとってもらったウサギの人形を抱きしめてキスしたり、真山くんが忘れたコートを羽織って抱きしめたりするシーンは、ホーゼンとなるくらいかわいらしくもいじらしく、でも決して報われることがないとわかっているだけに、あまりにも切なくて忘れられない。

 そんな切ないシーンを目撃するのが、山田さんに惚れてしまった野宮さん。真山くんの会社の先輩でモテモテらしい人だが、これもまた切ない。
 でもこの切なさを一瞬で乗り越えるほど、もしくはポーカーフェイスができるほど、野宮さんは大人だ。青春を脱皮して、10年早く「惑わず」の境地に立った人なのだ。やれやれ、とため息をつきつつも、微笑んで待てる人なのだ。だから思わず「キミなら山田さんを託せる! 山田さんを幸せにしてやってくれ!」と野宮さんにお願いしてしまった(笑)

 それに山田さんは真山くんに合うタイプではない。真山くんは「守ってあげたい」女性を好きな人だと思うから。彼はマメに尽くすタイプなのだ。アブナいくらい相手の女性を知り尽くしたい、というタイプでもある。
 一方山田さんは、自由に泳がしてあげよう、というくらい度量をもった男性でなきゃダメだと思う。なにげなく実は自立している人なのである。

 ところで、彼女の恋愛の比喩として登場する「先が折れた紫蘇」のエピソードが、鳥肌ものだった。お母さんが「折れた先は摘んでしまいなさい。そうしたら新しい茎が伸びるから」と教えてくれたのに、折れた箇所が可哀想でそのままにしてしまった山田さん。
 数日後、紫蘇をみた彼女は愕然とする。折れた先が伸びて地面にのたうっているのだ。そのとき彼女は激しく後悔するのだ。「お母さんの言ったとおりだった。摘んでしまわなかったばっかりに、(紫蘇にとっては)もっとつらいことになってしまった」と。この暗喩は恐ろしいほどに、私にはきいた。

 それから山田さんの片思いに、最初は「いつまでも引きずってないで〜!」と、ダメじゃんという思いだったんだけど、途中で彼女の「片思いを全うする」という決意に気づいて愕然とした。普通の人がそんなことしたら、生死の境をさまよっちゃうくらいキケンなんだけど、彼女は何度も泣きながら、頑張るのだ。いろんな人たちに元気づけられ、助けられつつも、あえて「滝に打たれる」ようなこともするのだ。

 失恋や片思いは、可能性がないことが分かれば、どうにかしてそこから逃れようとするものなのに、彼女はあえて「失恋を全う」すべく、前に進むのだ。その潔さと純粋さを見て、とっくに忘れていた何かを思い出した気が(笑)

 そしてトンネルを抜けた先にあるものは、(作者の配慮により)盤石に用意されているので、最終的には彼女は、真山くんの願いどおりに幸せになれると確信できた。

 一角獣の群れに守られた乙女であり、はぐみちゃんの言うとおり天使のように純粋な山田さんは、恋愛における修行僧のようであった。美和子さんをはじめとする応援団付きなのがまた、泣かせます。
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