2012/3/26

雲龍院へ  神社仏閣/教会

 門を入り、まっすぐに仏殿に行けば、即座に日本最大の涅槃図鑑賞ができたのだが、門の近くの枝分かれした道に入ってしまった。モザイクのような石畳に魅せられ、のんきに満開の梅見をしつつ、泉涌寺別院である雲龍院に迷い込んでしまったのだった(笑) というか、知らず知らずに迷い込むほど、アプローチから魅力的だった。

 雲龍院の創建は1372年。丁度「京都冬の旅」(=非公開文化財特別公開)期間中で特別拝観もでき、いろんなものが見られて、とても楽しいお寺だった。お昼と夕方にかけての、少し斜めの日差しが、明るくもちょっと切ない、いい感じで、静かなお寺に漂う春の気配を満喫できた。

 最初の部屋では置いてある座布団に座ると、障子に枠取られたガラス窓からは、一幅の絵のように松や梅が見事に切り取られている。その奥には季節柄、雅びなお雛様が飾られていた。そんな小癪な(褒め言葉)、または猪口才な(褒め言葉)計算がなされている、お庭鑑賞のお座敷があった。

 雲龍院は、現存する日本最古の写経道場なので、写経体験もできる。写経する時に使用する机は、後水尾天皇(江戸時代初期に即位)によって寄進された机だそうだ。なんだか、歴史〜!

 本堂にあたる龍華殿では、薬師如来を中心に左右に日光菩薩・月光菩薩(がっこうぼさつ)が配置されている薬師如来三尊を拝む。阿吽の龍と風神雷神を描いた襖の向こうにお祀りされているのだ。。

 薬師如来三尊を守るような襖絵は、水墨画家の堂野夢酔(どうのむすい)によるもの。襖絵『双龍風雷図(そうりゅうふうらいず)』も、薬師如来三尊も、特別公開中だった。襖絵は平成22年10月に奉納された新しいものだからか、撮影自由という太っ腹さ。新しいだけに認知度をあげなくちゃいけないし。

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 ふと、故・赤羽末吉画伯の『だいくとおにろく』を思い起こす↑
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 三尊のすぐ前にあたる襖には、「般若心経」が書かれている。

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 歴代の天皇や皇后のご位牌や肖像などがぎっしりと集められた霊明殿。その前庭には、徳川慶喜寄進の灯篭もある。灯籠の下では、砂が珍しい菊のご紋を描いている。これ作るの、難しくて大変そう。

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 大石内蔵助の書(これは2文字だけど)がある部屋には、他に、なぞかけの掛け軸が。

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 おわかりでしょうか?

「ち」が五個書かれているので、「稚児」。五つの「も」で、「いつも」。「の」が三つで、「飲み」。「た」が八つで、「たや」

これを掛け軸の通りにつなげてみると・・・

「稚児の酒いつも飲みたや」
鎌倉時代の大工さんの落書きだそう。
 
 台所(現役で使ってらっしゃるらしい)には怖い顔で口をあんぐり開けた「走り大黒」天。ちょっと不気味かも。

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 書院にある悟りの丸窓から見る薄桃色の梅。ベストポジションに小さな椅子が置いてある。至れり尽くせりで、サービス満点。

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 要所要所に生けられた素晴らしい生け花(愛知県のお華の先生が生けられたものだとか)。龍がテーマの生け花らしい。

 と、しっかり雲龍院を楽しみ尽くして、もと来た受付から出ようというときに、ふと不安になった。おそるおそる受付で訊ねてみる。

「すみません、泉涌寺の涅槃図は何時までみられますか?」

「涅槃図ですか? 4時までです。もう4時5分になってますね」と気の毒そうにつぶやかれる係の方。しばし、ショックで呆然とする私たち。まさか、4時終了とは・・・。

 (やっと次回は最終です。たった1日の話に、延々と付き合ってくださって恐縮ですが、あとしばらく、よろしくお願いします)
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